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2004年デビューのフォードGTは往年のGT40に瓜二つ?

現代に甦った フォードGT vol.2

戦闘能力も格段に高い!

見た目にも瓜二つな2004年登場のフォードGTだが、その中身のエンジニアリングに視点を移せば、往年のGT40のそれとは少しどころか、まったく違っていることに気づく!

更新日:2025.09.18

文/石山英次 写真/フォードモーター

オリジナルに倣った苦心の作

 フォードGTは、中身のエンジニアリングに視点を移せば、往年のGT40のそれとは少し違っていることに気づく。

 まず車体構造は、かつてGT40が欧州を瞠目させた鋼板溶接製ではなく、アルミ押し出し材によるフレーム構造である。素材も構造も対照的。

 その一方で、合い通じる箇所もある。GT40の車体サイドシルは大断面で、そこで剛性を大きく負担しつつ、中に燃料タンクを仕込むという合理的なレイアウト。

 かたやフォードGTのほうは厳しい側突規制のためもあってその配置を採れず、代わりにキャビンを前後に貫く大断面トンネルを設けて、その内部を燃料タンクとする。

 フォードGTのエンジンには5.4リッターV8が充てられ、そこに機械式スーパーチャージャーの過給を施してスーパーカーに相応しい大出力550hpを確保するという手法が採られている。

 これは一見、7リッターV8を看板にしていたGT40とは異なる行き方に思えるが、実はGT40の初年度マシンは4.7 V8を積んでいた。

 そういったもろもろよりも違いが大きいのは実は車体寸法だ。GT40は、V6を積むフェラーリの小型ミッドシップ246gtよりも短い2413ミリというホイールベースを持っていた。これに対してフォードGTは30センチ近く長い2710ミリ。

▲オリジナルのGT40はレーシングカーだった。だからこそ、居住性などの安楽条件を無視してひたすら走りに特化したマシンになっていた。

▲GT40のプロポーションを再現版にもたらせば、公道を走ることを目的とした商品としてうまく行かないのは自明の理。そこで全長全幅とホイールベースを伸ばし、4輪が描く長方形のタテヨコ比率をオリジナルのGT40とまったく同じにした。すなわち、見た目は瓜二つだが、オリジナルよりもひと回りデカいフォードGTが誕生したというわけである。

▲スペック
LENGTH:4643mm
WIDTH:1953mm
HEIGHT:1125mm
WHEELBASE:2710mm
ENGINE:V8 DOHC+supercharged
DISPLACEMENT:5409cc
POWER:550hp/6500rpm
TORQUE:500lb-ft/3750rpm

 こうなった原因は恐らく、オリジナルGT40のプロポーションを再現しようとしたためだろう。

 GT40は、キャビンフォワードした現代のミッドシップに比べるとノーズ部分が結構長く見える。その後ろに小さなキャビンが続く格好である。キャビンが小さいと、ただでさえ狭苦しいミッドシップは、さらに居住性が劣るが、そこはレーシングカー。安楽要件は脇に置かれたのだろう。

 またGT40はガルウイング式ドアを持つが、それはキャビンが狭くて乗り降りが難しくなったためでもあった。

 ところがこれを現代のロードカーで再現するのは難しい。キャビンが狭くては商品として成り立たない。といってプロポーションを崩しては再現版としての意味がなくなる。

 そこで開発陣が採った解決法は、全体を大きく引き伸ばすことだった。それゆえのホイールベース2710ミリである。

 そして、これに伴って全長は4.2メートルから4.6メートルへと大幅に伸ばされた。全幅も同様。そして念が入ったことに、新GTの4輪が描くタテヨコ比率は、GT40のそれとそっくり同じ1.68に揃えられた。すなわち、ホイールベース延長に合わせてトレッドも拡幅されたのだ。

▲エンジンは5.4リッターV8スーパーチャージド。550hpを発生。このエンジンは、のちにシェルビーGT500にも搭載される逸品である。

▲かつて2度ほど、実物に触れたことがあるが、その時のオーラはいまでも忘れない。またインテリアの工作精度の高さも抜群だった。だがその割に、シフト操作が軽かったのが印象的だった。イタリア的なスーパーカーとはまた違うレーシーな雰囲気も車両にマッチしていた。

 この比率はクルマの操縦性を左右する基本ファクターである。フォードGTの開発陣は、ただ見た目だけでなく、機動時の基本素養もまたオリジナルに倣ったていた。

 ちなみにGT40は、最高速が300km/hを超えるル・マンなどでリフトを起こして、それが初期の苦戦の原因となったのだが、オリジナルのシェイプに倣ったフォードGTも、当然ながら同じポイントで苦労することになったという。

 しかし、大げさなウイングやスポイラーの追加はせっかく再現したアピアランスを壊す。そこで空力担当者はボディ下面でその解決を図った。リアの大型デフューザーは、そのひとつの結果と言われている。

 フォードGTは、発表と同時にアメリカと英国を中心に大きな話題を呼び、限定4500台のところに倍以上のオーダーが集まって、デリバリー前からとんでもないプレミアムがついた。

 その理由は、人々がこのクルマの歴史上の意味を、きっと知り尽くしていたからだろうと思う。

 余談だが、2020年にはこれまた、ついにコルベットが念願のミッドシップ化を果たす。そこにもたらされた情熱は、フォードGTに決して劣らないほど濃密ななものであった。

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