ラングラーと言えば、誰もが知る2ドアジープであったはずが、このラングラーの日本仕様が劇的に変わったが2007年。モデル初の4ドアモデル「ラングラー アンリミテッド」が登場した時だった。
2ドアジープとBピラーまでのデザインは同じであるが、ホイールベースを520ミリ延長することで全長を拡大し、4ドアモデルを誕生させたのである。
これにより後席のレッグスペースには余裕が生まれ、荷室も2ドアラングラーの倍以上の奥行きが確保されるようになったことで、さらにハードトップ仕様となったことで、実質ファミリーカーとしての機能をも持ち合わせることになったのである(乗車定員も2ドアの4名に対して、4ドアは5人に増えた)。
この4ドアモデルの登場により、ジープの販売台数は劇的に増えた。すなわちそれは、ジープの一般化を待ち望んだユーザーが多かったということを示している。
そんなラングラーは2012年に大きなマイナーチェンジを行っており、搭載エンジンとミッションの変更がなされている。要するに現行型に繋がるエンジンが搭載され、ラングラー人気が確立したモデルが2012年以降ということになる(JK型)。
そして2018年。ご存知現行型(JL型)の登場である。このフルモデルチェンジにおいては、ラングラーの機能的部分がより現代化され扱いやすさが向上した一方で、ラングラーとしての雰囲気は一切崩されていないことが、より一層の人気につながっている。
というか、はっきり言って売れすぎである(笑)。今やメルセデスベンツよりも一般公道で目にする機会が多い日もあるくらいだし、いわゆる芸能人やスポーツ選手といった著名人の愛車としても人気らしく、そうした方々のyoutube動画がかなりの数上がっていたりする。
で、そうした中で実は今、密かな人気を呼んでいるモデルが存在する。2ドアショートボディのラングラーである。4ドアラングラーの登場によってほとんど目にする機会がなくなったラングラーではあったが、常にラインナップされており、地味に売れていた存在。
現行型では受注生産となってしまったため、これまで以上にレアな存在となってしまっているが、一世代前のJK型後期モデルあたりであれば、まだまだ十分に走れる存在。しかも今となってはレアな2ドアモデル。
だが、4ドア売れ行き上昇の反動なのか、今は同時に2ドアモデルの動きがかなり激しいという。「あればすぐに売れます」というから驚きである。
ということで、そんな2ドアの認定中古車を取材。個体は2017年型、走行距離約1.3万キロでボディカラーはシルバー。認定中古車ということで走行距離無制限の1年保証付きである。
現行JL型の80周年記念モデルの2ドアスポーツを見た時から、2ドアに対する印象が激変していたから、今回の個体を見たときにも同じように心を射抜かれた。「いいわ〜」
4ドアには4ドアなりの良さがあるのは事実だが、全体のフォルムだけを考えれば、2ドアの方に分があるのは当たり前。要するに2ドアがあってこその4ドアだからだ。
しかも実際に触れると、抜群にいい。何が良いって、とにかく取り回しが良い。ホールベースが短く、最小回転半径が小さいから、まるで普通の乗用車のような印象で取り回し可能である(2ドア、4ドアを乗り比べたらその差にきっと驚くはず)。
さらにJK型の2ドアサハラの車重が2080kgであり、4ドアサハラが2315kgであるから、235kgという車重の差がある。
搭載エンジンは同じ3.6リッターV6で284ps、最大トルク35.4kg−mを発生させるわけだが、4ドアにおいてはプラス235kg分の重りが乗っていることになる。
裏を返せば、2ドアモデルは取り回し良く、同じエンジンでもかなり軽快に走ることが可能であり、当たり前だが235kg分軽いから、良く止まる。
逆に2ドアの欠点といえば、乗車人数が4ドアの5人に対して4人と一人少ないことと、リア乗車する際の乗降性が悪い、そしてガソリンタンク容量が70L(4ドア85L)という程度。
あと高速道路を走れば、ホイールベースの短さによる安定感が4ドアよりも劣る可能性は否めないが、それは速度にもよるから、飛ばさなければさほどないとも言える。
しかも走行距離1.3万キロという奇跡的に少ない個体のディーラー車。シルバーというシンプルなボディカラーという点でもオススメである。
ちなみに、2012年マイナーチェンジから、通常ラインナップの2ドアショートモデルがサハラベースとなっており、ルーフがボディカラーと同色の貴重なモデル(JK初期型/JL現行型のショートモデルは「スポーツ」がベース)。
その認定中古車ということで、メーカーによる各部のチェックや雨漏れ等のチェック及び修繕も確実に行われているから、安心感は想像以上のものである。
個人的に今回感心したのが、旧型JKの古めかしい雰囲気である。まるで旧車のような印象さえ与えてくれる。話は若干逸れるが、新型ディフェンダーが登場しても旧型を街中で見る機会が多いのは、いまだ旧型を愛する方が多いからだろう=古いデザインやエンジンを好む方々が多い。
ラングラーにも同じことが言え、使い勝手や性能を重んじれば当然現行型へと進んでいく思うが、その逆に「あえて旧型がいい」という方がいても不思議ではない。
もしそういった古い雰囲気が好きな方であれば、今回の旧型2ドアモデルは絶好の1台だと思う。しかも4年前のモデルでこの雰囲気だが、実際にはよく走り故障に悩まされることもほぼない。
個人的には古き良き時代の雰囲気を持った理想のラングラーとして、マツダロードスターのような2シータースポーツカーを買うような気持ちで乗ってもらえるときっと楽しいと思っている。
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