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ジープ所沢に聞く納車の現状

2020年 ジープ ラングラーの最新販売事情

これからのジープは「優れたディーラー」で

ジープラングラーに関するもろもろの疑問を解消するためにディーラーに行って話を聞いた。で、聞けば聞くほど感じるディーラーの「差」。この「差」こそがラングラーユーザーの未来に直結するかもしれないのである。

更新日:2020.02.27

文/石山英次 写真/古閑章郎

取材協力/ジープ所沢 TEL 04-2991-4611 [ホームページ]

昨年はラングラーに関する様々な情報で混乱

 先日、ジープラングラーの2020年モデルの販売価格を改めて見て、ちょっと思考が止まった。というのも、レザーシート等を装備した「サハラ」の価格表示に頭の中が???でいっぱいになったから。

・アンリミテッド「サハラ」3.6L 576万円
・アンリミテッド「サハラ」2.0L 590万円

 私の感覚がおかしいのか。これまでの感覚で言えば、排気量と価格はリンクされているものという認識があったから、「2.0Lがなぜ高い?」と瞬間的に思ってしまったのだ。

 ということで、ジープ所沢に向かい、もろもろ話を聞いた。ついでにちょっと前から思っていた「ほんとにラングラーは売れているの?」という疑問もぶつけてみた。

 ちなみに、私の中では昨年からラングラーに関する情報で納得がいかないことが多い(笑)

 たとえば、「販売するクルマがないという。納期がめちゃくちゃ長いという。でも、それなのに特別限定モデルが結構出ている…。なんかおかしくない?」というもの。そこらへんもあわせて聞いてみた。

 お話を伺ったのはジープ所沢カーライフアドバイザーの小島氏。自らもJL型ラングラーの黄色いルビコンに乗る生粋のラングラー好きである。

ジープ所沢カーライフアドバイザーの小島氏。JK型から現行のJL型に乗り換える生粋のラングラーフリーク。JL型は黄色いルビコンというから驚く。オフ走行の魅力にハマりルビコンをチョイスしたというのも面白い。

■ジープ所沢
〒359-0035
埼玉県所沢市西新井町12-29
TEL:042-991-4567
営業時間:9:30~19:30
定休日:毎週火曜日、第1.3月曜日

 まずは昨年のラングラー販売の流れを教えてください。

 「昨年の最初の方はわれわれもあまり状況を把握できないまま流れていったという感じでしょうか。販売可能なモデルがすぐに売れてしまい、その後の追加がどのくらい可能なのかもわからない。でも、欲しい方はあとをたたず、しまいには3.6Lは売り切れという状態になりました。

 その後、代わりに2.0Lをメインに販売を始めましたが、その2.0Lも売り切れという始末。本国も焦ったのか、その後に売り切れた3.6Lをもう一度生産し始めるという流れになり、正直、右往左往したと見られても致し方ないような感じではありました」

 でも、そういった流れではあったにせよ、「売れている」ということに間違いはないということでしょうか。

 「はい。これまでのラングラーの販売率で言えば確実に上がっております。特に既存のラングラーオーナーからの乗り換えだけでなく、他メーカーユーザーの方からの買い替え需要も多く、弊社でのラングラー販売は全体の50~55%を占めるようになっております」

 そういった中での2.0Lと3.6Lとではどちらが好まれているのでしょうか。

 「昨年の販売状況で言いますと、正直明確な差を語るのは難しいです。と申しますのも、まずそこまで差が明確なほどの数を販売しきれていないといことと(どちらかが売り切れたりした)、昨年はエンジンの排気量の違いというよりも、『装備の差』でお求めになられる方が多く、たとえば『レザーシートが付いている方』といった装備内容で選ばれていた方が多くいらっしゃいました。

 ですが、今年から2.0Lと3.6Lとで同装備モデルがラインナップされていますので、今後は排気量で選ばれる『差』がハッキリと分かれてくると思います」

 ところで、なぜ2.0Lの方が高いのでしょう。

 「こちらは、2.0Lのエンジン単体のプライスが14万円高いというのが理由です。その14万円が、装備が同様の3.6Lモデルの車両本体価格に上乗せされているということです」

