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[特集]

「ブロンコ」から続くフォード製SUVのノウハウ凝縮

フォードエコスポーツ徹底解剖 (FORD ECOSPORT)

「ミニクロスオーバー」に匹敵する魅力の持ち主

昨年デビューしたフォードエコスポーツは、近年盛り上がりを見せるコンパクトSUV市場に向けただけのカジュアルなSUVというよりは、1960年代のブロンコから続くフォード謹製SUVのノウハウが注ぎ込まれた、骨太な作りが自慢のSUVだった。

更新日:2015.03.27

文/石山英次 写真/古閑章郎 / フォード

理詰めの設計がなされたグローバル戦略車

 筆者がフォードを好む理由、それは未来に向かって一直線、そのためには犠牲を厭わないという割り切りの良さ、というのがある。たとえば、最近の話で言えばエクスプローラーからV8エンジンをなくした点。もしくは本国モデルとなるがリンカーンナビゲーターのエンジンにV6ツインターボのエコブーストを採用した点とか。

 脱V8ということになるのだが、これらは効率だけを求めた結果ではなく、代替えしたV6やらV6ツインターボは、性能的にはV8エンジンをきっちりと上回っており、「V8サウンド」という情緒的なものにこだわらなければ実際にはなんら不満がないというレベルにまで達しているのである。

 そういう意味ではフォードは常に未来志向であり、時代に即した進化と効率を高い次元でまとめているからこそ、すなわち小手先のダウンサイジングではないからこそ、多くのユーザーにいち早く浸透し、評価されるのであろう。

 そんな観点でエコスポーツを見ると、これまた理詰めの設計がなされた非常に好感のもてるSUVだった。エコスポーツはグローバル戦略車として開発され、フォーカスをベースにSUVに仕立てたクーガと同じように、フィエスタをベースにしたコンパクトSUVである。

 フォードならではの独特な世界観をもったフロントマスクに背の高いフォルム、そしてリアハッチにスペアタイヤを背負った古典的RVスタイルが、今の時代になんとも個性的に映る。

 世の流れにそえばランフラットタイヤが主流となっている現在、背面タイヤは過去の産物として捉えられている。だが、エコスポーツを発売する地域には、発展途上国が多くを占めることもあり、ランフラットタイヤの普及が届いていない国々が実際にあるのだという。

エクステリアは、シャープな印象というよりは、どちらかといえば丸みが強調された、温和なたたずまいを見せる。そういう意味では愛らしいペットのような可愛らしさを持ち合わせていると言えるだろう。

一方でリアは、スペアタイヤをリアハッチに背負っている古典的SUV的の雰囲気を発している。ボディ下部が黒くツートーンになっているのは、跳ね上げた小石などからボディを保護する必要があるSUVならではの機能性を強調したものであり、ボディのボリューム感を減らす意味合いを持つ。

エコスポーツには、最新の安全装備たる追突軽減ブレーキやアイドリングストップ機能は設定されていないが、ESPやTCS、ABS、EBDなど、一般的な安全装備は標準で装備されている。加えてパッシブセーフティに関してはニーエアバッグを含む7つのSRSエアバッグが標準で装備されている等かなり充実しているのだ。

街中から海岸線まで、アクティブライフの友として縦横無尽に活躍可能だ。

コンパクトSUVとしては文句なしのユーティリティ

 日本市場においては、実際のところ背面タイヤはデザイン的な意味合いしか持たないといってもいいのだろうが、さすがはフォード、この背面タイヤを逆に利用し、リアの荷室空間の広さを圧倒的なものとしたのである。

 ボディ全長はわずか4195ミリに過ぎないが、荷室容量は通常で333L、後席を畳めば1238Lにも達するという。それには秀逸なリアシートと床面の低さが利いているのだが、60:40分割可倒式リアシートは座面もたためるダブルフォールディング機構を備えているから床面からスペースとして確保でき、高さのあるものまで収納可能である。

 しかもリアドアの開口部は広く、かつ形状はスクエアであり高さにも余裕があるために使い勝手は抜群。ただし、ドアを右側から開けるという若干慣れを要する仕様になっているのはご愛嬌だが、コンパクトSUVとしては文句なしのユーティリティである。

 日本に導入されるエコスポーツは、FFベースの1.5リッター直4エンジン搭載車である。背面タイヤを背負っているRVスタイルにもかかわらずFF、と思うかもしれないが、ユーザーのSUVの使い方を研究した結果、日常生活に密着した使われ方をするならばFFで十分というのがフォードの見解である(割り切りの良さである)。

 4WD化における車重アップによる燃費効率の悪化、そして何より販売価格の上昇を考えれば、そしてコンパクトSUVで実際に砂漠地帯やぬかるみを走ることは稀であるということを加味すれば、FFであることのメリットの方が優っているという判断。まさに見識である。

