更新日:2012.02.17
文/石山英次(ishiyama eiji) 写真/リンカーン
2007年に登場し、2008年から正規輸入が始まったリンカーンナビゲーター。キャデラックエスカレードに続き、正規輸入された2台目のフルサイズSUVとになる。
全長5295×全幅2035×全高1995mmのスクエアな塊感に、全面に張り巡らされたビレットグリルが、“仮面の騎士”を連想させる押し出しの強いフロントマスクが組み合わされたナビゲーターからは、ある種独特の威圧感が漂っている。王道的なスタイルのキャデラックエスカレードとはまたひと味違う存在感だ。
ドアを開けた瞬間に、すうっと出てきたステップ(パワーランニングボード)に導かれて運転席にたどりつくと、そこにはある種異様なほどリッチな空間が存在している。たっぷりとしたサイズのレザーシートに加えて、クラシカルなデザインのメーターパネルや美しく輝くアルミ調のパネル&アナログ時計、端正な模様の本木目パネルなど、ドライバーが安らぐための演出は随一。いわゆるモダンリッチといわれる非常に独特な空間である。
搭載されるエンジンは、5.4リッターV8SOHC。314ps、トルク50.5kg-mを発生させるこのエンジンは、ライバルと比較するとやや劣るが、それでもこのアメリカンSUVを軽々走らせ、そして今となってはかなり味わい深い。ちなみに、105リッター飲み込むガソリンは、無鉛レギュラーという。このエンジンを支える4WDシステムには、4×2、4×4オート、4×4の3つのモードが手動で選択できる「コントロールトラック」を採用する。
2012年も引き続き販売が継続され、車両本体価格は900万円。エクステリアカラーは、タキシードブラックとホワイトプラチナムの2色となる。ちなみに、このV8エンジン搭載のナビゲーターも、そろそろ終焉を迎えるという噂である。例のエコブースト系エンジンにそのうち取って代わられるという。決して煽っているわけではないが。