 まじですか。その感覚にちょっとビックリしましたが、理由はわかりました。が、今年の納車状況はどうでしょうか。

続けて小島氏にJL型の特徴について聞いてみた。まず、JK型と比較してハンドルの切れが非常に良くなった。さらにリアシート角度の変更やリアワイパーの取り付け位置変更によって視認性が良くなっている。そう、実際にオーナーになった方が感じる難儀をことごとく解消してきたのがJL型なのです。

ボディカラーについても一言。これまでは「白、黒」といったカラーの人気が高かったというがJL型では黒の人気はイマイチ。逆にガンメタ系カラーの人気が非常に高いという違いが現れている。また過去限定車等でも人気のあるイエローは比較的安定した人気カラーという。

上記の変化や嗜好について聞いたとことで、最後に指摘してくれた最大の特徴とは、新たにフルタイム4WDとなったこと。「高速時の安定感が抜群です」と、駆動輪が2輪増えたことによる走行&操舵の安定感向上がドライバーへの直接の安心感として伝わってくるということである。

 「昨年の11月後半くらいから2020年モデルが始まっておりますが、2019年よりはだいぶ安定した納車状況が見込めるようになってきました。まだ少しお待ちいただく可能性はあるのですが(ボディカラーによっても異なります)、輸入車の許容範囲内に収まっているかと思います。またラングラーは限定モデルが結構はスパンで出るのですが、弊社ではお待ちしていただいている方々にまず限定モデルのお知らせをして、購入車の変更を促す場合もあります」

 なるほど。それは賢明だと思います。後から出た限定モデルが先に納車されたら怒る方もいらっしゃるでしょうし。ところで、最新のJL型になって整備面での変化等はありますか。

 「正直、まったく変わりました。現行のJL型になり一般整備以外はECU系のトラブルシューティングがメインです。現代のECU全盛の時代だからこその整備が求められると言っても過言ではありません。またこうした作業には目に見えない部分での経験値やノウハウ、データの蓄積が出てきますので、そうした部分での差が確実に現れてくるのだとも思っております」

 アナログなジープも過去のもの。最新のJL型にはまったく新しい整備アプローチが求められるという。ちなみに、ラングラーには単眼式の自動ブレーキが標準装備されているが、その自動ブレーキが効き過ぎるというトラブル的な報告がなされているという。

 今現在、この自動ブレーキのプログラムのアップデートを行っているということだから、2019年型、もしくは2020年の初期型を購入された方々は確認された方がいいだろう。

写真はJL型の3.6リッターV6エンジンの写真。ここは筆者的な好みによるものだが、3.6リッターV6+8速ATの方が街中から市街地程度の速度域でのトルク感は上手のような気がしている。一方で、高速道路での追い越し加速時には2.0L直4ターボエンジンの威力が発揮されるという体験談である。

JL型になり一般整備以外はECU系のトラブルシューティングがメインという。現代のECU全盛の時代だからこその整備が求められるように変化してきているのである。

正規ディーラーと言えども「差」が確実にある

 こちらの予想を遥かに越える内容のお話をしていただいた。過去これまでにディーラーマンとの建て前的インタビューを数多く経験していただけに、ここまでお話していただけるとは正直思っていなかった。

 だが、こうした話を聞けば、ユーザーさんたちにもしっかりと話をした上でラングラーを売っているのだという想像もできるわけで(良いも悪いも含めて)。正直な話を聞けば、より一層ラングラーを理解していただけるに違いないとも思えたのであった。

 ジープは正規ディーラー車。だからメーカーのお客様ダイヤルに連絡すれば必ずや「お近くのディーラーをお知らせします」と言われるだろう。

 だが、あくまで個人的な感想だが、正規ディーラーといえども確実にレベル差がある。

 だからこそ、お近くのディーラーで本当にいいの?と思わなくもない。電子デバイス対応も含め、これからの時代は、「優れたディーラーへ」が合言葉になるのかもしれない、と本気で思うのであった。

自らラングラーに乗るアドバイザリースタッフがいること自体がジープ所沢の強み。メーカー広報的な話題からオーナーならではの意見までを身近に聞ける存在である。

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