撥水性の高いマイクロファイバーファブリックを採用したシートは、細かな位置調整が可能なため、あらゆる体型にフィットする。

60:40分割可倒式リアシートは座面もたためるダブルフォールディング機構を備えているから床面からスペースとして確保でき、高さのあるものまで収納可能である。

リアドアの開口部は広く、かつ形状はスクエアであり高さにも余裕があるために使い勝手は抜群。荷室容量は通常で333L、後席を畳めば1238Lにも達する。

日本の舗装道路においては十分な走破性

 とはいえエコスポーツは、発展途上国に未だ多く残る未舗装路に対応するべく20ミリの最低地上高が確保され、ゲリラ豪雨などによる道路冠水に備えて水深550ミリまで走行可能という本格SUV並の走破性が与えられている。

 すなわち、日本の舗装道路においては、いわゆる震災レベルに至らなければ、それこそ十分な走破性がもたらされていると言っても過言ではない。逆に、今流行りのデザインだけの小洒落たコンパクトSUVとはひと味違う本格派として十分な性能であり、また使いこなすことが可能である。

 一方で、搭載されるエンジンは1.5リッター直4で111ps、最大トルク14.3kg-mを発生させる。フィエスタがベースということを考えれば、1リッター3気筒のエコブーストエンジンが搭載されると考えるかもしれないが、さにあらず。

 同じく発展途上国事情(たとえば均一のガソリン品質が得られない等の)に合わせるために、コンベンショナルな4気筒エンジンが搭載されたが、1270kgという比較的軽量なボディには意外にもマッチしており、6速デュアルクラッチのトランスミッションを駆使すれば、それこそ十分活発に走らせることが可能である。

FF駆動方式を採用しているが、それでもSUVとして優れたアプローチアングル(25°)、デパーチャーアングル(35°)を備えているので、かなりのギャップまでをクリアする能力を持っている。

水深550ミリまでの走行を想定し、重要なコンポーネンツを最適にレイアウトする設計がなされている。

右ハンドルであること、そしてコンパクトSUVとはいえ四隅の視界が良く、見切り良く、そして見晴らしが良いことが重なって、狭い住宅地でも難儀せず、自由自在に操れる手軽さが魅力。女性のマイカーとしてもオススメ。

走り出してしまえば、SUV的な骨太感に包まれた大陸的な乗り味に納得。高速道路から世田谷の住宅地まで自由自在に走り回れる軽やかさも魅力だ。

小さくても骨太なSUVだからこそオススメ

 実際に走れば、今どき珍しく骨っぽさを感じさせるガッチリしたボディに、ストロークある足回りが路面からのショックを見事吸収してくれ、背の高いSUVにもかかわらずコーナーでも非常に安定しているのがわかり、エンジンもパワー不足を感じさせることはまったくない(さすがフィエスタベースの足回り)。

 逆に走り出してしまえば、4気筒だの、エコブーストだのといった細かいことにとらわれずに、気持ちよくドライブすることができたのは新しい発見だった。そしてそこには兄貴分たるエクスプローラーにはない、軽さと小ささがもたらす快感が宿んでいたのである。

 現在フォードにおいては、One Ford戦略のもとワールドワイドな開発および販売がなされており、だからこそV8だの、V6だのといったエンジン論争やアメリカフォード、欧州フォードといった生産国の問題等は一切気にすることなく、どの車種においてもフォードらしさが全面的に貫かれおり個性的である。

 というわけで、エコスポーツは、走ればブロンコ以来のノウハウが注ぎ込まれたSUV魂が感じられるスモールSUVであり、大型SUVにはない、ポップカラーリングのボディと軽快感で満たされ、そして汚れやその他を気にせずどこへでも思い立った瞬間にビュッと行けるという、まさにTシャツ+ジーンズ姿のような気楽さをもってドライバーを魅了するのである。

 デビューからもうすぐ一年が経つが、コンディション良好の認定中古車の数も増えてくるはずである。まるでペットのような愛らしいマスクは女性にもウケがいいということで、流行りのミニクロスオーバーとはひと味違ったコンパクトSUVは、価格的にも性能的にも満足感が高いはずである。

搭載されるエンジンは、1.5リッター直4DOHCで、Ti-VCT(可変バルブタイミング)を備えており、低回転域のトルク向上と高回転域の高出力化と優れた環境性能を実現している。

このクルマの唯一残念なポイントは、インテリア。車両同様、非常に真面目テイストで作られており、デザインに遊びがないのが惜しい。質感等が低くはなくシッカリしているだけに、ファニーな外観に合わせたテイストが、欲張り過ぎかもしれないが、欲しかったのが正直な感想だ。

【SPECIFICATIONS】
■グレード:タイタニアム
■全長×全幅×全高:4195×1765×1655(mm)
■ホイールベース:2520mm
■車両重量:1270kg
■エンジン:直列4気筒 DOHC
■総排気量:1497cc
■最高出力:111/6300[ps/rpm]
■最大トルク:14.3/4400[kg-m/rpm]
■駆動方式:FF

SUVとはいえ適度な着座位置と自然な運転姿勢がフォード車らしく、非常に運転しやすい。パワーは110hpだが6段ATを駆使すれば必要十分な走りが可能。大型SUVさながらの景色を見ながらゆったりノンビリ走ることにも対応してくれる。




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