現代版マスタングをベースにした『エレノア(ELEANOR)』が2006年に登場した時、コンプリートカー(完成品として販売されるカスタムカー)としての完成度の高さに「これは凄い!」と驚いた記憶がある。ノーマルとは比べ物にならないほどの存在感を醸し出していながらも、国産のチューンドコンプリートのような後付け感が一切感じられなかったからだ。
当初はコンプリートカーとしての販売のみだった初代エレノアだが、その後ほどなく車両持ち込みによるカスタムオーダーも可能になったこともあり、日本国内でもかなりの台数が制作されたので、その姿を目にしたことのある読者も多いと思う。
今回ここで紹介するエレノアは、マイナーチェンジを受けた2010年モデル以降の車両をベースに開発された2代目エレノアだが、そのスタイリングの完成度の高さは前モデルを凌駕している。いや、先に書いた通り、前作もコンプリートカーとしての完成度は非常に高かったので、完成度が違うというと語弊があるかもしれない。デザイナー&ビルダーの考え方というか、方向性が少し変わったのではないか?という感じだ。
例えば、前モデルが完成度の高いチューニングカータイプのコンプリートカーだったとすれば、今作はメーカーの特別仕様車タイプのコンプリートカーに近い気がするのだ。ま、これはあくまでも筆者のイメージだが、ドレスアップやカスタムに詳しい方であれば、なんとなくそのニュアンスは分かってもらえると思う。
いずれにしろ、これら新旧のエレノアの違いはスタイリングについてのことであり、それは同時にベースとなる車両の年式の違いにも起因するし、どちらがより好みかは人それぞれ。あまりクルマに興味のない人から見れば「それほど変わらないじゃない?」となるかもしれないが、クルマ好き、とくにマスタングファンからすれば、かなり大きな違いだと思うので、エレノアの購入を検討されている方は、購入後に「しまった!」とならないためにも、ぜひ2台を見比べてみることをオススメする。
スタイリング的に大きく変貌した現行エレノアだが、実はさらに大きく変貌したのが動力性能、『走り』の部分である。
ご存知のようにフォード・マスタングは2010年にマイナーチェンジを行いエクステリアを中心にスタイルが大きく変わったが、2011年からはV6、V8ともにエンジンが一新された。正直、この搭載ユニットの変更は「マイナーチェンジの枠でいいの?」というくらい大きく、スペック的にもV6が213PSから309PS、V8が304PSから418PSと大きく違うが、実際に乗り比べた印象としては、V6、V8ともに明らかに『別物』。
現行マスタングのV8モデルのキャッチコピーに「史上最強のマスタング」というのがあるが、その言葉に嘘偽りはない。低中速域でのトルク感、高速域での伸び、ピックアップのスムーズさと、どれをとっても歴代のマスタングとは比較にならないほどのレベルで、ライバルであるシボレー・カマロと比較した場合、V6は同等。V8も排気量差を考えれば同等に近い所にまで進化している。
先に「前作と今作、どちらのエレノアを選ぶかは好みの問題」というようなことを書いたが、『パワー』あるいは『走り』という観点のみで比較するのであれば、議論の余地はゼロ。現行エレノアに軍配が上がるのは間違いない。
もちろんエレノアのようなコンプリートカーを求めるファンの全てが動力性能にこだわるとは思わないし、スタイルや雰囲気優先で愛車を選択する人も多いと思う。ただ、もし新旧どちらのエレノアかで迷ったなら、なんとか両方を乗り比べてみることをオススメしたい。
※注)
ここで紹介している個体は2010年モデルをベースに制作されているので、搭載しているユニットは前作と同じ4.6リッターSOHCのV8。実は2010年モデルをベースに完成した現行エレノアは日本にはこれ1台のみ。ASDNで販売されるエレノアは全て2011年モデル以降の車体がベースとなる。この個体については、サイド出しマフラーが本物だが、2011年モデル以降のエレノアに関しては、サイド出しマフラーはチップのみのダミーで、リア出しになるのでご注意ください。
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