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連載 REGULAR ARTICLES トヨタ シエナ SE (TOYOTA SIENNA SE)乗用車と日本製ミニバンとの良いとこ取り

トヨタ シエナ SE (TOYOTA SIENNA SE)

仮想敵は間違いなくアルファード

国産500万円級のミニバンを買うつもりがあるなら、是非とも候補の1台として取り上げて欲しい存在がトヨタシエナである。逆輸入車ではあるが、トヨタ的フィーリングと工作精度を持ち、しかも国産最高峰よりも安いし、使えるのである。

更新日:2012.12.19文/石山英次 写真/石山英次

取材協力

ベルエアー
TEL 0436-40-1212 [ホームページ] [詳細情報]

「いつかはアルファード」の対抗馬として

 トヨタシエナを語るときの仮想敵は、トヨタアルファードになるのだろう。トヨタの最上級ミニバンとして名を馳せるアルファードは、今や日本国内でミニバンに乗るお父さん(お母さん)の憧れの的(?)であるから、ボクシーやエスティマに乗る者は、「いつかはアルファード」を夢見るのである。

 だがそんなお父さんも、スマホやネットでいろいろな情報を見るたびに、最近やたらと目にする「シエナ」という存在に気付くはずである。「逆輸入車か〜。ってもトヨタの左ハンドルでしょ。なら壊れないのかね? けど高いよな、きっと…」

 パッと見、トヨタウィッシュにも見えなくはない親近感のわくスタイルのシエナを見て「いいな〜」と思う一方で、「逆車=高額」という勝手な思い込みによって諦めてしまうのである。すなわち、アルファードよりも高いだろうと。

 だが、そんなシエナであるが、確実に販売台数を伸ばしている。口火を切ったのは関西地方であり、一部には「シエナ御殿が建った」なんていうショップもあるというから驚きである。

 売れたからくりは簡単である。アルファードを狙っていたお父さんたちが、「実はシエナの方が安かった」ということに気付き、積極的に逆輸入車への鞍替えを始めたからである。
 そういう方々が若い頃には、「左ハンのセルシオ」が流行っており、歳を取り子供ができて今や立派なミニバンパパを演じてはいるものの、昔の名残じゃないが、ミニバンでもちょっとはオシャレしたいな、みたいな。

 そんな想いのオヤジたちがシエナ人気に火をつけ、その流れが今まさに関西から関東へとやってきているのである。

 実際にシエナは、アルファードよりも全長と全幅が大きいために室内が広く、だが一方で全高が1800ミリを切るために、タワーパーキングに入る実用性や低床のための乗降性の良さ等を併せ持っている。

 さらに価格帯的には、アルファードの最上級モデルを買うとすれば余裕で500万円を越えるが、シエナSEで450万円弱(概算で)で購入可能である。実際にはナビを取り付けたり、いろいろと金額がかさむ要項は出てくるのだが(それでも安い)、同じトヨタフィーリングを持ちながらも(壊れないよ、まったく)、人とは違う左ハンドルで、しかも稀な存在のミニバンにアルファードよりも安く乗れるわけだから、ちょっとしたブームが起こってもおかしくはないのである(なんてったって、日本はミニバン大国だから)。
2012年型の新車。価格は398万円ということで、アルファードの上位グレード以下の値段で購入することが可能である。
搭載されるエンジンは3.5リッターV6DOHCエンジン。266hp/6200rpm、最大トルク33.9kg-m/4700rpmを発生させる。圧倒的なパワフルさではないが、普通に走る限りにおいては、十分なパワーである。
グレード「SE」に装着されるホイールはガングレーの19インチ。スポーティなグレードに合わせたセレクトになっている。
すでにおなじみの両サイドドアを有するし、開閉はドアノブを引くだけで自動で行われる。開閉において昔みたいにドアを送り出す必要はないのである。

シエナとアルファードの本当の違い

 全長×全幅×全高が5085×1984×1796(ミリ)であるシエナを、たとえばアルファードの350G Lパッケージと比較すれば4870×1830×1890(ミリ)となり、全長で215ミリ、全幅で154ミリ大きく、94ミリ低いとなる。

 乗り比べると分かるが、シエナはミニバンとしてよりも、乗用車としてのベースがありそれを背高のミニバン風に仕上げたモデルであって、一方でアルファードはもともと高床のミニバンがベースとなっているから、その乗り味はまったく違う。数字以上にシエナの方が低く感じるのだ。

 感覚的な話で恐縮だが、シエナはホンダオデッセイ的な作りだから、それがそのまま走りにも生きており、まるで一般乗用車と同じ感覚で走ることが可能である。詳しく言えば、コーナリングや高速走行時のロール感覚や煽られ方が異なり、さらには横転の危険性をさほど感じることなく走ることが可能である。

 といっても無理矢理乗用車風に仕上げたオデッセイのような頭上の空間が狭かったり、運転がしずらいなんてことはまったくないし、乗用車とミニバンのいいとこ取りをした、さすが北米トヨタの最新ミニバンである。

