2015年モデルから7代目へとフルモデルチェンジしたフォードマスタングは、アメリカ本国では車両本体価格が最も安いV6ファストバックから、最も高価なGTプレミアムのコンバーチブルまで計8モデルがラインナップされている。
しかし、フォードジャパンが初年度に日本に導入したのは2.3L直4エコブーストを搭載した「50th YEARS EDITION」で、おまけに350台の限定販売。今年後半には欧州仕様をベースとしたV8と直4が登場しすべて右ハンドル仕様に切り替えられるが、現時点では上記モデルのみの扱いとなっている。
正規輸入車が直4モデルの限定販売という現状もあり、本国アメリカから車両を直輸入するBCDが最も力を入れているのがV8エンジン搭載車である。しかも日本仕様にはこの先登場しないであろう「左ハンドル+MTモデル」を積極的に取り扱っており、もちろんAT仕様も輸入可能だし、さらには新車のみならず日本人バイヤーが現地にて確認した厳選中古車をもすでに扱っている。
BCDなら、新車に関して言えば当たり前だがボディカラーや細かい仕様、オプション装備等をあらかじめ注文することだって可能だし、まずは何よりも現車を見て商談が可能であるということ、そして場合によっては直接試乗が可能だったりするわけだから、「並行モデル」という不安をまったく感じることがないのが嬉しい。
先にアメリカ本国には全部で8つのモデルがラインナップされていると書いたが、この中でV8エンジンを搭載するのは「GTファストバック」、「GTプレミアムファストバック」、「GTプレミアムコンバーチブル」の3モデル。ベーシックな「GT」と「プレミアム」の違いは装備品であり、マイフォードタッチ、レザーバケットシート、アルミニウムフットペダル、アンビエントライト、プレミアムドアトリムなどがプレミアム専用の装備となる。
フロントグリルのグリルインサートのデザインは直4エコブーストとGTでは異なる。外観上の数少ない違いのひとつだ。
ヘッドライトは全グレードともHIDを採用。7代目マスタングのフロントマスクは『シャーク・ノーズ』と呼ばれるが、確かに鮫っぽい攻撃的なデザインではある。
正規輸入車のテールレンズは白だが、本国仕様のテールレンズは、レッドテール&シーケンシャル。非常にカッコいいのだが、このままでは日本お車検には通らない。BUBUでは車両本体価格にテールレンズの改善費用も含まれているので安心だが、並行輸入業者の中にはテールレンズの改善費用を別途請求したり、その場しのぎの『なんちゃって改善』で納車するようなショップもあるので注意が必要だ。
現在350台限定で発売中の正規輸入車は全車6ATとなっているが、アメリカ本国では6MTが標準で6ATはオプションとなっている。ちなみに、『ローンチ・コントロール』はV8エンジンを搭載したGTの6MT車のみの装備となる。
一方、V8を搭載した「GT」のみの専用装備としては、エレクトロニックラインロック、エンジンオイルクーラー、ローンチコントロール(MT車のみ)、エアエキストラフードベントがあり、これらの装備は直4やV6モデルには設定されておらず、当然ながら現在販売中の正規輸入車にも装備されていない。
ちなみに、オプションパッケージが充実しており、特に人気の出そうな走り系の装備を充実させた「パフォーマンスパッケージ」はV6とコンバーチブル以外のモデルで選択可能である。アメリカ本国では2500ドルほどのオプション価格だそうだが、価格以上の価値があるといっていいだろう(ストラットタワーブレース、リアスウェイバー、ラージラジエター、ヘビーデューティーフロントスプリング、Brembo 6ピストンフロントブレーキ&大径ローター、強化シャシー、スポイラーディレート、19インチ グロスブラックAW、3.75LSD etc)。
また、他のオプション装備ではレカロシートがオススメである。レカロシートも通常のパワーシートと同様に、プレミアムの場合がレザー、それ以外のモデルではクロス地となる等グレードによる変化はあるが是非欲しいアイテムだろう。
取材車両のホイールは『19インチ・ダーク・ステンレス・ペインテッド』。これはGTパフォーマンスパッケージ専用のホイールとなる。現在正規輸入されているモデルに装着されているのは『19インチ・エボニー・ブラック・ペインテッド』で、これはエコブースト・パフォーマンスパッケージ専用ホイールとなる。
