目を瞑って運転席に座り着座位置をあわせてみる。シートの感触はアメ車らしからぬフィット感。さらに座面がヌバックのため滑りにくい。ペダル位置とステアリング位置を確認し、右手で操作すべきシフトに手を伸ばす。シングルキャブにはもともとATの設定はないというから、ミッションは必然的にMTだ。その感触はひと言で、「男らしい」といえるもの。ストロークは若干長いが、剛性感が高いため迷わずシフトを叩き込める。ゲートが明確なためシフトミスする心配もなさそうだ。
まだ目を瞑っている。だから、このクルマがトラックだなんてゆめゆめ思っていない。ステアリング右に位置するスターターボタンを押す。するとバイパーと同じV10エンジンがいとも簡単に目覚め、「ボー」っと勇ましい排気音を奏でる。そこそこ重いクラッチを踏み込み、ギアを1速に入れ、ゆっくりとクラッチを踏む左足を持ち上げる。
クルマが若干動き始めると同時に、ゆっくりと目を開けてみる。運転席からの視界は、バイパーSRT-10よりも良好だ。さらにクラッチも軽いし、ステアリングも軽い。ブレーキも鬼のように効く。このブレーキ、はじめはブレンボかと想像したが、後に聞けばSRT専用品とのこと。それでも効きは十分以上だ。
このクルマはトラックだ。だから目線の位置がバイパーと全然違う。が、走り出せばすぐに慣れる。車重はバイパーよりも確実に重い。だがそこはさすがに500ps。体感の加速にそれほどの違いはない。少なくとも3000回転付近までは…。驚いたのは、走り出して数分してのことである。このクルマ、ものすごく洗練されている。乗り心地の固さも適度なもので全く苦にならない。チューニングカー的な粗さが全くない。バイパーもそうだったが、「普通」に乗れるのだ。2メートル超の車幅が気にならなければ、クラッチ操作も楽だし、誰でも毎日の足として十分使えるだろう。しかし、希代のチューナー・高橋氏は「その普通さがつまらない。まだまだこのクルマは毒蛇になり切れていない。そこをこれから引き出していく」と今後のチューニング課題を熱く語る。
個人的には、その普通さが良いと思った。フェラーリよりも目立つ外観と500psのエンジンで十分魅力的であると心底感じた。しかもMT車だ。ノーマルでもかなりの速度域でスポーツできる。ある意味、奇形のスーパーカーだが、ドライバーを熱くさせることに違いはなかった。
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