ここ数年、いわゆる「旧車」と呼ばれる古い時代のアメ車人気が高まっている。だがその一方で、旧車のメカニズムをあまりご存知ないような方々も、ある種、積極的に入手されている傾向がある。
「今は両極端ですね」とレーストラックの高橋氏は言う。
すなわち、あえて完成されているような高額な旧車を購入される方とそれとは真逆の比較的安価な価格帯で入手される方。
レーストラックには、その両者が整備や修理にやって来ているという。中にはキャブレターってなんですか? といった、現代車と旧車との違いが分からない方(若い方)もいたというから驚きである。
話は逸れるが、最近のメカニック業界では経験者と言われる30代前後の方々は、キャブレター時代のような旧車を触った経験がないため修理できないという=キャブレターを知らない方がいても不思議ではない。

▲キャブレターはエンジンに燃料を噴射する機械的なパーツ。現代は廃止され電子制御インジェクションに様変わりしている。長年使っていれば消耗するから対応が必要になる。
ということで、改めてキャブレターであるが、ひと言で言えば、昔使われていたエンジンに燃料を噴射するパーツ。いわゆる燃料供給装置=現代では電子制御のインジェクションへと進化しているのだが、キャブレターにしかない独特な吸気音やフィーリングを好む方々はいまだに非常に多い。
で、そのキャブレターには、当然ながら機械的な寿命があり、状況に応じてオーバーホールをしたり新品に交換したり、もしくは社外品に交換したりする必要がある(改造目的としても可)。
今回紹介するのは、キャブレターを社外品に交換した一例である。搭載エンジンは383キュービックインチのV8=6.3リッターV8。
そのエンジンにもともと装着されていたキャブレターはダブルポンプの2バレルワンステージ。旧車に見られるその当時のスタンダードに近いキャブレターである。
そのキャブレターは、オリジナル年式からすでに50年以上の年月が経っていたため、当然オーバーホールや交換が見込まれた。そして一つの提案としてエーデルブロックのキャブレター550cfmに交換することになった。

▲オリジナルのキャブレターはすでに50年以上の年月が経っていたため、当然オーバーホールや交換が見込まれ、今回はエーデルブロックのキャブレターをマウントとなるマニフォールドとともに交換した。

▲もともと装着されていたキャブレターはダブルポンプの2バレルワンステージ。

▲新たに装着されたキャブレターは4バレル2ステージ。一つのスロットルボディの中に2バレルのスロットルバルブが前後に二組入っているから4バレル。

▲キャブレターの土台(マウント)となっているインテークフォールドも同時に交換。ウェイアンド製のフォールドを使用。
その理由は、まずは完成度(信頼度)の高い現代のブランド品であること。そして6.3リッターV8というベースエンジンに見合う550cfmというサイズであること。
また、キャブレター構造が変わることにより、低速から高速にかけての燃料噴射量がノーマル状態と変わるため、走行フィーリングがかなり変わること等があげられる。
ただし、ノーマル状態のキャブレターとエーデルブロックの550cfmをそのまま換装することはできないために、キャブレターの土台(マウント)となっているインテークフォールドも同時に交換する必要がある=今回はウェイアンド製のフォールドを使用。
ちなみにインテークマニフォールドとは、キャブレター等の燃料供給系統のマウントとしての役割を担い、空気をエンジンの各気筒に均等に送り込む役割を果たすパーツである。

▲「キャブレター使用の年式のクルマを恐れる必要はありません。逆に現代のコンピューター化されたクルマよりも何か起こった場合の処置や対応がしやすいくらいです」と高橋氏は語る。
で、それに組み合わされたキャブレターはエーデルブロックの550cfm。ノーマル状態のキャブレターはダブルポンプの2バレルワンステージであったが、新たに組み替えたキャブレターは4バレル2ステージ。
すなわち、一つのスロットルボディの中に2バレルのスロットルバルブが前後に二組入っているから4バレル。
そして低速から高速にかけてその前後のスロットルバルブが交互に動いたりしてガソリン噴射と燃焼効率の変化を生み出し、高速に至る状況下が最もパワーが出るように調整されている。簡単に言えば、回転が上がるに乗じてパワーが盛り上がるような体感フィーリングになる!
一方、オリジナルは2バレルであったわけだから、低速から高速に至っても一組のスロットルボディが動くのみ。回転上昇しても盛り上がるような感じにはならない。
だが、キャブレターを変えることで、低速から高速への4バレルの動きを可能としているから、パワーの盛り上がり感にかなりの変化が起こるようになる(劇的なパワーアップになるわけではないが、体感の変化はかなり感じる)
くわえて、社外品とはいえ新品に変えたわけだから、キャブレターとしての機械的な信頼性は天と地の差と言えるだろう。
ということで、キャブレターには機械的な寿命があり、状況に応じてオーバーホールをしたり新品に交換したり、もしくは社外品に交換したりする必要があるということを、まずは頭に入れておこう。
138,000円
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