TEST RIDE

[試乗記]

5年落ちで購入しその後23年間所有してきたオーナーカー

1992 シボレーコルベット C4

長く乗る秘訣は適度なリフレッシュと衣替え

1台のアメ車に長く乗っていると時にやってくる倦怠感。「あ〜乗り換えたいな」。だが、そうは言っても実際には「乗りたいクルマが見つからない」ということもある。そんな時は思い切って衣替えをしてみるのも良いかもしれない。そんな体験を踏まえたオーナーカーの取材。

更新日:2020.08.11

文/石山英次 写真/古閑章郎

取材協力/ジャパンレーストラックトレンズ TEL 0356613836 [ホームページ] [詳細情報]

初見はまるでスーパーカーのような印象だった

 いきなり余談で恐縮だが、筆者がコルベットに興味を持ち始めたのがC4時代だった。今からちょうど30年前くらいだろうか。某自動車雑誌に出ていた吉川晃司が当時、C4ZR1とフェラーリ348の2台持ち、という記事を読んだのが最初だった。「348で釣りに行く」というコメントに度肝を抜かれたのを思い出す!

 正直、それまでコルベットなんて眼中になかった(笑)。当時の我々のヒーローはR32GT-Rであったし、そのライバルたるポルシェ911だったから。だが、その記事後にコルベットやその周辺の外車に興味を持ち始めた。ロータスエスプリなんてクルマを知ったのもちょうどその頃だったと思う。

 驚くことに、筆者の自宅近所にロータスエスプリを愛でるオッサンがいる(笑)。日曜の朝、雨が降らなきゃ近所を走らせている姿をしょっちゅう目撃するのである。

 閑話休題。

 取材車輌は92年型コルベットC4。この車両のオーナーさんは約5年落ちの97年に入手。ボディはブラックだった。並行モノということで心配だったが、当時から知り合だったレーストラックに面倒を見てもらう前提で購入した。

84年に登場したC4コルベットはそれまでのC3と比べ、スタイリングを一新すると同時に「運動性能とハンドリングの向上」という目標を掲げ、世界に通用するスポーツカーを目指した。

C3と比較すると、よりワイド&ローが強調されることになり、ディメンションの変更が操縦安定性にも大きく関わり、スポーツカーとしての資質を格段に向上させた。取材車はそんなC4の92年型。

さすがに10数年乗っていると飽きる

 それ以来、メンテナンスしながらずっと乗ってきた。適度に手を入れつつ、購入時のノーマル状態を維持しつつ。

 それから大きなトラブルもなく10数年が経つ。時にマフラーを換えたがうるさくて家族に不評だったためにノーマルに戻し、また再び他メーカー品に換えたりもした。

 時に乗り換えも検討。さすがに10数年乗ると飽きる。だが乗り換えるべきクルマが見当たらず。ならば、ということでホイールを交換。18インチのアメリカンレーシングが輝く。

 メッキがキラキラ光りアメリカ的な雰囲気になったが、同時にホイール内がよく見えるようになりブレーキのもの足りなさが気になるものの、頭の片隅では乗り換えを模索している自分もいるからあまりお金をかける気にもならず。

メカニカルな部分はすべて完調だった。リトラクタブルヘッドライトも見事に動く。当たり前の動作だが、今の時代には貴重な存在。

大きなトラブルもなく好調を維持しているエンジンは、C4の魅力のひとつ。アメ車らしい低速トルクが武器の5.7リッターV8。最新のアメ車にはないV8らしい息吹や振動も魅力的である。

このリアスタイルとテールランプに憧れたものである。30年前はまるでスーパーカーのような存在に思えたほど刺激的に見えた。

動作確認してみて、不安要素、不満要素がまったくなかった。これまでの間ずっと乗りながら好調を維持していたことと、過度なカスタムを施してこなかったことが要因のひとつであるだろう。速さではイマドキの最新スポーツカーには明らかに叶わないが、乗り手の満足度やカッコ良さはまったく引けを取らない。

乗り換えを検討するが…

 そんな時にレーストラックの高橋氏からひと言。今から7年前の2013年のことである。「C5ならまだ手に入るけど、C4はもう手に入らないよ。少なくともこれだけの個体はさ。それにこのクルマには、かれこれ16年、君が手をかけてきた歴史と価値が備わってるわけだしね」

 たしかにC4が嫌いになったわけではないし、降りることを決意させるほどの大きなトラブルや出費があるわけではなかった。が、かといって新しく乗りたいアメ車があるわけでもない。何かいいのないかな? と思う程度の気持ちがあるだけ。

 ということで、考え抜いた末に出した結論がC4のイメージチェンジだった。オールペンとブレーキチューン。オールペンに関しては、昔から好みだったブルー系にペイントし、ブレーキには大型キャリパーとローターをセット。