 搭載エンジンは、シエナ3.5リッターがV6DOHCエンジンで266hp/6200rpm、最大トルク33.9kg-m/4700rpmを発生させる一方で、アルファードも同じく3.5リッターV6DOHCエンジンで280hp/6200rpm、最大トルク35.1kg-m/4700rpmとなる。

 日本でのミニバン頂点を誇るアルファードだけにスペック的な優位性はかなり高い。だが実際にミニバンで280hpを使う走り方をすれば、前述した背高なバランスが災いして、間違いなくシエナの方が気楽に、しかも速く走れるだろう。

 おそらくシエナがアルファードに負けるとすれば、内装などの見た目の華やかさだけだ。いわゆる日本的な応接間的意匠をまとったアルファードが、シンプルな質感のシエナよりもよく見える方が多くいるかもしれない。

 ただ、シエナには5つのグレードバリエーションがあり、筆者が今俎上上げているシエナは、中間グレードの「SE」であり、日本的な華やかさが欲しければ最上級の「LIMITED」を手に入れる方法もあるのである(当然高くなるが)。
リア姿だけを見れば、日本のエスティマにもみえなくはないが、実際には一回り大きいし、何よりフロントマスクを見ればまったく違うことがわかる。
国産上位グレードと比較すればシンプルとなるだろうが、アメリカ的に見ればかなり良く出来たインテリアだと思う。質感も悪くないし、機能的な部分において国産に劣っている部分はまったくない。メーター周りの構造もスポーティかつ実用的で、シフトのインジケーターもメーター中央に配置されているから、積極的に6ATを操ることも可能である。
センターコンソールにはオーディオやエアコンのスイッチ類が並ぶ。ここにナビゲーションを後付けすることは可能である。その上の3.5インチモニターにはバックモニターが装備されている。
荷室空間も特大であり、使い勝手も悪くない。

ミニバンパパ的には「理想のクルマ」

 試乗した車輌は2012年型のSE。SEは他のグレードよりも前後バンパーが異なり、ガンメタリックの19インチホイールが装着されるなど、スポーティな装いが特徴的なグレード。恐らく日本で一番流通しているグレードである。
 搭載されるエンジンも3.5リッターV6であり、直4エンジンも存在するが、シエナに合っているのは間違いなくこのV6の方である。それを知ってか、本国でも2013年モデルからは直4エンジンが消滅している。

 シエナの見た目の印象は、思っていたほど大きくないなというもの。というのもベルエアーに並ぶタンドラやダッジラム、ハマーH1などと置かれていれば逆に小さなクルマにも見えなくはない(笑)。だが、実際に一般道に繰り出せば、国産トヨタ車が軽自動車に見えるほど小さく見える=シエナがデカイ。

 ただ、運転自体はまったく不都合なく、細い一本道でのすれ違いも普通にこなせるし、デカイデカイとは聞いてはいたものの、アメ車に乗るつもりがあれば、ぜんぜん余裕である。

 シエナに乗って驚いたのが、運転席助手席の間の空間の広さである。乗った感じはミニバンというよりも背の高い乗用車であるから、この空間の広さが余計に広く感じ、正直旧セルシオよりも圧倒的に広く快適であり、さらにミニバンのような使い勝手も良く走りは乗用車並みとくれば、ミニバンパパ的には「理想のクルマ」となるだろう。

 セカンドシートは、当然アップライドされているから、閉所感を感じることもないし、全体的にルーミーだし、サードシートは北米仕様ということで、大人2人なら余裕で座れる空間を有しているから(子供なら3人余裕)、飾りの3列目シートではないし。

 3.5リッターV6エンジンは、6速ATとの組み合わせであるが、ギア比に疑問を感じることもなく、パワー不足を感じることもない。

 北米トヨタということで、アメリカンなタンドラ等と同じ感覚でシエナを捉えれば迫力不足と思われるかもしれないが、仮にこのクルマを日本製ミニバンの代わりに使うとするならば、逆に北米製ということで価値が上がり、また日本製ミニバンと比較しても何一つ不満を感じることはないはずである。
乗用車ベースの背高ミニバンということで、運転感覚は至って普通。多少着座位置が高いかなっていう程度である。
荷室側からサードシートを倒すのも至って簡単。ただ、セコイアのように全自動とはならず、手動式。その際の動きはさすがトヨタ。アメ車よりも簡単に操作可能でスムーズ。女性でも楽にこなせる。
シートやシート周りの空間は特筆もの。セカンドシートは、中央にセンターシートを備え、そのセンターシートは取り外しが可能だし、前方に倒して簡易キャプテンシートの肘掛けとすることもできる。
6:4の分割シートとなるサードシート。もともと北米仕様ということで、サードシートのスペースもアメリカ的。日本なら大人二人で余裕で座れるし、子供なら楽に三人座れる居住空間を誇る。
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