更新日:2025.07.18
文/石山英次 写真/ステランティス
2008年に登場したダッジチャレンジャーだが、実際には2005年以前から開発が行われており、当初は「いつまで生産を続けるか」は不明であった。
なんせベースとなっている旧時代のチャレンジャーの輝き自体がたったの2年であったわけだから、復刻版だってその程度の限定的な生産が考えられていた。が、実際には本国でかなりの数売れ、急激なバリエーション増を検討せざるを得なかった。
そんな中で検討されたのが、V10エンジン搭載。そしてコンセプトカーが制作されセマショーにも出展されている。
▲セマショーに出展されたコンセプトカー。SRT10。登場していたら凄いことになっていただろうと想像させる。
▲ボディ空力関係は、当時のバイパーACRのイメージをそのまま流用している。
コンセプトカーは、当時のバイパーV10エンジンや6速MTがまるまる使用され製作されている。その8.4リッターV10エンジンは600hp、最大トルク560lb-ftを発生させ、ミッションは6速MT。
サスペンションのショックにはビルシュタインが用いられ、ブレーキには大径のブレンボ。組み合わされたタイヤは前Pirelli P-Zero 275 / 35R20インチ、後Pirelli P-Zero 275 / 40R20インチである。
エクステリアは、トルネードレッドで塗装され、カーボンファイバー製のフードに1970年型ヘミ クーダをオマージュするシェイカーフードを装備。くわえて当時のバイパーACRを模したフロントスプリッターやリアスポイラーを装備し、ダウンフォースの確保とバランスを維持する設計がなされている。
だが。実際にはV10エンジンは採用されず、新たに6.2リッターV8エンジンにスーパーチャージャーを装備した、通称ヘルキャットエンジンを完成させ、2015年に市販車初の707hpマシンとしてデビューしている。
▲搭載される8.4リッターV10エンジンは600hp、最大トルク560lb-ftを発生させ、ミッションは6速MT
▲当時のバイパーACRを模したフロントスプリッターやリアスポイラーを装備し、サスペンションのショックにはビルシュタインが用いられていた。
一方で、バイパーに搭載されていたV10エンジンは、2017年いっぱいでバイパー共々生産終了となっている。
ちなみに、このチャレンジャーSRT10だが、ヘルキャットの登場の衝撃により当然忘れ去られた存在になっていたが、デビューから10年後の2018年に、再度本国アメリカで盛り上がりを見せた。
それは、次期コルベットのミッドシップ化が報道されたことで、一部のファンが「バイパーのミッドシップでの復活を希望」という報道がなされたからである。それに付随して、チャレンジャーSRT10の登場が再度盛り上がったのである。
だが。それに呼応するかのように、チャレンジャーからは「デーモン」が出て翌年「レッドアイ」が登場することで、それらの報道は瞬時に消え去っていった。
結果的にチャレンジャーは2008年から2023年までの15年間存在した。もしこれが6年くらいのモデルライフであったならば、SRT10は実現していたかもしれない。が、予想に反して売れてしまったことで、そしてパワー路線へと舵を切ったことでSRT10は夢物語となってしまったのである。
▲結果的にデビューしなかったが、制作が模索されていたと言うだけでも感動的。
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