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連載 REGULAR ARTICLES フォード マスタング GT (FORD MUSTANG GT)退屈な毎日に「刺激」というスパイスを

フォード マスタング GT (FORD MUSTANG GT)

路面に吸い付く安定感にも驚き

マスタングのチューニングには様々な手法があれど、ここまで手を加えたモノはそんなにないのでは? ガレージ510が制作したV8 GTは、かつてないほどのキレ味と刺激に溢れた1台であった。

更新日:2013.11.29文/椙内洋輔 写真/田中享

取材協力

ガレージ510
TEL 045-540-6080 [ホームページ] [詳細情報]

シェルビーGT500のオーナーでもある

 復刻デザインになったマスタングは、近年にないほどの販売台数を誇っている。それはもちろん日本においてもである。モデルラインナップやアフターパーツは豊富だし、いろいろなスタイルが楽しめるから、人気になる車種の「法則」にずばり当てはまる。

 カスタムにおいては、V8GTなら吸排気いじってマフラー変えて、さらに足回りといった定番メニューもあれば、スーパーチャージャー装着といったハードなメニューまで存在する。シェルビーGTなら、ちょっといじればあっという間に600hpオーバーなんてことも。もちろんV6だって十分に楽しめるわけだし(ノーマルでも楽しいけど)、そういう意味じゃ楽しめる要素がたくさんあるのが、現行マスタングの魅力である。

 そんな中でガレージ510が製作したマスタングGTを取材した。かなりの手の込みようで、チューニングレベルでいえば「松」レベル。

 ベースとなっているのは07年型のGT。初期型のV8モデルであり4.6リッターOHVで304hp、最大トルク43.4kg-mを発生させる。

 このマスタング、米軍基地勤務のオーナー(米国人)が本国から日本基地に異動になった時に一緒に持ち込まれた現地ものの6MTモデル。そのオーナーが本国に再び異動になったことで、510が手に入れたという経緯がある。

 そしてほぼノーマルだったマニュアルモデルのマスタングを半年ほどかけて手を加えて行った。

 ガレージ510のオーナーである後藤さんがここまで手を入れるきっかけになったのが、自身でシェルビーGT500を所有してチューニングしていることがあげられる。シェルビーはスーパーチャージャーということで、かなりのパワーがあるが切れ味に欠ける。だから今回NA V8エンジン(MTモデル)をいじってみることで「どこまで変わるか」体感してみたかったという。

 さらにベースとなるマスタングのボディカラーが純正のグラバーオレンジということもあり(グラバーオレンジといえばサリーンPJリミテッドモデルの存在がある)、PJに触発されたという理由もある。

 とはいえ、PJ仕様をそのまま作るのでは面白くないということで、世界中からパーツを探し、外装から各部のパフォーマンスパーツに至までひととり手を加えている。
本国マスタングカップのレースカーが装着しているフロントスポイラーを装備していることで、俄然低さが強調されるスタイルに。実際に車高も下がっているので、見た目の迫力はマスタングとは思えないほど強烈に高まっている。
リアのGTウイングもブラックカラーにペイントされていて、フロントやサイドミラー等とともに、グラバーオレンジのボディカラーにマッチしている。
基本インテリアはノーマルのまま。6MTのシフトノブにレザーシートが標準となっている。初期型のマスタングは、まだまだ工作精度が伴っていないが、当時においては非常にがんばったインテリアデザインをもたらしている。
搭載されるエンジンは、もとは4.6リッターV8だったが、チューニングによりサリーン製5リッターV8に換装された。その他カム等の交換によりキレ味鋭いNAエンジンに仕上がっている。そのフィーリングは、かつて体感したことがないほどのものであり、かなり刺激的である。
奥にヘダースが見えるが、これによりもともと充実していた低速から高回転域までストレスなく回りきるようになる。もちろんハイカム等とのマッチングもキマっているためだ。
サリーン製5リッターV8エンジンをベースにしているのこだわりようである。

単なるPJ仕様とはしなかったのはさすが

 まずエンジンであるが、サリーンPJ仕様に搭載されている5リッターV8に換装、さらに鍛造ピストンとハイカムを入れ、OHVながらも高回転仕様に耐え得るよう手を加えている。さらに吸排気系のパーツを交換し、へダースを入れワンオフのステンレスマフラーを装着。それに加えアルミラジエーターと電動の大型ファンを入れ、熱対策にも抜かりはない。この辺は、自身のシェルビーGT500をいじっていることで体験した内容を精査して盛り込んでいるという。

