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試乗記 TEST RIDE クライスラー PTクルーザー カブリオ いまだ絶版名車の圧倒的に人気車種 VOL.2

クライスラー PTクルーザー カブリオ

幌を上げても下げても美しいクルマなんて滅多にない

ここ数年、ちょっと古いものに人気が集まっているという。クルマもしかり。国産車なんかはメーカー自身がオールドテイストの車両を出したり復刻したり。ということで、ちょっと古い絶版系の中古車を集めました。もちろん厳選した車両のみです。

更新日:2018.02.02文/吉田昌宏 写真/古閑章郎

取材協力

エイブル
TEL 044-857-1836 [ホームページ]

全世界累計135万台の販売台数を誇る名車

 1930年代に登場した名車・クライスラーエアフロー。先進技術と曲面を多用した流線型のフォルムが特徴だったエアフローのフォルムをベースに具現化したのがPTクルーザーだった。

 1999年のデトロイトショーでデビューしたPTクルーザーは、2000年に日本デビュー。当初は2リッターエンジンが搭載されたのみだったが(本国には2.4リッターもあり)、04年後半から2.4リッターへと排気量を拡大させ、06年では内外装の仕様変更にてリフレッシュを行い、生産終了となった2010年までに、全世界累計135万台の販売台数を誇る名車となった。

 また、デビュー当時以降流行った復刻デザインおよび懐古主義的なクルマの先駆け的な存在とも言えるのである(PT以降フォードサンダーバード、マスタング、クライスラー300、ダッジチャージャー、チャレンジャー…etc へと続く)。

 撮影車輌は2004年型。7万8000km走行のディーラー車という個体。カブリオの歴史をちょっと振り返ると、2004年に正規モデルとして登場。当初は左ハンドルのみで2007年モデルから右ハンドル仕様となる。そして2008年が最終モデルとなる(つまり日本に正規輸入されたのは5年)。

 カブリオで感じる大きな違いはスタイリングだ。クローズドボディは4ドアだが、カブリオは2ドアボディになっている。そのためAピラー以降はシャシーも含めて新設計され、全長4330ミリ、全幅1750ミリ、ホイールベース2615ミリはセダンと同じだが、全高が90ミリも低い!(この高さがカブリオの絶妙なスタイリングバランスを形成している)。

 またドアはセダンより188ミリ長く、それだけにスポーティな印象が強い。また、2ドアながらも後席の乗り降りなどの利便性にも優れている。
1930年代の名車・先進技術と曲面を多用した流線型のフォルムが特徴だったエアフロー。
ただルーフを切ったオープンカーではなく、屋根をなくしたことで、オープンカーらしくアレンジされているのが嬉しい。個性的なスタイルとインテリア、それに開放感。これにはどんなアメ車も太刀打ちできない。
幌はセンターコンソールのボタンを押せば約10秒くらいで開けることが可能である。
熱線付きリアガラスウインドーを備えたソフトトップは、三層構造の頑強さで、耐候性と遮音性にも優れる。
ホイールは社外品に交換されている。ここは好みに応じて変更したい。
搭載されるエンジンは、2.4リッター直4エンジン。143馬力、21.8kg-mを発生させる。数字だけを見れば2リッターエンジンと大差なく見えるが、実際にはかなりの体感上の違いがある。

2.4Lエンジンの恩恵を受ける

 気になるソフトトップだが、熱線付きリアガラスウインドーを備えたソフトトップは、三層構造の頑強さで、耐候性と遮音性にも優れ、高速走行時における空力によるトップのバタつきや膨らみも皆無。

 このトップは、頭上のロックを解除すれば、後はセンターコンソールのスイッチを押して10秒という早業で、開閉が可能である。

 搭載されるエンジンは、2.4リッター直4エンジン。クローズドの4ドアに搭載されていた2リッターエンジンが141馬力、最大トルク19.2kg-mを発生させるのに対し、2.4リッターは143馬力、21.8kg-mを発生させる。

 数字だけをみれば大した違いは感じないかもしれないが、実際は体感上の違いはかなりあり、2.4の方が圧倒的に力強い(トランスミッションのギア比は同じだが、最終減速比は若干違う。また、2リッターはレギュラー仕様だが、2.4はハイオク仕様となる)。
Bピラーを支えているロールバーが、オープン時のアイコンとなっていると同時に整流効果を発揮し、高速時の風の巻き込みを不整でくれる。

インテリアはクラシックな雰囲気で満たされる

 ただ、クローズドはカブリオよりも60kg(大人一人分)軽いから、2リッターでもあまりパワー不足は感じない。カブリオレはちょっと重いだけに、最初から2.4リッターを搭載することで、動力性能的な不満が起きないよう対処しているのだろう。

