TEST RIDE

[試乗記]

MT車専用の2年間限定モデル

2019 フォードマスタング ブリット

ソフトにもハードにも耐え得る走行性能

シェルビーGT350よりも数が少ないレアなブリットを取材した。

更新日:2025.07.25

文/石山英次 写真/古閑章郎

取材協力/BUBU / ミツオカ TEL 0120-17-2290 [ホームページ] [詳細情報]
     BUBU横浜 TEL 045-923-0077 [ホームページ] [詳細情報]

映画『Bullitt』劇中車の復刻版

 まずはブリットとは? それは映画『Bullitt』に登場した劇中車のこと。

 映画『Bullitt』は、伝説的な俳優と言われるスティーブマックィーン主演の刑事アクションモノで、彼が「フランクブリット」刑事を演じ派手なカーアクションを見せる、カーアクションの祖とも言われる伝説的映画のこと。

 で、スティーブマックィーン演じるフランクブリット刑事が乗る愛車が68年型マスタングGT390ファストバック。

 GT390とは、390cu.ic.=6.4リッターV8ビッグブロックエンジンを搭載し、当時320hp以上を発生させたハイパフォーマンスモデル。劇中車は、ボディカラーをハイランドグリーンにペイントした4速MTモデルであり、当然劇中仕様としてカスタマイズされている。

 その68年型マスタングGT390ファストバックが、悪者を追ってサンフランシスコの市街地を駆け巡る。ちなみに悪者だが、コイツもめちゃくちゃカッコイイ! ダッジチャージャーである。恐らく440R/Tか。

 ダークヒーローたるチャージャーとヒーローが乗るマスタングGT390ファストバックという二台の対決構図が示されており、劇中内のカーアクションにもそれらが凝縮されている。

 そんな『Bullitt』という名を用いたマスタングのラインナップがこれまでに数度登場しており、今回紹介するモデルもそんな一台となる。

▲2019年型、走行約1万キロのBCD認定中古車。2年間限定モデルだけに個体数も少ない。

▲リアのエンブレムが「ブリット」。ハイランドグリーンのボディカラーもブリット専用。

 ちなみに、2015年から2024年までの世代におけるマスタングの派生モデルの有名どころとしては、「シェルビーGT350」「シェルビーGT500」「ブリット」「mach 1」があげられる。

 なかでも「シェルビーGT350」と「ブリット」はマニュアルミッションのみの仕様で、走り好きなマスタングファンからの支持が非常に厚い。

 特に「ブリット」に関しては、2019年から2020年の2年間のみの限定モデルであったから、4年間限定モデルであった「シェルビーGT350」よりも台数が少なく、日本におけるレア度も非常に高い。

▲搭載されるV8エンジンは5リッターV8GTと同様であるが若干のチューンにより475hp、最大トルク420lb-ftを発生させる。野太いエキゾーストも魅力的。

▲タワーバーによる剛性確保も抜かりない。

▲ラムエアーが装備される。

 ブリットに関しては、当初ブラックとハイランドグリーンの二種類のボディカラーが存在していたが、BCDにおいてはハイランドグリーンの個体のみを、あえて扱っている。

 それは、ハイランドグリーン自体がブリットの専用カラーであること。ブラックだと他のマスタングとの瞬時の差別化が難しく、ハイランドグリーンであれば即座にブリットであることを知らしめることが可能だからという。

 それ以外でもブリットには、フロントグリル内にエンブレムが一切付かず、ボディサイドに「5.0」といったバッジ類が付かず、リア周りには「ブリット」のロゴが付くもリアスポの類が一切ない。

 すなわち、通常ラインナップのマスタングとは一線を画すシンプルなボディが実現されており、ハイランドグリーンとの組み合わせで、独自性が主張できる。

 ちなみにホイールも劇中車同様のアメリカンレーシングのトルクサースト19インチで、ブレーキにはブレンボの大径キャリパーが装着されている。

▲フロントグリルにはエンブレム等が一切ない。

▲リアエンブレムは「ブリット」

▲助手席前には「ブリット」のロゴ。

▲ホイールはアメリカンレーシングのトルクサースト19インチ、ブレーキはブレンボの大径キャリパーが装着されている。

 搭載されるエンジンは、GTと同様の5リッターV8ではあるが若干のチューンにより475hp、最大トルク420lb-ftを発生させる。当時のノーマルGTが460hpというカタログスペックだから15hp程度の違いだが、一段と野太いサウンドがそれ以上の違いを表している。そしてそれを白い球体のシフトノブで操る。

 シャシーは、フロントエアスプリッターを含むパフォーマンスパッケージをまとっており、マニュアルトランスミッション操作とともにハード走行にも耐え得る性能の高さを見せる。

 だがそれでいてシェルビーGT350のようなスパルタン&ハードといった側面が前面に押し出されていないのが素晴らしい=ハードにもソフトにも乗りこなせるのがブリットの最大の魅力である。

▲インテリアの基本的意匠は現行マスタングと同様のものだが、ステアリングロゴが変わっていたり、シフトノブのに白球が備わっていたりと独自性が垣間見れる。

▲抜群の相性の良さを見せる球型シフトノブ。ホワイトカラーは映画の劇中車と同色。

▲▲センターコンソールにはサブメーターが並ぶ。雰囲気も抜群。

 「ブリット」が劇中で乗っていた68年型マスタングGT390ファストバックとはマスタング自体の世代が違うが、それらのイメージをうまく現代マスタングに落とし込んだ復刻モデルである。

 が、一転して仮に「ブリット」を知らずとも、グリーンのボディが美しいマスタング、だがシェルビーGT350のようなスパルタン&ハードまではいかずの、V8エンジンをMTで操り快感に浸れるマスタングとしてオーナーを満足させるに違いない。

 「ブリット自体は非常に個体数の少ないモデルで、また現オーナーさんで手放す方も非常に少ないですので、稀に出る売り物を待つしかありません。ただ、弊社の場合は弊社基準を超える個体しか扱いませんから、今回の個体は非常に珍しい個体と言えると思います」とBCDスタッフ。

 過去に複数台のブリットの販売経験を持つBCD。そのBCDが自社基準として持っているコンディションレベルを超える個体ということで、待ち望んでいた方には吉報と言えるだろう。

▲デジタルメーターには、全体的にグリーンが使用され、ボディカラーとのマッチングが見られる。

▲シートはノーマル形状のシート。グリーンのステッチが入る。日常的に使用するなら、こちらの方が断然使用しやすい。

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