更新日:2014.11.28
文/石山英次 写真/古閑章郎
愛車の候補車選びをする場合、常に考えるのが「自動車史に残る一台」。何でもいい、将来的に膨大な量の自動車史というものが描かれたときに、その一節に刻まるクルマ。たった一行でもいいから、そういうものに名が載るクルマに乗っておきたいと、常々思っている。
フォードフィエスタは、ナリは小さいが、必ずや史実に掲載されるクルマに違いない……。実際に触れてみて、そう思わずにはいられなかった。
理由その1。まずエンジン。3気筒かつ排気量1リッターで、ターボによって低燃費と高出力を両立させるという、理詰めのダウンサイジングエンジンである。しかもエンジン分野で権威のある賞の一つ、「インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー」を2012年から2年連続で受賞している、エコブーストエンジンである。
フィエスタへの搭載は2013年モデルからとなるが、その効果は絶大であり、最高出力100ps/6000rpmを達成し、最大トルクは1.6~1.8リッター並みの17.3kg-m/1400-4000rpmを発生させる。
乗れば分かるが、ひとクラス上のパワーと低燃費を実現する夢のようなエンジンであり、6速DCT「パワーシフト」と組み合わされ、JC08モード燃費17.7km/Lを達成するのである。
フォードフィエスタは、もとは欧州地域が中心となって開発されたBセグメントのコンパクトカー(先に言うがだからハイオクガソリン指定だ)。デビューは1976年までさかのぼり、欧州を中心に1500万台以上が販売されている。今回紹介するモデルは、2008年に欧州デビューした6代目であり、初めて北米にも投入されたモデルである(だからこそ紹介する価値がある)。そして2013年にマイナーチェンジが行われ、2014年から日本導入が開始されている。
今や世界140ヶ国以上で販売されるなど、一つ上のクラスとなる(Cセグメント)フォーカス共々、フォードの主力モデルと言っていい。ちなみに2012年の世界販売台数は72万3130台を記録し、堂々たる世界6位(1位はフォーカス)の売れ行きを示し、Bセグメント内ではダントツの1位だった。
理由その2。そのスタイル。なんせカッコイイのである。ぱっと見の印象も、じっくり見ても、デザインにまったく破綻を感じさせない。しかもカタマリ感あるデザイン、かつ小さいモデルなのに小さいことを感じさせないデザイン、さらに現行の本国モデルたるフュージョンやトーラス等を感じさせる、共通なつり目のデザイン。クラスが違う小さいモデルながらも本国フォードが味わえるデザイン共通言語を持ち合わせているのが断然素晴らしい。
世の中的には、フロントグリルがアストンマーチンに似ているとの声もあるというが(確かに似ていてカッコイイが)、それは当たり前である。そもそもデザインした人間が同じなのだから。当然知っている方も多いと思うが、ジェイメイズ氏である。
筆者的には、ジェイメイズと言えば、2002年に復刻されたサンダーバードを反射的に思い浮かべるが、彼はサンダーバードに続くレトロデザインの先駆者であり、と同時に「キネティックデザイン」をスローガンとしたフォード固有のデザインを推し進めた、フォード・グループのデザインを16年にわたって統括してきた副社長兼チーフ・クリエイティブ・オフィサーであった。
ちなみに2005年と2010年のフェイスチェンジのマスタングは彼の作品であり、フィエスタはキネティックデザインでの具現化である。
さらに余談だが、彼が在任期間中には、フォードが欧州プレミアムブランドを傘下に収めていた経緯があり(ランドローバー、アストンマーチン、ジャガー、ボルボ等etc)、だからこそ、彼のデザインしたフィエスタに、プレミアムブランドに流れるデザイン雰囲気が感じられるのは至極当然のことなのである。
理由その3。その作りの良さ。インテリアの造形は、小さいながらもスポーティな空間を全面的に押し出し、着座位置は低く、全体的にタイトな印象であるが、すべてにおいて安っぽさを感じさせないのはさすが。手に触れるステアリングしかり、ATシフトノブしかり、そしてセンターコンソールしかりと、見た目と触れた際の印象がすべてにおいて同調している。
ステアリングやペダル位置の違和感は皆無であり、塊感あるボディは圧倒的な剛性感で包まれる。だからこそ、その走りに安っぽい小型車という雰囲気はまったくなく、全体的な乗り味に上質さがみなぎっている。
