TEST RIDE

[試乗記]

乗用車フィーリングと4WDの動力性能に利便性

AMC イーグル ワゴン (AMC EAGLE WAGON)

すなわちワゴンボディを載せたジープ

1983年型のAMCイーグルである。フルノーマル車であるというから、当時の面影を知ることが出来るかもしれない。

更新日:2016.07.20

文/石山英次 写真/古閑章郎

取材協力/エイブル TEL 0448571836 [ホームページ] [詳細情報]

いまどきCUVの先駆け的クルマ

 1980年に登場したAMCイーグル。ベースとなったのはコンコードとかいう小難しい話はおいといて、概略をサラッと紹介すると、乗用車の車高を少し上げ、サスペンションにジープ的な要素を加えてできたCUV。

 たとえば現代のSUVがオフロードっぽさを出しつつもじつは乗用車であって、言うなれば「オフの皮をかぶった乗用車」だとすれば、このイーグルは「ワゴンボディを載せたジープ」って感じだろうか。

 このイーグルは、ジープ族ならではの利点を生かし作りの良さを見せる本格派オフローダーであり、のちのXJチェロキー誕生の原動力ともなったクルマだった。

 取材車輌は1983年型。搭載されるエンジンは4.2リッター直6OHV。123hp、最大トルク29kg-mを発生させる。ボディサイズは4660×1835×1530ミリ。ホイールベースは2775ミリとなり、車重は1630kg。

 カタログカラーであるディープマルーンにウッドパネルが貼られたオリジナル仕様である。基本的にノーマルというそのボディは、パッと見の印象がものすごく良い。適度な古さと味わい深いデザインが融合され、ある種のオーラさえ感じさせる。

 とはいえ、ボディはフルサイズではなく結構コンパクト。だから多少のオーラがあれど、臆することなく乗れる。フロントマスクのメッキ部分とサイドのウッドパネル、そしてリアハッチの造形等が絶妙なバランスを醸し出しており、しかも車高の高さと相まってイーグル特有の存在感を醸し出している。

イーグルに搭載されるエンジンは、4.2リッター直6OHVエンジン。123hp、最大トルク29kg-mを発生させる。圧倒的なパワーではないが、旧車チックなフィーリングは健在で、心地良い。なお、エイブルでは、このエンジンに物足りない方向けに5.9リッターV8エンジンを搭載したカスタムモデルを製作している。

この時代のアメ車といえばコラムシフトを想像したが、イーグルはフロアシフトだった。またコンディションが気になるATだが、この個体に関しては滑る等の兆候はなく、至って好調。

オーディオやクーラー等のスイッチ類も健在で、きっちり機能するから心配ない。

このイーグルは、最近クリアが塗られる等加修はされているというが、フルノーマル状態であり、コンディション良好車であった。ボディの剛性も高く、昔の安モノといった雰囲気は乗っても見た目にも、まったく感じない。80年代当時、イーグルを真似てか、国産セドリックワゴン等もこんなような雰囲気を醸し出そうとがんばっていたなぁ。

クルマで自己表現した方に人気の理由とは

 聞けば、このクルマはエイブルから一度あるオーナーさんにわたり、またそのオーナーさんからの出戻り車という。ちなみにそのオーナーさんとは、某スタイリスト氏ということで、そういったファッション関係者に人気であったという。

 余談だが、あまり乗っている人がいなく、どこへでも行けて信頼性高く、そして荷物が積めるワゴンボディ。さらにウッドパネルがもたらすオシャレ感覚…、とくれば「レアにハズシにコダワリに…」と目立つクルマ選びの3か条をすべて満たしているわけで、クルマで自分を表現したい方々に人気というのも頷ける。

 ボディカラーに合わせてインテリア全体がマルーンカラーで統一されており、シートはツートーンカラーが採用される。

 ステアリングは細身の華奢な感じのもので、メーター類や各部のコントロール系スイッチ類には昔ながらの味わいが各部に感じられる。ちなみにウインドーの開閉は手動である(笑)。

 これまた華奢なキーを受け取り、いざエンジンスタート。一発でかかり、そのかかり具合も驚くほど俊敏かつ軽快。とはいえ、1983年もの。すでに30年越えともなれば、多少は内心バクバクである。

ボディ外装色に合わせられたインテリアのカラーリング。ワインレッドとウッドのコンビネーションもセンス良し。外装同様、インテリアにもボロさを感じさせる箇所はほとんどない。年式ゆえと経年変化はもちろんあるが、それらが「味」になっている。ノーマルのステアリングにも好感。

当たり前だが、経年変化等によるドア下がりもなく、また内装側のコンディションもよく、満足できる状態であった。ちなみにウインドーは手動! ま、風情がありましたけど。

ドアに貼られたコードナンバーからもこのイーグルがフルノーマル車であることがわかる。

乗っていて思い出したのが、筆者の昔の愛車「ミニクーパー」だった(BMWではなくローバーまでのやつ)。決して似ているクルマではないが、古いメカニズムを持っても現代の道路事情でちゃんと走ったミニ、でもそれでいて十分に古さを感じさせる特有な雰囲気が、イーグルと良く似ていた。つまり、そんなクルマである(笑)。