 こうした各部のパーツ交換にともない、コンピューターチューニングのリセッティング&チューニングも行っている。

 メインとなるエンジンの製作が終わると、まずはブレーキにブレンボの大型キャリパーを入れホース類をメッシュに換え、フロントのフレーム強化ブレースと3点式のタワーブレースを入れ、ボディの補強とストッピングパワーの増強を行っている。

 それに伴い、ローダウンし、ウレタンブッシュに交換する(リアはピロボール使用)をするとともに、キャンバー調整やミッションマウントの強化も行っている。これら足回りに装着するタイヤはフロント、リアともに20インチである。

 エクステリアは、グラバーオレンジに合わせるかのようにブラックのパーツを配し、フロントの大型リップスポイラーは、本国で行われているレース・マスタングカップのカップカーが装着している実物であり、サイドミラーはボイーイズレーサーというメーカーのものという。
NAエンジンの切れ味と路面に吸い付くかのごとき安定感は、速度が増すごとに上昇する。足回りは、400hp超のパワーを余裕で吸収している。さらにステアリングの反応も鋭く、かつてないほど軽量なクルマに乗っているかのごときである。

こんなに軽々走るマスタングは初めて

 始動させると驚きの爆音とともに目覚めるエンジン。車高もかなりのレベルまで落ちているから見た目の迫力ももの凄い。だが、クラッチは並のV8GTと変わらずの重さであり、馴れてしまえばとりあえず運転はできる。港北インターからほど近い立地条件もあり、第三京浜に向う。保土ヶ谷方面に向いいざ加速。

 400hp超のポテンシャルということで、シェルビーGT500に比べたら一瞬のキック力では敵わないのだろうが、NAエンジンのキレの良さは格別である。気持ちいい。まるでカミソリのごとき鋭さ。本来アメリカンOHVエンジンは、重量感あるものが密度を伴ってガ〜っと吹け上がるものであるが(それこそが魅力でもあるのだが)、このV8は4000rpmくらいからそれこそ一瞬のうちに吹け上がり、かつて体験したことのない軽やかさが伴っている。

 しかも重低音のV8サウンドは健在であり、これまで以上に響き渡る。しかもMT。みずからエンジンをコントロールできる楽しさはハンパではないし、個人的な意見としては、600hpなどなくても十分に刺激的だし速いし、何よりサウンドや動きに浸れるのが嬉しい。

 ウレタンブッシュやピロボールを使用した足回りに、当初は硬いのでは? との不安も感じたが、湾岸線をピタっと、まるで路面に吸い付いているかのごとく走る姿勢に、次第に不安や恐怖心は消え、いつしかV8を全開で回す自分がいたのには驚いた。さらにウインカーを出さずに右に左に縦横無尽…(拳ひとつ分動かせば即応してクルマが動く)。こんなに軽々走る反応の良いマスタングは初めてだった(こんな反応したのはロータスエリーゼくらいなもん)。

 もちろん、街中等で車高を気にする等、一般使いにおいてはちょっとした気がかりがあるのは事実だが、こんな反応をする動きと感動的なエンジンを味わうと、正直どうでもよくなってしまう自分がいるのも事実である。

 「ただ走るために」。ちょっと贅沢ではあるが、そんな感じでクルマを所有できるような環境に身を置かれている方なら、1台どうでしょう? 個人的にはシェルビーGTも大好きなんですが、そこまでのパワーはなくとも、圧倒的に刺激的なV8NAエンジンで十分に速いし、楽しいですし。何より退屈な毎日に「刺激」を与えてくれますよ。完成度もかなり高いのでマジでお勧めです。
ホイールはサリーン製の20インチ。じつはホイールのみは手に入ったが、ホイールキャップが手に入らず探している最中という。タイヤはフロント255/35R-20、リア275/
35R-20インチとなっている。
ブレンボの大型キャリパーとステンメッシュホースを装備してブレーキングの安定感とダイレクト感を高めている。
ステンレス製マフラーが奏でるサウンドは、速度が増すごとに甲高い高周波へと変わっていく。
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>> 2011年型シェルビーGT500 を見る

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