アメリカ本国では17、18、19インチのホイールが全部で9種類用意されており、グレードやオプションパッケージによって使い分けられている。
今回取材したモデルには19インチ専用アルミホイール&タイヤ、大径ブレーキキャリパー&ローター、3.75ファイナルギアレシオといった専用装備で構成される「パフォーマンスパッケージ」というオプションパッケージが装備されていたのだが、ノーマルとの走行フィールの違いは明らかであり、費用対効果を考えればこのパッケージのお得感は非常に高い。ちなみにパフォーマンスパッケージはV6モデルとコンバーチブルでは選択することができないという。
あくまでも筆者の好みだが、価格差を考えればベーシックなGTファストバック+オプションのパフォーマンスパッケージというのがV8エンジンを搭載するGTのベストチョイスではないかと考える。もちろん予算に余裕のある方であれば装備が豪華なプレミアムを買えばいいのだが、『通常モデルとプレミアムの価格差=パフォーマンスパッケージとオプションのレカロシートを足した金額とほぼ同じ』ということを考えると、走行性能重視の人であれば無理にプレミアムを選ぶ必要はないだろう。
ただし、いくいつか注意が必要な部分がある。まず、オプションのレカロシートは、通常のファストバックの場合はクロス、プレミアムの場合はレザーと、自動的に表皮が決まってしまうこと。つまり、どうしてもレザーのレカロシートが欲しいという方は、ベースモデルはプレミアムを選択するしかないということになる。
また、パフォーマンスパッケージを選択した場合、これまた自動的にデッキリッドスポイラー(リアスポイラー)はデリート(取り外し)となるので覚えていて欲しい。
走り系の装備を充実させた『GTパフォーマンスパッケージ』はGTファストバックとGTプレミアム・ファストバックで選択可能。アメリカ本国では2500ドルほどのオプション価格だが、価格以上の価値はある。また、その他のオプション装備では、レカロシートがオススメ。レカロシートも通常のパワーシートと同様に、プレミアムの場合がレザー、ベースモデルではクロス地と表皮が異なる。
で、最終的な判断として、V8と直4エコブーストはどうなのか? 2.3リッター直4エコブーストを搭載した正規輸入モデルは、ダウンサイジング+ターボという現在の世界的な潮流に沿ったモデルであり、性能的にもV8モデルにまったく引けを取らない。それどころか、購入後にブーストアップ&コンピューターのリセッティングといったターボモデル特有のチューニング等を施すことで、場合によってはV8モデル以上の速さを手にすることが出来るかもしれない。
しかし、せっかくアメリカンハイパフォーマンスカーに乗るのであれば、大排気量V8エンジン&左ハンドルがマストと考えるユーザーは少なくないだろうし、ボディや足回りなどを飛躍的に進化させた7代目マスタングであるからこそ、V8エンジンのポテンシャルを余すことなく引き出すことが可能になったとも言える。さらにスペック上の数値や絶対的な速さだけでは計れないV8エンジンならではの気持ち良さや運転のしやすさというのは確実に存在するし…。
最終的には購入する人それぞれの好みや経済力の問題も絡んではくると思うので一概には言えないのだろうが、7代目マスタングのベストチョイスは、筆者的にはアメリカンスポーツカー伝統のV8エンジンを搭載したGTではないかと思うのだが、みなさんはどうだろう?
5LのTi-VCT・V8エンジンは最高出力435hp、最大トルク400lbftを発生させる。基本的には先代モデルのキャリーオーバーで、スペック的には大きく変わってはいないのだが、中身はしっかりと進化している。先頃発表されたシェルビーGT350&GT350Rに搭載されている500hpの5.2Lユニットを除けば、歴代のマスタングに搭載されたV8自然吸気ユニットの中では最強のポテンシャルを誇る。
19,404円
PERFORMANCE
6DEGREES
19,998円
PERFORMANCE
6DEGREES
3,480円
MAINTENANCE
GDファクトリー千葉店
48,070円
EXTERIOR
6DEGREES