TEST RIDE

[試乗記]

オーナーを飽きさせない初代デュランゴの魅力凝縮

ダッジ デュランゴ (DODGE DURANGO)

4.7リッターV8OHCエンジンでも楽しめる

アメ車業界の中でもご長寿モデルとして存在感を示している初代ダッジデュランゴ。デビュー当時「先進的」と称されたデザインは、いまだ古臭くなく、手を加えることで、一段と輝きを増すのである。

更新日:2017.10.17

文/椙内洋輔 写真/古閑章郎

取材協力/ジャパンレーストラックトレンズ TEL 0356613836 [ホームページ] [詳細情報]

アメ車に求める理想像が詰まった

 1990年代後半から2000年前半にかけて起こったアメリカンSUVの大革命。それまでアメリカ特有の乗り物だったSUVが、欧州車にも飛び火し、各メーカーから矢継ぎ早にニューモデルが登場。それによって、アメリカンSUVにも各部に好影響がもたらされ、そして洗練され、それがまた新たな魅力となってラグジュアリーSUVといったニューカテゴリーを生むまでに一気に成長したのである。

 そうした流れの中からデビューしたミドルクラスSUVの雄、ダッジデュランゴもこれまでの常識をことごとく覆し、ある種の革命をもたらした。それによって、日本でも一大ブームが起こったのは記憶に新しい。

 そんなデュランゴは、2003年まで生産され(98〜03年型までの6年間生産されたモデル)、04年から2代目モデルに生まれ変わったが、日本ではいまだに初代の人気が高い。

 その理由のひとつが、いまだに当時のコンセプトを越えるSUVが登場していないことがあげられる。日本特有の道路事情にマッチした大きさに、独特のアメリカンV8を搭載、さらにダッジ特有のいかつさを備えたスタイル等…。つまり、アメ車に求める理想像のすべてが詰まったクルマこそ、初代デュランゴだったわけである。

 さらにもうひとつ。初代デュランゴが登場した1998年当時のアメリカンSUVとは、まだ直線基調の無骨なデザインが主流を占めていた時代であって、丸みと抑揚あるラインを引っ提げて登場したデュランゴのデザインは、当時、「二世代ほど先を行っている」と言わしめたほどだった。

 つまり、二世代先を行っていたことにより、じつは今見てもあまり古臭さを感じることがないのである。たとえば、当時のタホ、サバーなんかを見ると、ある種の郷愁を覚えるほどだが、デュランゴは今見てもあまり古さが感じられないのは、そうした登場時の先進性のよるものだ。

 だからこそ、いまだにデュランゴに乗りたいと思っているオーナーが多いことと、また長く乗っても古くならず、しかも少しずつ手を加えることで、飽きも来ず長く乗れるのである。

丸目二灯のヘッドライトにワンオフのアイラインを追加することで、攻撃的なフロントマスクを形成。いわゆるダッジらしさみたいなものが一段と強まっている。

さらにSP360エアロのボンネットフードとリップスポイラーを装備して、スポーティな雰囲気をも演出している。

ボディにセンターストライプを2本入れ、そのラインの縁取りをパープルでコーディネートしている。シャンパンゴールドのボディカラーと発色の良いパープルカラーがよくマッチしており、全体的に品良くまとまっている。

1台のアメ車に長く乗るために…

 素のデュランゴの魅力とともに、注目を浴びるのが各種のカスタム。最近の傾向としては、ダッジの厳つさをさらなるものへと進化させるのが流行りということで、さまざまなアイテムが登場しているが、ここで紹介しているデュランゴは、まったく違ったアプローチによってフロントマスクの厳つさを増している。

 それがアイラインである。丸目二灯のヘッドライトにスチール製のアイラインをワンオフで入れ、そのアイラインの中に、まるで二重まぶたのようなラインを追加することでフロントマスクを強面に変え、さらに現行チャージャーに通じる右上がりのヘッドライト形状を演出しているのである。

