世界に衝撃を与えた707hpマシンのチャレンジャーヘルキャットが登場したのが2015年。当時箱型ボディの最強モデルとして世界中から引っ張りだこだったヘルキャットは、その後のマッスルカーに多大なる影響を与えた。
そんなヘルキャットは当初「一代きりの特別モデル」と思われていたが、なんと通常ラインナップに加えられ、毎年のようにリファイン受けながら今もなお販売されている。
と同時に再び激震が走ったのが「デーモン」の登場である。デーモンはヘルキャットをベースに製作されたドラッグベースの特別マシンであり、840hpを発生させたある意味バケモノ。
当然、3300台という限定マシンであったのだが、さらに特殊なドラッグレースベースマシンであったのだが、840hpのインパクトは爆発的な大きさであった。
しかもこの840hpは、のちに分かるのだが、ある意味テストを兼ねた840hpでもあった。そのテストとは、2019年に行われたヘルキャットのモデルチェンジである。
2019年型として行われたモデルチェンジにおいて、通常のヘルキャットは707hpから717hpにパワーアップ、さらにその上のバージョンアップモデルを登場させた。「ヘルキャット レッドアイ」である。
このレッドアイのパワーはなんと797hp。搭載エンジンは限定モデルだったデーモンのディチューン版であった。
すなわち、ヘルキャットに対してスーパーチャージャーが大型化され、エンジン内部のピストンやコネクティングロッド等も強化品に換装され、同時に熱対策およびオイル周りのグレードアップも当然行われているから、一般ユーザーが街中でフツーに使える797hpが実現されているのである。
さらにシャシーは、デーモンのドラッグベースを改め、一般使用に耐えうるセッティングを施し、まったく普通に使える797hpマシンへと改められた。
くわえて、そのフルパワーを叩き出すために幅広タイヤを利用するためのオーバーフェンダー装着車「ワイドボディ」なるモデルを製作しパワーアップに対応したのである。
あるショップのスタッフは、「レッドアイの内容を見ちゃうとデーモンを買った方はかわいそうだなって思います。エンジンはいいにしても、足やブレーキやホイールなんかはレッドアイの方が断然いいんですよ」と語っていたが、要するに一般道を走るにはデーモンではなくレッドアイの方が走りやすいという意味である。
ということで、現在のラインナップのトップに君臨するモデルが、チャレンジャーヘルキャットレッドアイということになる。
写真のチャレンジャーは、その2021年の新車レッドアイのワイドボディ。ベルエアーにより日本に上陸を果たしたモデル。
当たり前だが、早々に売却済みとなってしまったために、ショールームに展示されると同時に納車作業に入ってしまうのだが、日本上陸後の船積みからの引取り後に撮影させてもらった。
それにしても、ワイドボディとデュアルシュノーケルフードの組み合わせは最高だろう。一目見てカッケーとため息が漏れる。
実際には見慣れているチャレンジャーだし、ワイドボディもこれまでに数車見てきているにもかかわらず、だ。さらにエンジンをかければ「爆音」が響き渡る。そりゃ当然だろう、797hpである。
ただし、シートに座れば他のチャレンジャーとほぼ同じ。だが、走らせれば717hpのヘルキャットでさえ歯牙にもかけない爆発的なパワーが体感できるはず。
このエンジン、840hpのデーモンがベースになっているが、この840hpは、本国アメリカでスペシャルガソリン使用のもと実現されるパワーである。そのスペシャルガソリンを使用しなければ790hp程度といわれているし、実際にメーカーリリースにも記載されている。
なので、日本で見ているこのレッドアイのエンジンは、ほぼそのままデーモン、といっても過言ではないのである。=史上最高のアメリカンマッスルである。
この先のチャレンジャーの動向がいまだ正式には不明であるのだが、一部報道ではフルモデルチェンジがなくなり、このまま販売が続けられるという。
だが、この世界最高峰のマシンがいつまで発売され続けるかはわからない。いわゆる2030年問題を含め、馬力が馬力だけにいつ生産終了してもおかしくはない。ということも含め、最後のガソリンエンジン車として一生モノとするなら、ヘルキャットレッドアイワイドボディは最高のモデルと断言できるのである。
12,810円
PERFORMANCE
6DEGREES
17,298円
PERFORMANCE
6DEGREES
18,420円
PERFORMANCE
6DEGREES
2,090円
MAINTENANCE
6DEGREES