キャデラックCTS-Vとは、2007年にフルモデルチェンジを受けたCTSに、2009年1月から追加された最強バージョンのこと。アグレッシブなフロントマスク、レーシーなワイヤーメッシュのホイール、スーパーチャージャーを収めるためにマッシブに盛り上がったボンネットなど、走りを主張したスタイルが印象的。まるでステルス戦闘機のような鋭角なデザインが特徴的である。
そんなキャデラックCTS-Vには、クーペ、4ドア、スポーツワゴンの3種類のボディが用意されており、当時から比較的目にしたクーペ以外は結構レアな存在。で、取材した車両は、そんなレアな4ドアモデルのディーラー車。
2011年型で7万キロ弱走行ということだから、2018年現在で年間一万キロ程度の走行車両と推測できる個体。走行距離の長さが気になる方が多いと思われるから、筆者的にもその部分をかな~り慎重に吟味してみた。
ところで、取材ショップのエイブルとしては、サードカマロやジープワゴニア等といった90年代車両を得意としているショップだけに、高年式車両を扱う事例は珍しい。だが、聞けば「このご時勢に、あえてアメ車に乗りたいと思っていただける方々に提案する車両としては、こういった尖った車両が面白いのでは、と常々考えていたんです」という。
続けて「このCTS-Vは、4ドア版コルベットC6と思っていただけるなら、めちゃくちゃ面白い存在ですし、その他では、チャレンジャーだと当たり前ですから、6.1Lや6.4LのグランドチェロキーSRTなんかも検討しております」。
なるほど。このご時勢とは、エコや燃費を鑑みた電気自動車への移行を促す政府の働きもある現在に、あえてバカ高い自動車税を払い、あえて高額なガソリン代をも飲み込んでアメ車に乗りたいと思うコダワッタ方々に相応しい、アメ車らしさ満載の個体を提案したいというエイブル代表の原氏。
そういう意味ではCTS-Vもある意味では、今や旧車に一歩近づいたサードカマロやワゴニアと同じベクトルの尖った車両ということである。ちなみに、昨年一台、エイブルではCTS-Vを納車している。その時点の好印象もあったのだろう。
そんなエイブルコダワリのCTS-V4ドアに試乗した。今やCTS-Vのボディサイズはかなり小さい方だ。だから日本の道路上では非常に乗りやすい。だがそんなボディに搭載エンジンは、556hp、最大トルク551lb-ftを発生させる6.2リッターV8スーパーチャージドエンジン。馬力数だけでいえば、ノーマルC6コルベット、いやC7コルベットを上回るパワーである。
だからシートはレザー製のレカロであり、体をしっかりホールドされてのエンジンスタート。
ステアリングホイールとスエード調のシフトノブの手触りが非常にいいし、タイトな空間と相まって、ちょっとしたレーシングカーのような雰囲気が味わえるのだが、それでも4ドアセダンである。
そのまま街中を走れば、まるで一般車と同じように快適至極であり、このタイトな空間にさえ慣れれば、もしくは馴染めば、毎日の足としてまったく不都合なく使える存在だろう。
と同時にステアリングが意外に重く、ブレーキのタッチも結構重いことに気づくが、そういった重さの意味が加速した瞬間に理解できる。
前が空いたのを見計らってアクセルを開けると、とてつもないロケット加速。ジェットコースターに乗って加速時に一瞬息が詰まるというか、呼吸できない状態を思い浮かべて欲しい、そんなような状態に見舞われる。
高速道路でも知らず知らずのうちに200キロ到達、しかもそのままの巡航も楽勝だろう。そういった速度域に対応するための運転時の各部の重さなのだろう。
ただし、加速自体は凄まじいが、6段ATやスタビリトラック(電子制御式の車両安定装置)、そしてサスペンションが巧みな連携プレーを行って、この大パワーをいとも簡単に手なずけている。変速はスムーズだし、シャシーはパワーを確実に路面に伝えている。コーナリングも得意で、決して“直線番長”だなんてことがないのが、2011年製のアメ車でもある。
ちなみにCTS-Vの足回りは専用にチューニングされており、ダンパーには磁気流体により1/1000秒単位で減衰力を調整するマグネティックライドコントロールが採用されている。
また、ステアリングにはZF Servotronic II の電気式ラック&ピニオンが、ブレーキには前6ピストン、後4ピストンのBrembo製ブレーキシステムが備えられており、オリジナルでもかなりの性能を保持しているのである。
中古車としても、例えばレザーシートに使用感は見られるものの、性能という部分に関して言えばまったく問題はない。取材後にあえて下回り等を見せてもらったが、オイル漏れや下回りのヒットの後は皆無であり、各部の消耗品のクリアだけで個体としては十分なレベルに達するだろう。
今現在、原氏も自身で試乗し、数日間自ら動かすことで各部の洗い出しを行っているというから、そう言う意味でもかなり期待できる車両である。
少なくとも、あの性能が味わえる4ドアセダンなんてほとんど存在しないだけに、また、コルベット乗りのセカンドカーとしても驚くべき性能を発揮するだけに、そしてキッチリとした車両を収めるエイブルの車両だけに、あえて尖ったアメ車に乗りたいと思う方には格好の一台だと思うのである。
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