 ブルーは日の光によって輝きが異なるダークブルーをチョイス。ブルーにも見えるが角度によってはナス紺のようにも見えるようなカラーでオーダーし、ブレーキにはアルコンベアーの6ポッドと穴開きスリットローターを装備することにしたのである。

 これまた余談であるが、このブルーを調合する時に出した依頼が、「京成スカイライナーのブルー」ということだった。京成スカイライナーとは、つい先日お亡くなりになった山本寛斎氏が手がけたもの。その時のブルーを模したオールペンの実行である。

イメージチェンジを狙ってオールペンを施工。ブルー好きのオーナーさんは京成スカイライナーと同様のブルーを依頼。まるで純正色のような収まりが素敵だった。

年代モノの車両へのホイールセレクトは案外難しいが、このC4に装着した18インチのアメリカンレーシングは、古さと新しさを上手くマッチさせ、いい塩梅に収まっている。

18インチホイール内にはアルコンベアー製の6ポッドブレーキキャリパーとローターがセットされた。ホイールも含めメカニカルな感じがC4のスポーツ性にマッチしている。

このボディラインこそがC4コルベットの真骨頂。今見ても非常に美しい。

心機一転イメージチェンジ

 さて、まずブレーキだが、18インチホイールに収まった大径ブレーキのメカニカルな感じが、ちょっと古めのボディに良い刺激を与え、雰囲気がガラリと変わったという。

 それにスポーツカーとしてはブレーキに余裕があった方がいいに決まっているし、最新スポーツカーのような凄みも加わり、とにかくホイールとのマッチングが最高である。

 一方、京成スカイライナーブルーのボディも、まるでC4の純正色にあったかのようなブルーメタリックの雰囲気を醸し出し、いじってはいるが、ノーマル状態とうまくミックスさせていて、全体のバランスや雰囲気を壊していないのがいい。正直、話を聞くまでは純正色かと思い込んでいたほどだった。

 「実物を見ると分かるんだけど、横から見てボディ上部と下部とでは、見える色が異なるんですよ。上はブルーに見えて、下は紺とか黒に見える。けど真後ろからみると上下ともブルーに見える。小さいことだけど、変化を加えてるんですね。でもそれでいてちゃんとC4のままでしょ(笑)」

 そういった細かいコダワリのなか作られたC4ではあるが、筆者として一番気に入ったのが、C4らしさを失っていないこと。

 過去に見たC4は、エアロを装着してC4特有のボディラインを消してしまっているクルマが多かった。C4の良さは何といってもそのボディラインの美しさに尽きる。コルベットらしさを残しつつも(C3テイストも残る)、欧州車テイストを盛り込んだ絶妙なライン。でも明らかにコルベットであると主張するデザイン。

全体的にプラスチッキーなインテリアではあるが、コックピットと呼ぶに相応しいタイトな空間や各種造形(デジタルメーターや手前のボタンスイッチ)が魅力的。

懐かしいデジタルとアナログが融合したメーター。すべて動作確認済。

センターコンソールの質感はプラスチッキーそのものだが、造形は魅力的。

絶妙なアレンジがもたらすC4の魅力

 けれど、エアロを付けることですべて台無しじゃないかと。それにホイールのセレクトも、モノによってはかなりのイメージダウンをもたらすものがあるから難しい。

 だが、今回のオーナーカーは絶妙なアレンジによって輝きが増している。C4のボディラインを維持していたことが絶対な勝因であると思う。

 取材時で購入後23年。過去に酷いC4に何度も乗った経験があるが、このC4の状態の良さが明確に伝わってきた。何より乗り心地に角がなく、すべてにおいてスムーズ極まりない印象だったのには驚いた。逆に、こういう風に維持できるんだな、と勉強にもなった。

 長く乗ってきた愛車に飽きが来たら、次なる愛車に乗り換えることはもちろんありだが、こうしたひと手間を加えることで愛車の魅力を再確認することもまたステキな話である。しかもその愛車が歴史的名車であるならば、なおのことである。

 最後にひとつ。このオーナーさん、昨年末銀座付近の中央通り沿いに止めていたら、「このクルマなんですか?」と声をかけられたそう。さすがに古いんだな、と思うとともに、そうしたクルマに乗っている自分がちょっと誇らしくなったということである。

取材時にはコニのショックが装備される。硬過ぎず、適度なシャープさが心地良い。

取材時にはボーラのマフラーを装着しているため、爆音ほどじゃないが、重低音が響いている。

めちゃめちゃシワが刻まれたレザーシートだが、これはオーナーさんが23年に渡り刻んできた歴史でもあり、ボロボロにヤレたわけではないから、これはこれで素敵な勲章だろう。

こんな素敵なスポーツカーが今後も公道を走れるのだから、ホントに素晴らしいことだと思う。

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