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第五世代、逆襲のバイパー

2016 ダッジバイパーACR (DODGE VIPER ACR)

最速の公道レーサー登場

2013年にデビューした現行ダッジバイパーは、度重なる苦境にも耐えACRを登場させた。C7コルベットにカマロZ28、マスタングGT350Rにチャレンジャーヘルキャットたちよりも速く、世界中のスポーツカーたちに一矢報いるために。

更新日:2017.03.06

文/編集部 写真/FCA

空白の2年後に第五世代バイパーデビュー

 空白の2年間の後、2013年に登場した第五世代のバイパー。その車体構成を見るに、改良の余地が残されているのは車体の軽量化と足回りのリセッティング、さらに空力くらいだろう、ということは想像がついた。

 一時は「V10にスーパーチャージャーを装備し1000hpを目指すこと」も検討されたというが、さすがに「FRの1000hpに開発費をつぎ込むのは無謀」とFCA関係者に却下された話は有名であるが。

 そんななか現行モデルに難があるとすれば、デビュー前の時点で「本当にこのパッケージで良かったのか?、エンジンはこのままで良かったのか?」ということではないだろうか。

 というのも、ダッジ首脳陣が当時のコルベットC7の進化の度合いが読みきれなかったのではないか? と思えてならないからである。

 現行第五世代のバイパーには、コルベットがC6からC7に生まれ変わった時ほどの機械的進化を思わせる感動があまりない。二年間の空白期間があったにもかかわらず、だ。

 もちろん、デザインが変わって乗り心地も良くなって、各部の質感は十分にあがって、それこそ単品での満足感は非常に高まった。

 だが、旧バイパー乗りが「乗り換えたい」と感じさせるほどの、パフォーマンス的な進化の割合は意外に少ない(特にエンジンがといわれている)。だからこそ、バイパーは本国での販売戦線で破れ、常にギリギリのラインを綱渡り、時に減産して在庫調整するほどの苦境を味わったのである。そしてついに2017年いっぱいでの生産終了が発表された(販売云々もあるが、実際にはこの先の安全保安基準が満たせない、具体的にはサイドカーテンエアバッグが装備できない等の理由もある)。

 でもじゃあ、「バイパーは悪いのか?」と問われれば、だれもが「そんなことはない」と答えるだけの性能は持っている(当たり前だが、この話は500hp以上のモンスターマシン以上での話であって、トヨタカローラのモデルチェンジ前後の話をしているわけではない)。

2013年デビュー当初は、フェラーリ等のラグジュアリー・スーパーカーに成り下がったとの評判がたったが、ACRの登場で一気に形勢逆転。エンジンパワーは劇的に変わらずも、持ち前のレーシングスピリットで最速スポーツカーとして生まれ変わっている。

見事な迫力。エクストリームエアロパッケージ装着の巨大なリアウイングは、トップスピード285キロ時に1トン近いダウンフォースを発生させるという。

搭載されるエンジンは、8.4リッターV10。645hp、最大トルク600lb-ftを発生させ、6速MTを介して巨大パワーを路面に伝える。

同時にライバルたちの進化もす凄かった

 ただ、時代が悪かった。カマロがエアコンまでを捨てた本気仕様のZ28でニュルのラップタイム7分37秒台を記録したかと思えば、シェルビー350GTRがその記録を5秒以上更新、その一方でクライスラーはチャレンジャーに700hpオーバーのV8を積んだヘルキャットを公道に解き放った。

 近頃のアメリカンスポーツたちの間では、度が過ぎるほどのパフォーマンスバトルが繰り広げられている。そして直近の話では、アメ車でスーパーカーリーグに殴り込みをかけるなど、今、アメリカンスポーツカーは世界的な支持を集め始めている。その立役者がC7コルベットであり、マスタングであり、ヘルキャットであるのだろう。

 そんななかでのバイパーの立ち位置は前記したとおり。とはいえそのまま黙って見ているわけにもいかず、デビュー3年後の2016年に、ついにACRをデビューさせたのである。

