更新日:2024.01.19
文/田中 享(Tanaka Susumu) 写真/ステランティス
ダッジデーモンコンセプト。デーモンとは、他で紹介しているチャレンジャーデーモンが記憶に新しいが、もともとは70年代のマッスルカーが起源。そしてその名がコンセプトカーとして復活した。
この名が復活した2007年当時は、クライスラークロスファイアが市販され、ダッジチャージャー、マグナム、300と続き、クライスラーがイケイケの時代であった。そして彼らが求めた次なる車両が、打倒MX-5(マツダロードスター)だった。
デーモンコンセプトは、当時のダッジマグナムあたりの面影を持ちつつ、ミニバイパー的スタイルをまとった2シーターロードスター。
搭載エンジンは2.4リッター直4NAエンジンで172hpを発生させ、FR駆動に6速MT、さらに全長×全幅×全高:3974×1736×1315ミリ、車重は1179kgという、アメ車の中では非常に小型&軽量なスポーツカーだった。まさしくアメリカ的MX-5だった。
この当時、GMにはポンティアックソルスティスがあった。2005年にデビューした本格的2シーターロードスターだが、間違いなく、コイツの存在もダッジを刺激したはずである。
さらに上記の通り、コンセプトカーさながらの他モデルを実際に市販もしていたから、多くのアメリカンはダッジのロードスターを待ち望んでいた。
だが、このクルマを単一車種として実際に開発する資金がダッジにはなかった。たとえばクロスファイアはベンツSLKとコンポーネンツを共有していたからデーモンコンセプトにもそうした共有車両が存在すれば、今もなお市販されていたモデルになっていたかもしれない。
デザイン、主要コンポーネンツ、その他の完成度は当時ピカイチだったわけだし。しかし白紙撤回。一時期、2010年あたりにアルファロメオスパイダーベースでのロードスター開発が期待されたこともあったというが、それも頓挫。
ということで、ダッジ発の2シーターロードスターの誕生は夢物語となってしまった。
この「デーモン」という名はそれから10年後に840hpという驚異的なチャレンジャーのサブネームとして使われることになったため、恐らく、今後も単一車種としてデーモンが登場することはないはずである。
それにしても、このデザイン的魅力の素晴らしさといったら。あの当時発売にこぎつけていれば、その後に「V8搭載」等のバリエーションも期待できただけに、本当に惜しい。
当時のFCAには、ジープがありハイパワーなSUVやピックアップを持ち、チャレンジャーにチャージャーといったマッスルカーを持っているが、唯一オープンモデルが存在しない。GMやフォードに劣っているとまでは言わないが、差をつけられている部分だけに、「デーモンがあったなら」とついつい思ってしまうのである。
283,800円
AUDIO&VISUAL
あとづけ屋
183,250円
AUDIO&VISUAL
あとづけ屋
272,800円
AUDIO&VISUAL
あとづけ屋
3,553円
MAINTENANCE
6DEGREES