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連載 REGULAR ARTICLES キャデラック コンコース (CADILLAC CONCOURS)キャデラックの伝統的デザインを残すサルーン

キャデラック コンコース (CADILLAC CONCOURS)

90年代のGMを象徴するFFキャデラック

コンコースは、伝統的なアメリカンセダンの血を受け継いだボディに気鋭のノーススターエンジンを搭載した、一代限りの名車。絶版になったのがつくづく惜しまれるモデルだった。

更新日:2017.10.18文/編集部 写真/編集部

取材協力

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11代目ドゥヴィルの上級グレードがコンコース

 日本では「コンコース」として販売されたこのモデルは、正式にはドゥヴィル・コンコースという。キャデラックの伝統的なラグジュアリーモデルの名前であるドゥヴィルの派生モデルなのである。

 ドゥヴィルは9代目(85〜88年)のときに、フルサイズボディにFRというDプラットフォームに別れを告げた。全長5mを切る中間サイズの前輪駆動版Kプラットフォームを使うことになったのだ。これはセヴィル史上最小の3代目と同じプラットフォームである。

 しかし、この縮小が、伝統的なキャデラック製サルーンの顧客に評判が悪かったため、ホイールベースを延長し、やや体躯を大きくした10代目へ移行する。

 そして11代目(94〜99年)で、一気にドゥヴィルは商品性を刷新する。使用するKプラットフォームが、セヴィルの4代目移行と共に、世界戦略レベルの技術内容を持ったものになったのだ(今回の取材車輌はこの代の97年もの)。

 内外装も、旧来の伝統的なアメリカ製高級車のモチーフは残しつつも、デザイン全体は現代的なクリーンで洗練されたものに。

 そしてまた、この11代目で、旧いOHVユニットを積むベースグレードに加え、ノーススターV8DOHC搭載車も用意されることになった。その上級グレードがドゥヴィル・コンコースと名づけられたのである。
全長x全幅x全高:5335mm×1940mm×1450mm
ホイールベース:2890mm
車両重量:1820kg
最低地上高:150mm
最小回転半径:6.4m
モダンでありながらも、往年のアメリカ車のモチーフを色濃く残すスタイリングが特徴のコンコース。
太いCピラーや、せり立ったリアウインドーは、1980年代のキャデラックのイメージを踏襲したものだ。
前後P225/60R16タイヤがもたらす柔らかい当たりの乗り心地は、この世代がもたらす独特なもの。
エンジンは93年に登場した4.6リッターのノーススターV8DOHC。キャデラック初の大排気量DOHCエンジンであり、279ps/5600rpm、最大トルク41.5kg-m/4000rpmを発生させる。
ウッドとレザーに包まれた往年のキャデラックらしさ溢れるインテリア。ベージュのレザーが明るい印象をもたらす。若干の使用感はあるが、機能的に劣るものはなにもない。
レザーシートはキャデラックらしい厚みのあるもの。この時代特有の、まるでソファーのような逸品である。コラムシフトも手伝って、前席は広々としている。

あらゆる部分が滑らかかつ柔らかい

 試乗車は、97年型コンコース・エグゼクティブ。ヤナセもののD車で走行3.5万km。ボディカラーはブラック。

 見た目の印象は、実にアメ車らしいアメ車であり、フル装備のアメリカン高級フルサイズセダンだ。今で言うところの「ワールドスタンダード」を公言する前の、アメリカ国内専用車的な風情を漂わす、最後のキャデラックである。

 堂々たるサイズでありながら、でも、意外なほど取り回しは楽だ。また乗り心地も抜群に柔らかい。大きくてソファーのようなシートは、あくまでもソフトでふんわりしている。乗車定員は6名だが、室内は広く、足下の広さは特筆ものである。この時代のキャデラックは、室内寸法の数値には現れない広さが確実にある。

 搭載されるエンジンは4.6リッターV8DOHCで最高出力279ps/5600rpm、最大トルク41.5kg-m/4000rpm。組み合わされるATは4ATだが変速ショックは皆無に近い。動き出しは非常に軽やかかつ滑らかであり、FF駆動がもたらすトルクステアなどの嫌らしさはほとんど感じない。

 シャシーは、当時のセビルと共用するが、性格はかなり違う。セビルが若々しいスポーティなイメージを強調しているのに対し、こちらはあくまでもジェントル。もちろん自分でステアリングを握るのが普通だが、セビルと違ってショーファードリブン的に後席に乗ることもお勧めできる。
デジタルメーターが今もなお正確に作動している。

90年代を代表する名車の1台

 実際に乗って街に出たが、ステアリングの軽さが非常に印象的だった。といっても反応がないというものではなく、あくまでも現代のクルマと比較して、ということだが、旧世代のアメ車のイメージが俄然甦る。

 走り出しからトルクを感じさせ、細めのタイヤ(60偏平)がもたらす軽い動きと相まって、大柄ボディのアメ車という重さをまったく感じさせない。また、この時代のアメ車に共通の視界の良さも好印象であり、初めて乗ったその日から数百キロのドライブも普通に可能である。
 
 軽いステアリングを握り肉厚の柔らかいシートに包まれての、この軽くて柔らかい希有なドライブは、まさに夢心地(ただ乗り心地がいいという世界ではない)。果たして、現代のクルマにこういった独特の世界観を持ったクルマが存在するのだろうか? アメ車好きならこの独特の世界観にきっと浸れるはずである。

 コンコースに乗っていると、なぜだか飛ばそうと思わないから不思議である。下手にカスタムやドレスアップをすることなく、この味を生かしたままノーマルで大切に乗りたいと思わせる1台である。
今の時代の硬質なキャデラックももちろん素敵だが、この年代の懐かしい味わいも絶対にお勧め。今だからこそわかる感触がつまっているだの。
リアシートの足下スペースも広大であり、後席中心のオーナーになったとしても十分な満足感が得られるはずである。
せり出したリアランプ周りは、1950年代に流行したテールフィンをモチーフにデザインされたもの。このテールを模したクルマが後に登場するほど、影響力を持ったデザインだった。
見た目でわかると思うが、広大なトランクスペースを有している。

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