近年のマスタングは非常に贅沢なクルマである。贅沢とは、車両の質感のことではなく、全体のコンセプトについてである。
2011年から始まったフォード車のダウンサイジング。当時は賛否両論あったのは事実だが、2025年が始まった現在においてアメ車のダウンサイジングは全くの普通になっている。
だからアメ車においては楽しみ方が二つあって、そのどちらも楽しい。
具体的にはこれまでどおりの王道的な楽しみ方で「とにかく大きく迫力あるアメ車」に乗ること。その一方で、「あえての小排気量アメ車」を味わうこと。
どちらにもそれぞれ楽しく新しい発見があるに違いないが、マスタングの場合、同じマスタング内でその両者が楽しめるから贅沢である。
▲2021年型の2.3リッター直4エコブーストターボ搭載のMT車。走行4万キロのBCD車両。
▲ヴェロシティブルーのボディカラーが眩しい。BCD車両であるから独自の60プランに加入することが可能。
しかも、日本からフォードジャパンが撤退した現在においては、BCDの存在によりマスタングのフルラインナップに接することが可能である。
例えば、シェルビーGT350に乗ることが可能だし、V8マスタングGTやコンバーチブルを入手することもできる。さらには直4エコブーストターボをMTで堪能することだって可能である。
今回取材した型のマスタングは、2015年にデビューし2018年にマイナーチェンジを行っている。筆者は2015年のマスタングデビュー時から試乗を繰り返し、その当時の2リッター直4エンジンに6速ATが組み合わされている頃からMT車を望んでいた。
車体&エンジンが予想以上に良かっただけに、さらにV8エンジンとATとのマッチングが良かっただけに、直4はあえてMT車で乗ることで新しい小排気量アメ車の時代の到来を感じたからである。
▲いま現在、店内店外合わせて7台のマスタングが展示されている。
▲7台のうち4台がMT車のマスタングである。
▲BCDは「アメ車のMT車の販売車両を減らさないようにも心がけている」という。
で、その時以来、直4エコブーストのMT車には2回ほど乗った経験があり、今回新たに3度目の経験として2021年型の2.3Lを取材させてもらった。で、結論としては予想通り、直4こそMT車が楽しい!
ちなみにこの車両はBCD車両であるが、BCDもかなり以前から探していたという。
聞けば、「マスタングは、他のチャレンジャーやコルベットと比較してとにかくMT車ファンが多く、来店される時点で『MT車一択』という方が非常に多いのです。だからBCDでは、マスタングにおいては、他車よりもMT車の比重を多くしています」とのこと。
実際、取材時(3月24日時点)には、店内に6台、店外に1台の計7台のマスタングが展示されていたが、取材車の2.3リッター直4エコブーストのMT車の他、マスタングmach1(MT車)、シェルビーGT350(MT車のみ)、シェルビーGT500(MT車のみ)といった4台ものMT車が展示されていた。
▲インテリアの状態は非常によく、瑕疵がないのがBCD車両の特徴である。
▲MTシフトはストロークの短いスポーティなもの。フィールも非常に良い。
▲クラッチペダルを含む3ペダルの配置は良好。クラッチもさほど重さを感じさせず扱いやすい。
続けて「日本車においてもMT車はほぼ存在しておりませんし、欧州車においても一部のスポーツカーを除いてはほぼATですから、あえてアメ車のMT車の販売車両を減らさないようにも心がけております」とBCDスタッフ。
現在の車両全般において、多段化されたATが組み合わされており、マスタングにおいても10速ATに刷新されているから、燃費性能のおいては、ましてや変速の素早さ&スムーズさにおいてもMT車に勝ち目はない。
だが、MT車が好きな方ならお分かりいただけるだろうが、MT車を運転している瞬間においては、そうした燃費等といった部分を超越した楽しさを感じるはずだし、右手と左足のコンビネーションを上手にとりながら、時にエンジンをぶん回し、時にギア回転を合わせつつ運転することで、自分なりの楽しさを追求することができるわけで・・・・。
そこに全精力を注ぎ込むからこその、あえてのMT車推しとなるわけである。
▲搭載される2.3リッター直4エコブーストターボエンジンは、310hp、最大トルク350lb-ftを発生させ、6速MTと組み合わされる。想像以上に強烈なパワー感を発生させるエンジンであるが、MT車だとその感じが一層強くなる。
▲ヴェロシティブルーにブラックの19インチホイールがよく似合う。
▲2018年からはオプションのデジタルメーターをチョイスすることも可能になった。直4エコブーストには、アナログメーターよりもデジタルメーターがよく似合う。
今回取材させていただいた2021年型の2.3リッター直4エコブーストターボ車は、目の覚めるような鮮やかなヴェロシティブルーをまとった走行4万キロのBCD車両。
搭載される2.3リッター直4ターボは、310hp、最大トルク350lb−ftを発生させるが、その特徴が3000回転で最大トルクを発生させること。
だから、街中での走りがめちゃくちゃ小気味よく、非常に扱いやすい。それでいてMT車のシフトフィールは抜群にスポーティかつショートストロークのタイプで、とにかく必要以上にシフト操作を繰り返してしまうほど楽しいタイプ。
クラッチはそれほど重くなくクセもないから、これまた操作しやすく、とにかく右手と左足のリズムやバランスが取りやすい。しかも310hpだから十分に速いし、その際のエンジンサウンドもV8とはまた違った野太い音質であり、これはこれで非常に似合っているし面白い。
▲シートはオーソドックスなバケットタイプのレザーシート。適度なホールド性で車両によくマッチしている。
実際、スペックのみの比較だが、当時の直4ターボの車重が1606キロ、V8GTのAT仕様が1693キロということだから、車重にして約87キロの差があり、420hpを発生させるV8ほどのパワーはないにせよ、車重分を差し引き、かつターボパワーという部分を加味すれば、ある程度いい勝負が可能なくらいの差にはなっている。
少なくとも体感では十分な性能であると多くの方が感じるだろう。
「大切なのは日本におけるアメ車の選択肢を減らさないことだと思っています。かつBCDクオリティの車両ですから、購入後の保証や適切なアフターサービスが与えられます。今後もMT車というバリエーションを維持していきたいですね」とBCDスタッフ。
そうした想いの詰まった1台こそがこのマスタング直4エコブーストターボ車のMT車なのである。
繰り返すが、乗って面白いアメ車を探しているなら、日本において数が少ないMT車のアメ車こそが今オススメである。
19,404円
PERFORMANCE
6DEGREES
19,998円
PERFORMANCE
6DEGREES
3,480円
MAINTENANCE
GDファクトリー千葉店
48,070円
EXTERIOR
6DEGREES