 実際に力不足はまったく感じないし、実用トルクが太いせいか、かなり活発に走る。

 一方レトロ調なエクステリアと上手く調和のとれたインテリアは、ドライバーに船の舵取りの印象を与える細身スポークのステアリングの他に、メーター周囲にはボディカラーと同色のパネルがあしらわれ、グレーのボール状のシフトノブに至るまで見事クラシックな雰囲気で満たされている。

 決して高級とは言えないが、気の利いた演出で安っぽさは見事帳消しされているのである。というかひと言、「素敵」である。
生憎の天候だったためにクローズド走行。だが、買ったらいつも屋根を開けて走りたい。オープンカーに乗るといつも感じるが、屋根を開けて走った時と閉めて走った時とでは、感じがまったく違う。つまり、一台で二度美味しいクルマだ。
PTクルーザーは、ボディカラーによって異なるインテリアカラーが設定されている。内外装とも、デザインが非常に凝っている。
メーター回りのアレンジも心憎い演出。いまやこういったアレンジの利いたインテリアは現行マスタング以外には存在しないし。
オートスティック機能付きのフロアシフト4速ATが標準。オートスティック機能は、イマドキの優れたものではないが、必要に応じた操作は可能であり、普通に乗っているレベルでは問題や不満はまったくない。
フロントレザーシートには使用感が残されているが、それは致し方ない。ただし、PT自体の機能性溢れるクルマ自体に納得すれば、この個体なら十分な満足感が得られる。
もともとPTクルーザー自体が、後席が使える最高の実用車だっただけに、カブリオになってもそれは変わらず、窮屈さを微塵も感じさせないリア空間がもたらされる。2ドアだが乗降性にも不満はない。
全高をクローズドモデル比90ミリ下げたおかげで2ドアとしてのバランスを最適化しているのと同時に、幌を下げた際のチョップドルーフ的なスタイリングを形成している。これでも車内で頭上に窮屈さを感じることがないのはさすが。

ディーラー車ベースの安心感

 撮影車輌は2004年型。7万8000km走行のディーラー車。まだ左ハンドル時代の個体であり、個人的には左ハンがオススメだと思うから絶好のターゲット。

 距離はかさんでいるが、そのぶんディーラー個体だけあってシッカリしたPDIを受けていることもあり、長期使用における経年劣化の差がまったく違う。

 試乗においては、コンバーチブルという屋根のないボディの劣化を心配したが、ボディ中央に走るロールバーがシッカリ効いており、年式や距離ほどのヤレは感じない。

 それより、つい最近まで実際に走っていた車両ということもあり、エンジンやミッションの調子が抜群にいい。

 決してハード走行するための車両ではないから、飛ばす領域での感触は正直不明だが、少なくとも一般道を普通に走り、かつ80キロから100キロくらいの速度域で走行するようなシーンを思い浮かべても、十分に現役で行けるだけの素地はあると思う。
エンジンは4気筒。大したパワーもなく、高揚感もない。だけど、小さいながらも室内空間に配慮を加えた結果、窮屈過ぎることもなく、クルマとしてまともである。だから、アメ車とかアメ車じゃないとか関係なく、クルマとして乗って楽しい。で、屋根を開けたら、もっと楽しいし気持ちいい。

絶版車だからこその魅力

 たとえば、この車両をベースに足回り等の消耗品関連を交換すれば、かなりピシっとするだろう。実際、エイブルの原氏も「このままでも乗れますし、ここから手を入れてよりシッカリとさせることも可能です」という。

 タマ数の少ないディーラー車のカブリオレということで、すでに絶版の中古車ではあるが、非常に魅力的と言えるだろう。

 2.4リッター直4エンジンからはアメリカンな息吹をそれほど感じることはないが、PTは、その存在自体がすでにアメリカンであるからすべてが許せてしまう。

 さらにカブリオは、なりは小さいが走っているだけで人々に優雅さを感じさせる珍しいクルマだし、カジュアルにも使え、何よりデザインが素晴らしい。幌を上げても下げても美しいクルマなんて滅多にないのである。
こういう年代の、こういった魅力的な車両たちを後世に残していかなければ、日本におけるアメ車業界の未来はない。もはや高額所得者の車両と化している現代の最新アメ車が買えるのなら全く問題ないが。
筆者的にもこれら二台は、新車時を体験しているだけあって、懐かしさとともに、その新車時代を彷彿とさせる個体がまだ残っていることに感動するし、是非後世に大切に繋いで欲しいと願っている。

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