 ちなみに、ACRとは American Club Racer の略であり、それは旧バイパーにも存在し、その性能とラップタイムの速さにより一躍バイパーを世界的なスーパーマシンへと押し上げたのである。

可変タイプのサスペンションにブレーキへのエア導風のダクトを備える。

フロント6ピストンキャリパー、リア4ピストンキャリパーのカーボンセラミックブレーキに、ACR専用設計となるクムホ Ecsta V720タイヤ19インチタイヤの組み合わせ。

巨大なリアウイングは最高峰のダウンフォースを産み出し、リアの安定を支える。

速さはお墨付き。だが車重1500kg弱に645hpのパワーのFR車を全開でコントロールできるドライバーがどれだけいるのだろうか?

ACRの登場で形勢逆転

 2016年モデルとして登場したACRは、専用設計されたブレーキと高性能タイヤ、そしてアップグレードされた空力パーツやサスペンションによって構成されている。さらに「1-of-1カスタマイズプログラム」(ボディカラーやインテリアを自分だけの好みの1台にカスタマイズ)も適用され、まさに世界に1台のオンリーワンな最速モデルを手にすることが可能だった。

 ボディ周りを固めた空力パーツは、調整可能なデュアルエレメントカーボンリアウイング、リアカーボンディフューザー、取り外し可能なルーバー、フロントスプリッター等であり、これらエクストリームエアロパッケージによって、量産車としては最高峰の空力的ダウンフォースを発生させる。ダッジのテストによれば、トップスピード285キロ時に1トン近いダウンフォースを発生させるという。

 また、足回りには10段階調整機能付きレーシングサスペンションにビルシュタインのレーシングショックが組み合わされ、それを支えるホイールは19インチ。組みさわされるタイヤは、ACR専用設計となるクムホ Ecsta V720タイヤ。フロント295/5/19、リア335/30/19インチである。

 制動力アップにも抜かりなく、フロント390ミリ2ピースローター+6ピストンキャリパー、リア360ミリ2ピースローター+4ピストンキャリパーのカーボンセラミックブレーキが前例のない耐フェード性と制動力を発揮する(足下の軽量化にも一役)。

 さらに軽量カーペット、最小の3スピーカーオーディオ、手動シートの採用によって若干の軽量化となり、それらによりボディ重量配分が前後50:50であり、もろもろのパーツ類と合わさってコーナリングGはざっと1.5Gを計測するのである。

インテリアは簡素化され、電動装備等は省かれているが、元が豪華だったたけに、それほどの質感低下には至っていない。それよりも操作性重視。

シフトは叩き込むというのが相応しいバイパーならではのもの。

シートはバケットだが、位置決めは手動である。

最新の最終モデルこそ最速

 搭載されるエンジンは、8.4リッターV10。645hp、最大トルク600lb-ftを発生させ、6速MTを介して巨大パワーを路面に伝えるが、もともとノーマル時でも車重1500キロ台とこの手のクルマとしてはかなりの軽量モデルであるということと、今回の仕様により足回りが645hpを全面的に支えるために、圧倒的な軽快感を伴ったコーナリングスピードが実現される。

 すなわち、欧州スーパーカー風情が漂った軟弱仕様だったバイパーが一気にスーパースポーツカーへと開花したのである。

 なお、この第五世代のバイパーは、基本エンジン自体の性能はノーマルのままだった(ACRでも)。そこがイマイチ納得のいかないところではあるのだが、NAエンジンへのこだわりとシャシー性能の向上により、ACRは国内サーキットでも抜群の速さを見せ、世界中のスポーツカーを打ち負かしているのである。

 ということで今現在、バイパーACRはアメリカンスポーツカーFRの部最速の1台であり、2座FRスポーツにおいては、世界でもダントツの1台なのである。

 前エントリーでインタビューに協力してくれたコレクションズは、この第五世代バイパーACRの日本第一号車を輸入している。すでに日本国内を走るブラックのACRがそれである。

荷室は一応あるから、日常的にも使えるかもしれない。


1分弱後からラグナセカサーキットを攻めてます。


参考までに。同ドライバーが同サーキットにて攻めます。どちらが速いか。


同様に。

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