 さらにSP360オリジナルボンネットフードとリップスポイラーが備わり、一層攻撃的な今風のフロントマスクを形成しているのである。くわえてフロントマスク以外にもリニューアルをかけているのである。

 で、まずはセンターストライプとホイールのペイント。ライトピューターメタリックという薄いシャンパンゴールドっぽいボディカラーにブラックのセンターストライプを2本入れ、その縁取りに発色の良いパープルのラインを追加している。

 このパープルのラインは、装着している20インチのアメリカンレーシングホイールとも合わされ、スポークをブラックに、そしてリムやスポークの縁取りをパープルにペイントすることで、軽々しくない、大人っぽいトータルコーディネートを演出しているのである。

 「アイラインだけでも良かったんですが、センターストライプを入れたことで、また違った雰囲気になりましたね。さらにパープルのラインの発色がまた素晴らしいので、今っぽさも演出できました。好みもあるでしょうが、これはこれで見違えたと思います。まるで別人とは言いませんが、雰囲気が変わったので、さらに長く乗れるでしょうね」

 1台のアメ車に長く乗る、しかも定期的に手を加えてやることで一段と輝きを増す、そんな理想的なアメ車生活を送るためのノウハウがこのデュランゴにはたくさん詰まっているのである。

デビュー当初は5.9リッターと5.2リッターのV8エンジンがラインナップされ(本国には3.9リッターV6もラインナップにあり、日本ではまずお目にかかれないが)、00年型からは4.7リッターのV8が追加されたことにより、00年いっぱいで5.2リッターV8が消滅している。

OHCはOHVに比べ、高回転域が若干得意になっている。低速から高速にかけては、まるで国産やドイツ車のようなフィーリング。ドロドロとしたV8系を思い浮かべると肩すかしをくらうかもしれない。軽い口当たりでシュンシュン回る感じのV8だからである。一方でいわゆるV8OHVは、低速から圧倒的なトルク感をもたらし、そのまま怒濤の加速が魅力。

OHCはOHVを比較すると、低速からの伸び率はOHCの方があるが、出だしの勢い等にアメ車を感じないかもしれない。ただし、そうはいっても4.7リッターもの排気量があるので、国産V8に比べたら、圧倒的ではある。へダースや砲弾型ワンオフマフラーの威力によってさらに一段と高まっている。

5.9リッター以外でも十分に楽しめる

 ちなみに、このデュランゴに搭載されているエンジンは、2000年から登場している4.7リッターV8OHCだ。デュランゴといえば、5.9リッターV8、5.2リッターV8のOHVが有名だが、この4.7リッターV8OHCでも十分にスポーティであることが確認できている。

 このOHCには、吸気系にラムエアが装着され、さらにへダースが組み込まれ、排気系にはワンオフの砲弾型マフラーが装備される等手が加えれているが、それによる効果は絶大。

 OHCエンジンということで、OHVと比較すると低速から高速にかけての伸びが鋭く、そういった楽しさが味わえるエンジンである。OHVは、低速から高速にかけての伸びというよりは、低速から一気に巨大なトルクを発するエンジン(アメリカンV8の特徴)だけに、OHCはどちらかというと、国産や欧州車等のV8エンジンのような印象をもたらすのである。

 今回、そこに手を加えてその伸びの鋭さを一段と高めることで、V8OHVとはまた違ったV8エンジンの楽しさを提供してくれるのである(4.7リッターV8デュランゴにすでにお乗りの方にも朗報でしょう)。

もともと装着していた20インチのアメリカンレーシングホイールは、ボディのストライプと合わされ、スポークをブラックに、そしてリムやスポークの縁取りをパープルにペイントすることで、トータルコーディネートを演出している。ヤレたホイールのリペイントにも効果あり。

ボンネットフードのエアスクープから流入する大量のエアの逃げ道を作るフェンダー後部のサイドエアベント。

コントロールしやすいボディに硬質な足回りとハンドリングが特徴の初代デュランゴ。その魅力は、今なお輝いている。

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