昨年から5台のサードカマロの取材をしていて、今回で6台目のとなるが、それら取材で教えられたことは「この年代になると全ての個体に個体差がある」というもの。
確かにそうだろう。もはや当時の純正状態のまま存在しているということがなく、仮にあったとしても劣化していて間違いないし、そうではない個体なら誰かしらが必ず手を入れている。整備であれ、カスタムであれ。
そしてその時に使用するパーツや人間が施す作業の質等により変化が起こり、個体差となるのだろう。だが。今回6台目のサードカマロを取材して、エイブルの個体にはそういった個体差がかなり少ないことに気付いた。
それは、常に同じ人間が走らせテストし個体の調子を把握。そしてノウハウを生かした適切な手を、毎回同じように加えているからだろう(「走る止まる曲がる」を第一に考えたコンセプトをエイブルは掲げている)。
だから仮に見た目や室内インテリアがちょっとばかりヤレていても、走らせれば常にビシッと筋が通った走りを見せるのだ。
▲91年型Z28コンバーチブル。ディーラー車ベースで走行7万9500キロの個体。
▲1インチローダウンにマフラーは交換され、ホロは張り替えられているが、基本純正状態を大切にしている。
今回取材した91年型Z28コンバーチブルもこれまでと同様、かなり味わい深いサードカマロに仕上がっていた。
まず、この個体は入庫した時点で、「低い」と判断されコイル交換、純正よりも1インチダウン程度に戻している。その際、ハンドリングに関わるアーム類のセンターリンクとアイドラアームを交換。
ショックは以前納車した時点からさほど距離を走っていないからそのままというが、そうした各部のリフレッシュにより違和感なく現代の道を走る。
ステアリングは軽すぎず重すぎず、また鈍すぎず、適度な感じ。ボディサイズ感を把握することが比較的簡単であるサードらしく、狭い街中走行も全く苦にならず。とにかく気持ち良く、快音を響かせながら走り切る。
▲ベージュカラーのホロはテント地のもの。撥水性に富んでいるからヤレも非常に少ない。
▲オープンカーだけにホロを開けた状態が一番カッコイイ。
▲張り替えられたホロは内張りのつく二重構造タイプだから日本の夏にも対応可能。
エンジンも一発始動。ここ数ヶ月で3台のサードに乗っているが、エンジン関連に関してはコイツが一番。とにかく調子の良さを感じさせる。
ただし、室内からは快音に聞こえたエキゾーストノートも、ルーフを開けると結構な爆音(笑)で、好みの分かれるところかもしれない。
▲ウエストクラブ製のマフラーは快音を響かせる。
▲適切なメンテナンスのおかげで未だ引き締まったハンドリングが味わえる。
▲搭載される5リッターV8のコンディションが非常にいい。何ら違和感なく一発始動のV8はメンテナンスの賜物。国産オルタネーターも使用。
コンバーチブルだが、ホロは手動で結構な重さを感じる。だから操作は一人でも可能だが、二人で操作した方が確実だろう。
開閉は、フロントルーフ頭上の左右ロックを外し、ホロ後端のフックを外す。フロント、リアのホロを持ち上げつつ、シフトノブ後端にあるトノカバーオープンのボタンを押し、トノカバーを開く。そのままホロを折りたたみ、収納したら再びトノカバーを閉め、オープン完了。慣れれば1分程度で事が済む。
装着されているホロは過去に一度張り替えられているという。純正のテント地のもので撥水性に富んでいるから、かなり頑丈かつ現状でも十分機能的。くわえてこのホロは裏地がある二重構造タイプなので夏の日差しにも対応する。
ちなみに、サードの純正ホロには3種類あり初期の頃のホロには裏地が設定されていないタイプもあるといい、「それだと日本の夏は暑くて過ごせない」という。
▲オープンカーでありながらもインテリアの状態が驚くほどいい。
▲特にダッシュボードが無傷なのが素晴らしい。
▲シフトノブ後端にある三つのボタンは左右ウインドーとトノカバーのボタン。
が、この91年型Z28コンバーチブルのホロは裏地のあるタイプかつ撥水性の高いホロだから、日本の梅雨や夏を越すことが可能である。
またディーラー車だけに? インテリアの質も非常に高い。オープンカーなのにダッシュボードが無傷、ひび割れ等は全くない。レザーシートは確かにヤレているが、純正時のままだし、室内各部のプラスチック製パーツの状態は非常にいい。
走行7万9000という実走行も魅力的。ディーラー車で、前回8年前にエイブルが販売し、その前から整備等で面倒を見ていた車両ということで、これまでの経緯を把握している個体という。
取材を含め一時間弱走り回り、とにかく「この個体はサードとしての走りの質が非常にいい」と感じた。素晴らしくかかりの良いエンジンと当時のハンドリングが味わえる足回り。それだけでも十分買いだと思う。
▲メーター類は普通に稼働するし、とにかく年式を感じさせる不良部分が全くないのが嬉しい。
▲センターコンソールにある各部パーツも稼働し、またその状態も非常にいい。
▲レザーシートには年式由来のヤレが見られる。が、当時の純正シートがそのまま残っているのは嬉しい。
ボディのコンディションも良く、ホイールも純正だし、これをベースに手を入れればそれこそかなりのレベルに仕上がることを想像させる。
一方で、コンバーチブルだけにクーペ比でボディ剛性等が劣るのは致し方ない。が、オープンにすればそんなことを忘れさせるほど楽しい。エンジンサウンド、エキゾーストサウンドがダイレクトに感じられる。風の巻き込みもダイレクトだが!
総じて、このクルマをセカンドカーとして、晴れの日のオープンカーとして使うことができたら最高だろう。それだけの魅力を備えているし、この個体の状態の良さは特筆すべきものだった。もちろんファーストカーとして使うことも可能だし、それはそれで刺激的な毎日が送れるはずだ。
もう何度も言っているが、サードカマロに関しては出物が豊富にあるわけではないから、欲しいと言っても入手できるかどうかは不明。だからこうした出物がある時が最後のチャンスと言っても過言ではないのである。
▲フロントマーカーを新品に交換している。
▲ホイールは純正状態のものを使用。
▲ホロを閉めた状態でも全く普通に走らせることが可能だから、ファーストカーとして使用することも可能。
19,404円
PERFORMANCE
6DEGREES
19,998円
PERFORMANCE
6DEGREES
3,480円
MAINTENANCE
GDファクトリー千葉店
48,070円
EXTERIOR
6DEGREES