更新日:2016.03.11
文/T.NAKAJIMA 写真/ゼネラルモーターズ
「実用的なコルベットZ06」といえば、その凄さが少しは伝わるだろうか。めちゃくちゃ速すぎて恐怖すら感じさせるコルベットZ06。その4ドア版とでも言えそうなキャデラックCTS-V。
ただし、搭載されるエンジンは同じく6.2リッターV8スーパーチャージャーのLT4で間違いないが、649psにディチューンされドライサンプ化もされていないし、車重が1910kgと若干ヘビーである。
だが、そのパフォーマンスは劇的であり、指標としてたメルセデスベンツAMG E63を遥かに越えたといわれている。たとえば0-100km/h加速は3.7秒、0-400m加速は11.6秒で、横Gは1Gの最高速度は325km/h。それでいて現地価格は8万4990ドルだ(日本価格は1290万円からとなる)。
しかもエクステリアデザインは、キャデラック特有のもであり、どのクルマにも似ていない。今の時代、どんなにハイパフォーマンスを謳う車両でもデザインはどんどんシンプルになっていいくなかで、あえて時代と逆行するようなアグレッシブスタイルをまとり、迫力とけばけばしさをうまく調和させている。
ベースとなるアルファプラットフォームの出来の良さ、軽量化と高剛性を両立させたベースに熟成のサスペンション、さらにハイパフォーマンスブレーキとタイヤによって得られる走りを、起伏の激しいサーキットでまるでドイツ車のように徹底的に磨き込んだ。
だからCTS-Vの凄さは、まるでスポーツカーのような走りの質になるのだが、それ以外にも街中を走る時の低速時の足の動きが格段に良く、上級サルーンらしい乗り心地の良さをももたらしてくれるのである。それでいて使い勝手の良さはコルベットの比ではないだろう。
一方で、アクセルオンで簡単にテールスライドさせることも可能であり(腕利きドライバーなら日本のワインディングロードでは無敵だろう)、この二面性が味わえる生粋のスーパーサルーンは、世界でも数える程しかないだろう。
ということで、CTS-Vは歴代Vシリーズのなかでも圧倒的な存在であり、車両同士の比較でいえば指標としたライバル車たちをも圧倒的に越えている。となれば、モノはいいんだから、あとはキャデラック自体のCM効果によって、いかにCTS-Vの良さをアピールし、ライバル車に乗るユーザーたちに浸透させるかにかかっているのだろう。
それにしても、近年のGMの車両開発能力の高さは凄まじい。目標を完全にクリアする能力は特筆ものであり、全体的にガッチリしたハンドリングやボディ剛性の高さは、フォード車やクライスラー車では決して味わえないものだ。
コルベットにカマロにキャデラックに…。まあ悪く言えば、アメリカらしさが希薄になっていくとも言えるのだろうが、ここまでレベルが上がってしまうと、それもやむなしと認めないわけにはいかないだろう。
とはいえ、せめてもの希望じゃないが、アメリカンV8エンジン搭載だけは、そのリストから外さないで欲しいと切に願うのである。
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