ジープラングラーの歴史の中で、我々に馴染み深いモデルとして登場したのが1987年。いわゆる角目ヘッドライトのYJ型(1987~1996年)であり、その後丸目に戻ったTJ型(1996~2006年)、そして今回取り上げるJK型(2007年~)と続くことになる。
ここで取り上げる現行モデル・JK型ラングラーには、これまでの2ドア(4人乗り)モデルに加えて、4ドア(5人乗り)ロングホイールベース版「アンリミテッド」がラインナップされており、この4ドアモデルの存在が、ラングラーを一躍人気モデルへと押し上げたのである。
ちなみに、現行モデルはすべてハードトップ仕様となり、2ドアの「サハラ」、アンリミテッドの「スポーツ」および「サハラ」、さらに「サハラ(レザーシート)」の計4モデルが展開されている。サハラはタイヤが18インチになり、フェンダー&ハードトップがボディ同色となる。
<2015 ラングラー ラインナップ>
■2ドア「サハラ」
■4ドアアンリミテッド「スポーツ」
■4ドアアンリミテッド「サハラ」
■4ドアアンリミテッド「サハラ レザーシート」
搭載されるエンジンは、2007年のデビュー当初は3.8リッターV6 OHVで199ps、最大トルク32.1kg-mを発生させ、4速ATと組み合わされていたが、2012年モデルから3.6リッターV6 DOHCペンタスターエンジンに換装され、284ps、最大トルク35.4kg-mを発生させ、5速ATと組み合わされるようになった。
パワーにして85psアップ、そしてミッションの変更こそ、ラングラーを現代的なクルマへと一気に押し上げた要因だった。余談だが、これから中古車を探す場合、このエンジン&ミッションの違いはかなり大きいから注意が必要である。
これらを支えるサスペンションは前後リジッドのコイルスプリングで、シャシーはもちろんラダーフレーム。駆動方式はパートタイム4WDで、通常は2WD(FR)で走り、悪路走行時に前後直結の4WDにするタイプである。
上記のメカニズムを包むスタイリングデザインはいわゆる歴代「Jeep」そのものである。ヘッドライトは元祖ジープやCJ系と同じ丸目であり、7スロットグリルも元祖軍用ジープから受け継がれている。そして平面ガラスのフロントウインドー、樹脂製の別体式オーバーフェンダー、アウターヒンジで開くドア、ゴム製バンドで止められるボンネットなど、昔ながらのアイテムが満載である。
さらにJK型からは「ジープフリーダムトップ」と呼ばれる3ピース構造の樹脂製ハードトップが採用されている。これはフロントシート上部の左右パネルが2分割となり、そしてリアパネルとの計3分割構成とされており、フロント片側だけを外すこともできる等操作性に優れている。
ドアを開けた瞬間、ドアストッパーがナイロン製のヒモであることに驚く(笑)。これは昔のジープ同様にドアを簡単に外せるようにするためという。ただ、建てつけはシッカリしていて、かなり現代的。乗り降りはサイドステップを使えば、まあ普通にこなすことは可能であるが…。
室内には切り立ったダッシュボード、天地の狭い平面ガラス、ところどころ見える鉄板こそ無骨だが、運転席からの眺めは思いのほか近代的。ステアリングにはオーディオやクルーズコントロールのスイッチも備わり、オートエアコンも全車標準装備。フロントシートも違和感ない乗用車レベルだが、唯一気になるのがアクセルペダルが若干遠いことかもしれない…。
一方後席は、ホイールベースが520ミリ長いアンリミテッドの場合だと、スペース的にはまったく問題がない。ただリアシートの背もたれがかなり立ち気味であり、リラックスして座れないのが惜しい。というか正直かなり厳しい。まあそれでもドアが4枚になっただけでも良しとするしかないのかもしれないが。
とはいえこのリアシート、背もたれを倒せばヘッドレストが自動的に折れ曲がり、ステーションワゴン的なフラットな荷室が現れる等使い勝手がいいのは嬉しい(でもこのリアシート、やっぱり大人だと厳しいと言わざるを得ない)。
ドライバーズシートに座り、各部の調整を済ませていざ発進。若干アクセルペダルの遠さが気になるが、走り出すと意外にも見晴らしが良くて、普通に運転しやすい。
右ハンドルというのもあるが、ボディの大きさも気にならず、ステアリングは軽いし、左前の死角を常時映しているモニター(けっこう便利)もあり、普通の感覚で運転できる。アンリミテッドは、最小回転半径が7.1メートルもあるとわれているが、実際には駐車時やUターンでも、普段より一回多く切り返して済むレベルでまったく問題ない。
乗り心地も想像以上に良く、路面からのショックが非常にマイルド。ラダーフレームのリジッド車にありがちなフラフラ感がまったくない。というか、見た目に感じるオールドテイストな雰囲気はあくまで雰囲気だけであって、走りに古さはまったく感じさせないのが驚きであり、嬉しい。
加えて、屋根がFRP製だったり、室内のところどころに鉄板がむき出しだったりするのに、車内は不思議なくらい静か。エンジン音、風切り音、ロードノイズがほとんど気にならないも発見だった。これなら長距離ドライブにも使えるだろうし、まさに乗用車感覚に近い存在、と言ってもいいだろう。
ラングラーを直接走らせてみればわかるが、走りはかなり現代的である。その直接的な要因となる2007年のフルモデルチェンジ、そして2012年のマイナーチェンジを経て、進化とともに予想以上に現代的なクルマになっている。
見た目から想像されるより遥かに快適であり、乗り心地もよく、静粛性も高い。加えてオフロードでは無敵であって…etc、これ以上一体何を望むというのだろう(笑)。聞けば燃費もレギュラーガソリンで7~8km/Lくらいということだから、取り立てて問題視するレベルではまったくないし。
というかこのクルマ、なぜだか語るときはいつも「予想以上」と言葉が付くが、その最たる要素は、すべてにおいてそのプリミティブなデザインにある。どことなく古さを感じさせるからこそ、「予想以上」、「こんなに良かったのか」とか驚きが先行するのだろう。
だがこのデザイン、単純明快で誰もが好む究極的なカタチと言っても過言ではない。決して古びることのない普遍的な魅力。たとえばそれはMINIやポルシェ911が持つデザインアイコンと同様の魅力であって、今もなお変わらず人々を惹き続けているパーマネントデザイン。
すなわち、ラングラーの場合においてもこのデザインこそが最大の魅力であり、特に現行モデルにおいては、そのデザイン的な魅力に引き込まれたならその勢いのまま飛び込んでしまっても何ら問題がないほど、クルマとしての魅力をも体感させてくれるのである。
<関連記事>
>> ジープ ラングラー アンリミテッド タイガーパッケージ (WRANGLER UNLIMITED Tiger Package) vol.1 を見る
>> ジープ ラングラー アンリミテッド タイガーパッケージ (WRANGLER UNLIMITED Tiger Package) vol.2 を見る
330,000円
AUDIO&VISUAL
あとづけ屋
283,800円
AUDIO&VISUAL
あとづけ屋
183,250円
AUDIO&VISUAL
あとづけ屋
272,800円
AUDIO&VISUAL
あとづけ屋