ダッジマグナムとは、2004年にデビューし2008年に生産終了したワゴンモデル。ベースとなるのは300C、チャージャーといったLXプラットフォーム車であり、だから搭載エンジンもミッションも足回りも、それら車両に準じている。
とはいえ、5年という短命に終わった理由は、アメリカでのSUV人気の高騰によるワゴン不人気。
だが、モノはいいだけに、しかも当時日本にはレガシィワゴンに続くワゴン人気が若干だがあったせいもあり、一時的に中古車の爆発的人気を呼ぶも、次第にまともな車両のタマ数が減り、現在に至る。
ちなみにマグナムは、生産されていた5年の間に2度ほど大きなモデルチェンジを行っている。1つは6.1リッターV8搭載の「SRT-8」が追加されたこと。もうひとつがフェイスリフトを行った最終後期型のフェイスチェンジ。このチェンジによってフロントマスクにシャープさが加わり、テコ入れを図ったのだが…。
さて、ここで紹介するマグナムは、2007年型を新車で購入されたオーナーさんがその後13年経った今なお所有している車両。これまでの13年間に適宜ブラッシュアップを図っており、今回その完成型のお披露目として取材させていただいた。
まずボディだが、レーストラックオリジナルエアロ「KIBA」のシリーズ2を装着している。「KIBA」とは、日本狼をモチーフにした、非常にアグレッシブかつ和風テイストな仕上がりが特徴のエアロであり、フロントグリル、バンパースポイラー、サイドステップで構成されている。
戦闘的でありつつも、スタイリッシュかつ質の高さを表現するこのエアロは、シリーズ2ということで、フロントスポイラーにフォグランプを付け、新たな表情の違いに挑戦しているという。
同時に、まるで狼を思わせるフロントヘッドライトのアイラインがエアロ全体とマッチし、「KIBA」らしさを強調させているのである。
一方、搭載されるエンジンは、ノーマルの5.7リッターV8HEMIをベースにヘダースとオリジナルマフラーを装着し、豪快な加速とふけ上がりとキレのある最高のサウンドを演出している。
実際に試乗すれば、非常にアグレッシブな走りが体験でき、サスペンションの動きもダイレクトかつ俊敏でコントロールしやすい。
さて、今回あえて完成型と称したのは、足回りを含む、フェンダー類の再構成が行われたからである。見ればわかるが、ワイドボディ化されており、このフェンダーは叩き出しのオーバーフェンダーであり、あえてこのマグナムだけのための作業として製作されている。
一般的にオーバーフェンダーといえば、社外のFRP製後付けフェンダーを板金加工して取り付けるか、もしくはこれまた社外のオーバーフェンダーをビス止め風にアレンジして装着するとか、とにかくフェンダー部分の加工のみが連想される。というのも、その方が安く済むからだろう(コスト度返しでそういう風をあえて求める方もいるでしょうけど)。
だが、このマグナムは、メインボディからの流れるようなラインを形成し、まるでオリジナルボディであったかのような、非常に自然なフェンダーラインを作り出していることが最大の特徴。
たとえばノーマルのメルセデスベンツに対するAMGブラックシリーズのようなオーバーフェンダーとでも言えばわかりやすいか。
なので完成型を見ると、オーバーフェンダーですよ、といったわざとらしがまったくなく、非常に小奇麗にまとまっているのがわかる。それでいてワイド感は確実に出ているから街中を走っている時の他車に対する迫力といったら格別である。
このフェンダーに対し、足回りは車高を調整し、サスペンションの変更を行い、またホイールには20インチのWORK エクイップを装備し、張り出したフェンダーに合わせたリム幅の調整によってツライチを実現している。
レーストラックの高橋氏によれば「今回のフェンダ-は鉄板の叩き出しです。FRPの製品ももちろん良いですが、製品ロットによっては当たり外れがあり、粗悪品になると装着時の加工や塗装痩せやFRP特有のうねり、変形、経年劣化によるクラックが出る場合もあります。
このマグナムのオーナーさんは『長く乗る方』なので、あえて叩き出しで、ボディからの自然なラインを重視した耐久性の高いフェンダーにしています。
オーバーフェンダーは、一歩間違えると下品にも成り下がり、いわゆるチバラギ仕様のような存在にもなってしますから(もちろんそういったモノを望む場合にはそういった対応も可能ですが)、今回はマグナムのオリジナルの品を生かしたワイドボディ化がポイントです」
13年乗ってきたマグナムのワイドボディ化によって、「変化」が生じたことで再び長く愛せるようになるだろうし、オンリーワンなカスタマイズによって、唯一無二のマグナムになったわけだし、愛車のブラッシュアップは長く乗るための「秘訣」ということが言えるだろう。
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