復刻版サンダーバードの前に、ベースとなったサンダーバードのお話。初代サンダーバードは1955年に登場。丸目2灯のフロントマスクにグラスファイバー製のハードトップを装備したオープン2シーターとしてデビューしたモデル。
サンダーバードは、その後モデル変遷を繰り返しながら42年間製作され、1997年に生産終了となる。
そしてその2年後の1999年のデトロイトショーにコンセプトカーが登場。初代サンダーバードをモダンにリメイクした復刻版サンダーバードである。
で、2年後の2001年のデトロイトショーにて量産型が正式デビュー。あっという間の早ワザだったが、人気は圧倒的で、翌年の発売時には瞬時にsold outとなった(初期は限定生産&爆発的人気で一瞬にしてプレミア価格になったほど)。
そしてそれは、その後に続くフォード復刻路線の第一弾モデルでもあったのである。
この復刻版サンダーバードは、1955年に登場した初代モデルを強く意識したデザインとなっているが、このデザインを担当したのがジェイ・メイズ。後にフォードGTや2005年に登場するマスタングを手がけた人物である。
▲初代サンダーバードは1955年から1957までの3年間のみ製作されたが、この型は歴代モデルの中で最も受け入れられた超人気モデルだった。本国では「サンダーバード」と聞いて人々が思い起こすのは、必ずやこのモデルであり、だからこその復刻モデル誕生であった。
▲過去のモデルを忠実に再現デザインし、そこに現代的な安全基準等を盛り込んでいく手法によって誕生したレトロ風現代車の第一弾だった。
彼の特徴は、マスタングでもそうなのだが、基本的にはベースとなったモデルのスタイリングをそのまま踏襲すること。そしてそこに現代的な安全基準等を埋め込んで行く。
したがって(当然ながら)サンダーバードに関しても、丸型ヘッドランプ、ボンネットスクープ、クロームメッキされたウインドシールド、左右一杯に広がったフロントグリル等、初代モデルの外見上の特徴をほぼすべて盛り込んでおり、さらにそいつを見事、現代風にアレンジしているのである(だからこそ魅力的)。
ちなみに、この復刻デザイン路線(マスタングを含め)は、ご存知の通りアメリカ本国では大成功を収めた!
今回取材したモデルは2003年型。ガンメタリックのボディにブラックの内装というコンビネーションで取り外し可能なハードトップとブラックの電動幌を備えたモデル。
多少手間がかかるがハードトップは脱着が可能であり(大人二名で、そして置き場所が必要)、取り外せばコンバーチブル、フルオープンボディと3つのスタイルを楽しむことができる。
▲ソフトトップ、オープン、ハードトップの三種類の楽しみ方がある。一番手軽なのが、ソフトトップで気軽にオープンを楽しむ方法。もちろん電動オープンである。
▲ハードトップを装着すれば、車体の剛性が上がるが、その分気軽にオープンを楽しめなくなる。ただし、それには取り外したハードトップの置き場所が必要になる。取り外しにも大人二人が確実に必要となる。
▲置き場所があれば、気軽にコンバーチブルを楽しむことができるはずだが、これまで日本で見たこの型のサンダーバードはすべてハードトップ装着のままだった。
▲過去のモデルの完全なるコピーにはならないのだが、その時代の雰囲気は確実に捉えており、しかも車両パフォーマンスは現代的だから、レトロ風な現代車として人気が高い。
スタイリングは、丸目2灯にかわいらしさを感じさせるものの、全体の雰囲気は非常に洗練されている。さらにボディ寸法の縦横比率が絶妙であり、トータル的に均整が取れていてバランスが非常にいい。初代ほど、とは言わないまでも、美しさを感じさせるデザインである。
このサンダーバードに搭載されるエンジンは、3.9リッターV8。リンカーンLSに搭載されていたモデルの改良版であり、252ps、最大トルク36.9kg-mを発生させる。そこに5段ATが組み合わされ、軽快感溢れる走りが可能となる。
この車両は、ガレージダイバンが一度販売したものであり、ちょっと前に戻ってきたもの。ダイバンは過去、複数台のこの型のサンダーバードを販売しており、いずれもすぐに売れていくというほど人気が高かったという。しかもトラブルが頻繁に起こる車種ではないということで、扱う側としても安心して売れるという。
で、実車は非常に美しいクーペボディであり、それほど大きく感じないし実際に扱いやすい。乗ればボディ四隅の感覚がわかりやすく、車内空間は快適そのもの。