最近のフォード車を知る者にとっては、何をいまさら、だろうが、フィエスタにおいてもその血はしっかりと受け継がれており、「小さいから許される」的な、逃口上は微塵もない。逆に小さいにもかかわらず、カッコ良く、走り良く、機能的に先進で、いいモノ感にあふれているからこそ、将来的な史実に刻まれる可能性が断然高い。
加えて実際に乗れば、小さいクルマの持ち味である日常的な運転の楽しさも健在であり、街中の交差点を曲がるだけでも気分が高揚するハンドリング&軽やかな身のこなしに、きっと感動するに違いない。
だからこそ、休日に非日常を味わわせてくれるアメ車のセカンドカーとしても、日常で常に愉悦を与えてくれるフィエスタのような存在は、かなり貴重であると思う(もちろんファーストカーとしてもかなり面白い存在だ)。
ちなみにアメリカ本国のセレブの間では、大小2台以上の複数所有が一般的であり、単独ドライブやファミリーカーは大きなアメ車だが、デートには小さな方を利用するといった、小粋なドライブが流行中だとか。
さらに余談だが、右の写真のようにトランクスペースは奥行きがあり、結構使えるから、荷物を積んだ遠出のドライブにも確実に対応できるだろう。
同じくエコブーストエンジン搭載のクーガである。クーガやフィエスタといった名前を聞くとすぐさま「ヨーロッパでしょ」といった発言をする方がいるかもしれないが、それはちょっと早計である。少なくともクーガに関しては。
これまでフォードには、クーガとエスケープといった2台のミディアムSUVが存在したが、エスケープの生産終了に伴い、日本ではクーガに集約されている。ちなみに本国ではエスケープの後継モデルは、このクーガである。すなわち、ヨーロッパ的な作り込みに、アメリカンSUV的なノウハウが盛り込まれたミディアムSUVこそがクーガとなるのである。
搭載されるエンジンは、直列4気筒1.6リッターターボエコブースト。燃費効率とパワーを両立するダウンサイジングのコンセプトに基づいたエンジンであり、182ps/5700rpm、最大トルク24.5kg-m/1600-5000rpmを発生させる。
このエンジンもやっぱりエコブーストらしく、1600rpmという低い回転域からマックストルクを発生させるために、信号から信号への発進でもその優位性が体感できる。とはいえ、それは旧アメ車のような爆発的なものではなく、スマートに加速できる適切なトルクであるから、この辺は、エクスプローラー同様今どきのクルマらしさに溢れていると言えるだろう。
加えて、滑らかな回転フィールに、静粛性の高い室内空間に、さらに洗練された乗り心地に、最新のSUV的資質の高さを感じるのである。クーガには、エクスプローラーのような鷹揚としたアメリカンなノリは感じないかもしれないが、同じくハイテクエンジンを搭載し、フォードの看板を背負ったSUVとして、フォードが長年かけて培ってきたSUV作りのノウハウがギッシリ盛り込まれているのである。
埼玉全域から栃木、茨城等に管理ユーザーを抱えるフォード埼玉大宮本郷店。昔ながらの付き合いや店舗統合等に絡む様々な経緯から、かなり広範囲にわたる他県ユーザーをも支えている。そんな大宮店の認定中古車マネージャーに、最新の動向について伺った。
「ここ最近、エクスプローラーに関しては、エコブーストエンジンというワードがだいぶ認知されているようで、エコブーストだから手に入れたいというユーザーがかなり増えてきましたね。ただ、フィエスタやクーガに関しては、クルマ自体の良さを求めて手に入れたいという方の方がまだ比率的に多いと思いますが」
とはいえ、フィエスタやクーガの良さは半端ではない。フィエスタに関しては、まだ認定中古車としてのタマ数がほとんどないが、タマが増えたらかなり面白い存在になるのではないか。
「実際に試乗されると驚かれる方がほとんどですね。たぶん期待値よりも印象が良いのでしょうが、売る側としても、自信をもって売れるクルマです」
我々もクーガに何度か乗っているし、フィエスタには初めて乗ったが、試乗しに来たユーザー同様驚くことばかりだった。だからこそ、購入検討している方は、是非乗ってみることをオススメしたい。乗れば一発回答が自身に下せるはずである(笑)。
「今の最新のフォード車たちは、以前に比べて生産クオリティが格段に上がっています。だからこそ中古車になっても鮮度はまだ保たれていますし、認定ならではの点検項目によって確実にリフレッシュされます。そういう意味でも一度是非試乗しに来てくださいと言いたいですね」
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