クライスラー300Cツーリングは、2006〜2007年の2年間のみ日本に正規輸入された、いわば希少車である。日本仕様のツーリングにはV6の「3.5」とV8の「5.7HEMI」の2車種が存在し、セダンにある6.1リッター「SRT8」の設定はない。どちらも5段AT、右ハンドルのみの仕様だ。
今回乗ったのは5.7HEMI。1940kgの車重はセダン比で80kg増となっているが、340psのビッグパワー前にはさしたる差ではない。アクセルに軽く足を乗せただけで、スルスル速度を上げて行く。右足に力を込めれば豪快なダッシュを味わうことも可能だ。
過去何度も300Cセダンには乗っているので、まるで我が家のクルマのごとく、何の違和感もなくステアリングを握れる。試乗途中から峠道に入ったため、思わず「HEMIパワーここにあり!」と言わんばかりにアクセルを踏みつけてみた。かなり傾斜のある坂道だったのだが、キックダウンした後、HEMIエンジンが咆哮をあげて一気に坂を駆け上っていく。う〜ん、やっぱり気持ちいい!
さらにスピードを上げてみたが、ボディ後半部の重さや剛性感の低下などを感じることは一切なかった。大きな後輪駆動車ならではの自然にして豪快なハンドリングを、このツーリングでも堪能することができるのだ。
基本は300Cと同一。なのでインテリア等にも見慣れた風景を感じる。各部の操作性もほぼ同一。
ワゴンボディでありながらも、走りの質はいたって健在。300psを超えるパワーを余すことなく使える、頼もしいシャシーの能力も堪能。
試乗車は06年型のV8HEMI。340ps、トルク53.5kg-mを発生させる。いまや340psと聞いてあまりビックリするほどの数値ではなくなっているが、実際に体感すると十分パワフルなことがわかる。
スタイル全体から発せられるオーラーは随一。またホイールを換えるだけでも、その印象は激変するだろう。
試乗中ふと、セダンとツーリングの走行時の違いについて考えてみたのだが、正直、違いはあまりないように感じる。筆者が鈍感なのかもしれないが、少なくとも、普段使いにおいてはまったくの同等と言い切ることができるだろう。そのくらい良く出来ている。むしろツーリングの方がワゴンタイプであるため、リアの距離感がつかみやすくて駐車が楽だったことが印象的だ(笑)。スタイリングもワゴンとは思えないほど洗練されたもので、たとえば外車国産車を問わずワゴンが好みなら絶対に「買い」だと思う。
なお、無類のダッジ党である筆者からすれば、兄弟車のダッジ・マグナムを選ぶことも検討されるが、やはり希少性を考えれば300Cツーリングが断然オススメ。正規ディーラー車を選ぶなら右ハンドル仕様となるが、ペダル配置等にも違和感がないし、ブレーキペダルの反応にもまったく支障がないので、あえてパスする必要性を感じない。それに300Cのフロントマスクやデザイン上のボディバランスは、今なお傑作と思っているし、新型が出た今だからこそ、再度評価されるのではないか? そのくらいデザイン的に突出している存在だと考えている。だからこそ、そのワゴン版ともなれば、希少性も含め「生涯の1台」になるのではないかと思う。
なお今回は試乗していないが、V6モデルも廉価版としてオススメできるという。中古車価格的には200万円台後半に突入しており(V8モデルは300円代後半)、3.5リッターV6は249ps、トルク34.7kg-mを発生させ、主に普段の街中使いを中心とするならば、パワー的にも必要にして十分。一瞬のパンチ力には欠けるが美しいスタイルは健在なので、検討すべき余地は大いにあるだろう。また中古車の法則に従えば、V8に比べV6の方が痛みにくいという利点もあるので、検討してみることを強くオススメしたい。
リアリフトゲートは逆L字型。荷室よりも前にヒンジがあるため、ほぼ垂直に開くので後ろに下がる必要がない。さらに開口部が広くて使い勝手が良好。
荷室は、セカンドシートが立ったままでもかなりの容量がある。
だが、フルフラット時のカーゴ容量は1602リッターにもなる。パネル下には便利なリアカーゴオーガナイザーも設置されている。
このシーンだけを見ればダッジマグナムのような印象も受けるが、フロントマスクを見ると300。希少性の高い1台だ。
19,404円
PERFORMANCE
6DEGREES
19,998円
PERFORMANCE
6DEGREES
3,480円
MAINTENANCE
GDファクトリー千葉店
48,070円
EXTERIOR
6DEGREES