スポーツカーのようなタイトな感じではないが、あくまでスポーティカーとしての雰囲気を大切にしている空間であり、すべてにおいて扱いやすさがにじみでている。
しかも各部の作りが非常に丁寧であり、メーター内の色使い、特にエメラルドグリーンの差し色が洒落ており、室内にはアルミパネルが貼られる等、デザイン的にも質感的にも満足できる。
さらに電動開閉式の幌は、頭上のロックを手動で外し、センターコンソール下部にあるボタンを押すだけ。20秒もしないで開閉が可能となり実用性が高い。
▲搭載されるエンジンは、3.9リッターV8。252ps、最大トルク36.9kg-mを発生させ、5速ATと組み合わされる。
▲5速ATのシフトノブの形状も握りやすく、ゲートの動きも極めてスムーズ。この手の高級車に必要な洗練されたフィーリングである。ちなみにその奥に見えるコンソールのスイッチが電動開閉可能な幌のスイッチとなる。
▲インテリアは、パフォーマンスカーのようにタイトな空間ではなく、程よい密度の洗練された質感で満たされる。
搭載される3.9リッターV8は、あまり馴染みのない排気量ではあるが、実際に走り出せばすべての操作系の軽さと相まって、軽やかかつスムーズなドライブが可能である。5段ATの変速マナーも素晴らしく、ブレーキフィールにもまったく違和感がないために、運転自体はすぐに慣れるし、楽である。
さらにオープンにしてもサイドウインドーを上げれば風の巻き込みを最小限に抑えることも出来るため、嫌な感じがほとんどない。
ハードトップ装着でも走ってみたが、気になるオープンボディの剛性感は確実に上がる。だからハードトップとボディとの間でミシミシ音が若干するものの、十分にクーペとして使えることがわかったのである。
ただし、ハードトップの脱着には大人二人が絶対に必要なので、最初からハードトップを装着していると取り外さずにずっとクーペで使用し続けてしまう可能性は高いかもしれない。
▲全体的にシンプルであるが、メーター内にはポップなカラーリングが用いられており、良好な雰囲気をもたらしてくれる。
▲各部の作りが非常に丁寧であり、室内にはアルミパネルが貼られる等デザイン的にも質感的にも満足できる。
▲シートは、レザーシートで質感も高い。ホールド性も良く、不満はまったくない。中古車としてもきになるまでのヤレを感じることはない。
▲初代モデルの特徴を上手く捉えており、ボディ縦横比のバランスが良く、質感も高い。クロームメッキされたフロントウインドーと丸形サイドウインドーにレトロな雰囲気を感じさせる。
そういう意味では、幌で過ごすことをオススメして積極的にオープンを味わってもらいたい。
クルマ自体の程度も悪くなく、少なくとも一般道を普通に走るレベルにおていは、まだまだヤレが気になるレベルではない。
加えてエンジンルームは見事なほどキレイな状態を維持しているし、室内は自分で触れて確認済みだがコンディション良好である。
余談だが数年前の話だが、ドラマでこのクルマが使用されているシーンが複数回流れていたが、洒落た大人の男のアイテムとしての演出に使用されており、非常に似合っていたのを思い出す。金も自由もある男には、人と同じではないクルマが必要なのだろう。そんな役作りにピッタリなクルマなのだ。
また2003年製だと、それほどアメ車の急激な進化に飲まれたモデルではないから乗っていて「アメ車」を感じる部分が多分にあることが、このクルマの魅力でもある。
だから「パフォーマンス」に固執しないアメ車好きには格好の1台のような気がするし、中古車としてはまだまだ程度が良いので、しかもクオリティが高く洗練されているので、人とは違うマシンを毎日の足として使いたい方には最適だと思うのである。
▲ハードトップのピラーに開いた丸形のウインドーも初代モデルと同様のデザインになっている。
▲トランクを開けてビックリ。ほとんど使用した形跡がないほどクリーンな状態を保っている。
528万円
年式:2019年
走行距離:46,500km
BUBU横浜
648万円
年式:2020年
走行距離:19,000km
BUBU横浜
44,800円
PERFORMANCE
GDファクトリー千葉店
23,056円
PERFORMANCE
6DEGREES
17,688円
PERFORMANCE
6DEGREES
21,384円
PERFORMANCE
6DEGREES