「シボレー・タホ」や「ジープ・ラングラー」などと並ぶアメリカンSUVの名車「フォード・エクスプローラー」が、新型にバトンタッチ。フォード・ジャパンにより、いよいよ日本でも発売されることになった。
エクスプローラーと言えば、1990年の誕生よりフォード製SUVの基幹モデルとして活躍してきた、ブルーオーバルの看板車種だ。その人気は圧巻で、デビュー以来14年連続でSUVのベストセラーに君臨。累計販売は600万台以上にのぼり、人気が低燃費のコンパクトクラスに移ってからも、ミドルクラスの定番として市場を支え続けてきた。
そんなエクスプローラーが、登場から20年目を迎えて基本設計を一新。従来とはまったく違うクルマとして再出発を切った。ボディ構造は、初代より受け継がれてきた伝統のラダーフレームからモノコックのユニボディに変更。駆動方式もFRベースの4WDからエンジン横置きのFFベースの4WDに改められ、より乗用車ライクな居住性と操作性を獲得した。
駆動系でもうひとつ注目すべきなのが、ノーマル、雪道、砂地、泥道と、4つの走行モードを備えた「テレインマネージメントシステム」。新型のグラチェロやランドローバーのSUVなども類似のシステムを搭載しており、「クルマの基本設計を刷新しても、オフロードはおろそかにしていない」というフォードの姿勢の表れだろう。
搭載されるエンジンは、全車3.5リッターのV6 DOHCのみ。日本でのラインナップは、ベーシックな「XLT」と豪華装備の「リミテッド」が用意される。
従来モデルとの違いはまだある。と言うのも、ボディサイズがひとまわり拡大しているのだ。その寸法は全長5m超、全幅2mというもので、フルサイズの「タホ」や「トラバース」と比べても、全長以外はほぼ互角。言うなれば、ミドルサイズとフルサイズの中間といったところだ。
この大きさの、しかもFFベースのSUVとなると、現在のところ真っ向からぶつかるライバルは不在。逆に言えば、ミドルクラスとフルサイズの両方の車種と競合するとも言える。エクスプローラーの値段は「XLT」が440万円、「リミテッド」が530万円。新型グラチェロやランクル・プラドのV6と比べた場合、おおむね15~50万円ほど高値となるが、ここは大柄なボディによる車格やキャパシティの差をどうとらえるかで、評価の分かれるところだろう。
一方、フルサイズの上記2台と比べた場合、最低でも70万円近くこちらがお買い得。装備に関してはむしろエクスプローラーの方が充実している部分もあるので、このコストパフォーマンスは脅威となるに違いない。
もうひとつ興味深いのが、今年の末から来年の初めに投入されるという、4気筒ターボモデルの存在だ。このグレードは、エコブーストと呼ばれる小排気量エンジンとFFの駆動方式を組み合わせた新しいエントリーモデル。大排気量エンジンと巨大なデフ玉に慣れ親しんだ古参のアメリカンSUVファンには、信じられないようなクルマとなりそうだが、このグレードが現在の「XLT」よりさらに安い価格で登場した場合、ミドルクラスのライバルはもちろん、国産SUV勢にとっても厄介な存在になるかもしれない。
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