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試乗記 TEST RIDE 2018 フォード シェルビーGT350ハードなマスタングを欲するなら一気にGT350へ

2018 フォード シェルビーGT350

マスタングV8をMT車で味わう vol.2

MT車で味わうアメリカンV8エンジン。その2はシェルビーGT350。専用エンジンを搭載するスペシャルなマスタングである。

更新日:2019.11.27文/石山英次 写真/古閑章郎

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 続いて2018年型のシェルビーGT350。真っ赤なボディが似合う。この車両は約6800キロの走行距離だが、これまたほとんど使用感が感じられないほどのコンディションである。

 シェルビーGT350は、2019年までは現行マスタングのトップグレードに君臨していた。2020年からは760hpのシェルビーGT500にその座を譲るが、それでも350の希少性はまったく劣らないと思っている。

 たとえば、前エントリーで紹介したマスタングV8GTカリフォルニアパッケージのMT車も圧倒的に楽しいし、シフトフィールもまるでマツダロードスターのようなショートストロークで小気味よいしで、MT車の醍醐味が十分に味わえる。

 だが。この350だと、そこにさらなるフィールの良さと速さが伴い、さらにレーシーな雰囲気も充満しているから、あくまで個人的な意見だが、まるでスーパーカーのような、ちょっとした官能性のようなものまで味わえる気がしている。
マスタング+レーシングストライプという印象が強いスペシャルモデルだが、この個体のようにストライプレスの車両は、またそれで魅力的だ。
ノーマルマスタングよりも大きく開かれたグリルや各部インテーク類のエア導入口が特徴である。ノーマルマスタングと見比べるとその違いは一目瞭然である。
2018年でベースのマスタングがマイナーチェンジを行っているが、シェルビーGT350はフロントマスク等デザインの変更はない。
19インチアルミにブレンボブレーキを装備する。
搭載されるエンジンは、526hp、最大トルク429lb-ftを発生させ、レブリミットが8250rpmとアメ車としては異例の高回転型パワーユニットとなっている。
フロントセクションの一部にカーボンパーツを使用し、軽量化と高剛性を実現している。
ガッチリと組まれたタワーバーの効果か、車体の剛性感やハンドリングレスポンスの高さは、アメ車随一。

マスタングの姿をしたスーパーカー

 なので、V8GTとGT350との閒には、古い話で恐縮だが、ノーマルNSXとNSXタイプRのような違いがあり、ハードなマシンを欲するなら一気にGT350に行ってしまった方がいいと思う。

 しかも、「もうじきGT350は生産終了」との話もあり、それは生産の手間とコストとの兼ね合いということだから、逆にいえばそれだけ手の込んだマシン、とも言うことできるはずである。

 余談だが、たとえば7リッターV8を搭載したC6コルベットZ06やシボレーカマロZ28(2014-2015)等は、今や本国の中古車市場では取り合いとなっており、日本でもこの2台の中古車はなかなかの高価格である。といってもシボレーカマロZ28は、そもそも日本への流入量自体が少ないために、ほとんどお目にかかれないが。

 で、何が言いたいかといえば、上記2台のマシンは、その時代のみのスペシャルなエンジンを搭載していることが人気の秘密である。であるならば、このGT350も当然ながらそういった人気車になる条件を揃えていると言っていい。

 くわえて、ボディの作りもベースからして違う。フロントセクションの一部にカーボンパーツを使用し、軽量化と高剛性を実現している。なので、その強さと軽さはステアリングの反応に顕著であり、この部分だけもノーマルのマスタングGTとは雲泥の差である。

 しかもMT車のシフトストロークは節度感がありながらも操作に要する力は軽くスムーズであり、フォード謹製5.2リッターV8NAエンジンの絶品のレスポンスと吹け上がりを味わうことができる。

 このエンジン、レブリミットが8250rpmとアメ車としては異例の高回転型ユニット。既存のクランクシャフトをフェラーリ等の高回転型ユニット同様の置き位置にわざわざ変更して「回せるV8」を作り上げた。

フォード自身が「傑作」と豪語するマシン

 2020年に登場するシェルビーGT500は、GT350のエンジンをベースにするが、このクランクシャフトは採用せず、もとのV8の置き位置に戻して使用している。

 ということもあって、GT350に搭載される5.2リッターV8NAエンジンは526hp、最大トルク429lb-ftを発生させ、スーパーカーに匹敵する官能性能をも備えているのである。

 なお、この車両はBCD50プランの対象車となっており、対象車は1年保証及び、3年後の買い取り価格50%が保証され、さらに2年間のメンテナンスがすべてパッケージングされたプランとなるから、他店と比較しても圧倒的に買い易いということが言えるだろう。

 半年くらい前に乗った10速ATの現行マスタングエコブーストは、それはそれで絶品だった。10速ATが洗練されており、「他に選択肢はないな」と確実に思わせるだけの存在だった。

 だが、V8エンジン搭載車となると、どうしても「MTがいい」と思ってしまう自分がいる。
惚れ惚れしたフィーリング。V8NAエンジンをMTで味わえる車両は、世界中を見渡しても限られるのである。
インテリア全体の雰囲気は、ノーマルマスタングをベースとしたものだが、ステアリングの持ち手部分がスエードになるなど若干変化も加えられる。
スーパースポーツ顔負けのエンジンパフォーマンスをTREMEC社製の6速マニュアルトランスミッションで操る。ミッション自体は、ストロークが短いスポーティなもの。
クラッチは適度に重く、繋がる位置が他車より若干高い位置にある。だが、しばらく走れば慣れる。このクラッチ操作とシフト操作がシンクロしたときの充実感こそMT車の醍醐味だ。
フォード車として初採用となったマグネライドサスペンションに19インチホイールとブレンボ社製大径ブレーキが組み合わされる。
油圧、油温メーターが装備されるのが、スーパースポーツの証。シッカリ管理しなければならない。
超攻撃的なバケットシートを想像していたが、この車両には比較的安楽なシートが装着されていた。だが、待ち乗り重視ではこの方が断然乗りやすい(好みの問題もあるあるだろうが)。

世界中を見渡しても数えるほどしかないV8MT車

 それは何故か。「大排気量V8NAエンジン」をMTで乗れる車両が世界中を見渡しても数えるほどしかないからである。

 自分は、正直、アメ車好きというよりは、自動車好きである。で、そんな人間がアメ車を見た場合の最大の特徴が、大排気量V8だと思っている。

 だからそんな希少価値の高いエンジンをMTで乗れるなら絶対に乗るべきだ、と常々思っているわけで。しかも、実際に乗ってみると、アメリカンV8は、BMWの直6ターボやAMGのV8エンジンにも劣らないほどの魅力を備えている。

 しかも、シェルビーGT350なら、そのV8を手間暇かけ、さらに一段と磨き上げているわけだから希少価値は高いし、その性能や作り込みは、当時のGM製7リッターV8に勝るとも劣らない出来栄えと言っていいのである。

 ということで、後世に渡って名を残すであろうシェルビーGT350は、フォードが本気で作った珠玉のV8NAエンジンを搭載しており、マスタングではあるが、別格な存在として評価されるべき存在なのである。
エンジン本体はハンドビルドされ、組み上げた担当車のネームプレートが備わる。

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