ベース車輌は上々のコンディション

 走り出す前にサイドミラーをちゃんと合わせていなかったこともあり、緊張感×2になりつつ走り出すが、ものの10分もしないうちにまったく違和感なく走っていることに気付く。

 何より驚いたのが、ステアリングの反応とボディの強さだった。細身のステアリングは、まったくストレスなく左右にキレ(非常に運転しやすい)、車体の反応も驚くほど良い。アメ車特有のふわふわゆらゆらとした、ステアリングのデッドな領域が多い感触もまったくない。

 そしてボディは、「ガチャっ」と締まる重たいドアから想像はしていたが、路面の凸凹に負けることなく、ドライバーがその頑丈さを感じるほどシッカリしている。たしかに、ジープ譲りのサスペンションは意外に硬く明確な反応を示すものの、ボディがその振動をすべて受け止めているから、弱さ、緩さ、脆さ、不快感はまったく感じない。

 空いた国道に出てフルスロットル。4.2リッター直6OHVは、ちょっと古めのエンジンらしく息吹を高めていくものの、実質120hp程度のパワーとあって、圧倒的な力強さは感じない。ただ、そのサウンドとフィーリングは昔懐かしいものであり、一般道をメインとする使用状況なら、十分まかなえるほどのパワーはちゃんとある。ブレーキも踏力を必要とするものの、踏めば確実に速度を殺すタイプである。

 なによりこの個体は、エンジンやミッションの状態が非常に良いだけに、年式ゆえの怖さみたいなものをぜんぜん感じないのがいい。すでに30年越車となるが、そういったヒストリックカー的な不安定さをまったく感じさせないのはさすがである。

シートはチェック柄のキャンバス地とワインレッドのレザーとのツートーンもの。座面が大きくフカフカした往年のアメ車的なシートである。イーグルは無骨なジープ一族ではありながら、ボディ内外装全体のコーディネートが非常に洗練されている。

インテリアに貼られたウッドパネルには、ヒビ割れ等はなく絶妙な雰囲気を醸し出している。全体的にハイセンスなインテリアだなぁと感心。

イーグルを味わうためのすべてが詰まっている1台

 時間にして2時間弱、撮影と試乗を終え戻ってから原氏に話を聞いた。どうしても聞きたいことがひとつあったからだ。「サードカマロやコルベット等を中心としたエイブルがなぜイーグルを?」と。

 その答えはこうだ。「アメ車に乗るための入門ショップとしてエイブルが設立されて約24年。その間主にサードカマロ等のスポーティなV8搭載車をメインに販売してきましたが、じつはエイブル設立前に修行していた時代に、AMCイーグルの新車を扱っていたんですよね。その時の想いもあって、イーグルを見るたびに手に入れてコツコツ整備&販売してきた流れですかね」

 なるほど。大した数が流通しているわけでもない、どちらかというとマイナーなイーグルを今なお扱っている理由とは、修業時代の思い出と当時思っていたイーグルの欠点の解消という。

 後者にいたっては、独自にV8エンジンを搭載するなどのオリジナルカスタムも行っている。しかも新車時のイーグルを知っているだけに、メンテナンスやパーツ情報等にも精通しているわけである。

 たった2時間弱の試乗ですべての粗探しをするのは不可能だったが、少なくとも走る、止まる、曲がるに関する部分においてはまったく問題がない。

 まあもちろん、このまま何も起きずにずっと乗り続けられるかどうかは正直分からぬが、少なくともこの個体においては、イーグルワゴンを味わう上で必要となる要素の多くを持ち合わせているだけに(フルノーマルってのも最高だし)、多少のメンテナンスを承知の上でも手に入れるだけの価値が十分にあるのではないかと思う。

 興味ある方やイーグルワゴンに思い入れのある方は、実物を見てみることを是非お勧めしたい。

ワゴンの利便性を確かめるべくリアハッチを開けてみた。開口部は非常に広い。なお、このハッチのヒンジがガタツク車輌が多いとのことだが、このイーグルはまったく問題なしだった。

ハッチを閉めて初めて気付いたのだが、リア全体に抑揚が効いた凝ったデザインになっている。最初はぶつけて凹んでいるのかと思ったくらいだった。

当時の新車時を知らないだけにあまり正確なことは言えないが、少なくともこのイーグルに乗って、違和感を感じることが少なかったのは事実である。30年前のクルマと言われても、それほどの古さというかボロさを感じなかったし。ハンドリング云々を語るクルマではないが、「旧車の雰囲気が味わえる都会的な4WD」と表現できるかもしれない。

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