取材車両は82年型だから、エルカミーノとしては1978年から87年まで続く第5世代ということになる。が、第5世代の一番人気は最終87年型で、その理由は様々あるが、一つは最終87年型のみ4速ATになっていること。
また映画ケビンコスナー主演『ボディガード』の影響もあって87年型の人気の高さにつながっている。
だが、実際のところ、82年型でも87年型とデザイン的な大きな違いがあるわけではない(若干はある)。すなわち、その個体次第によっては乗って楽しい個性的なアメ車になるに違いない。
ということで、エイブルで取材した82年型シボレーエルカミーノ。
▲82年型エルカミーノ。エンジン、外装系に手が入り安定感抜群の個体になっている。
▲セダンピックアップはアメリカ車特有のカテゴリー。今の時代には非常に新鮮に見える。
実は、取材車が「エルカミーノ」と聞いた時、反射的に「エアコンは?」と聞き返した筆者。82年型と聞き年式的に43年前の個体であること、そして日々33度を超える気温の中で「エアコンレスは死を招きかねない」と危惧したからだ(笑)
が、エイブル代表原氏曰く「大丈夫、自分も試運転しているから」ということで、早速取材。取材車には5リッターV8エンジンが搭載され、3速ATが組み合わされている。
聞けば、ずっと眠っていた個体であったが、昨年末からエイブルにてエンジン関連をフルオーバーホールに近いかたちで修理し、外装関係にも手を入れ今に至るという。
だからエンジンは一発始動し、その後も全くぐずることなく終始安定。その際、油温も水温も常に安定していて、この暑い時期にもかかわらずエンジンのオンオフを繰り返しても全く根を上げず。終始安定して5リッターV8エンジンが楽しめた。
ちなみに、エアコンも普通に効く(笑)から、真夏でも涼しい顔して乗れる!
▲ご覧下さい。見事にクリーンなエンジンルーム。エイブルによってフルレストア整備がなされている。
▲湾曲したリアガラスがデザイン的な特徴。
▲セダンピックアップのデザインの美しさと車高を含めた見事な前後バランス。
この時期に、この年代のアメ車が普通に街中を走ることができるのは(エアコンオンで)本来当たり前であるが、万が一、それが不可能ということであれば、どこかに異常があるに違いない。
逆にそれが可能であるということは、まともな個体だから(まともな整備を受けてきた個体)ということになる。
それにしても楽しい。5リッターV8は低速から荒々しく吹け上がり、トルク感とともに軽々走らせる。今の時代で言うところのパワー感はそれほどないが、このボディを普通に走らせるだけの力とV8サウンドは備えているから、十分に浸れる。
ボディサイズもさほど大きさを感じさせないから、街中でのすれ違いや切り返しも楽だし、気を使わせるところがあまりないのも嬉しい。
また、驚きなのが乗り心地の良さ。サスペンションのダンピングが非常に良好で、路面の凹凸を軽くいなす。だからといってフワフワしただらしない乗り味ではないから乗っていてめちゃくちゃ楽しい。
▲クロームのフロントグリル、ヘッドライトベゼルを新品に、フロントスポイラーをボディ同色ペイントで仕上げている。
▲シンプルな形状のインテリア。ステアリングの反応が良く乗って楽しい。
▲この時代はコラムの3速AT。
くわえてステアリングの反応も良いから、またその反応がドライバーに的確に返ってくるから安心感がある。経験的に、この手の車両は硬いか柔らかいかのどちらかに振れることが多い。硬い場合は硬過ぎることが多いのだが、取材個体はちょうどいい塩梅に収まっている。
だから乗っていると年式を感じないほどシッカリしていると感じるし、もしかしたら「当時の新車がこんな感じだったのかも」とも思わせてくれる。
「ホイールやサスペンションにはまだ手を入れていないんです」ということだが、その昔エルカミーノにはカマロIROC用のホイールを装着するカスタマイズが人気だったから、それを施すなど、今後手を加える余地が残っているのも嬉しい。
一方、外装関係では、クロームのフロントグリルにし、ヘッドライトベゼルを交換、フロントスポイラーをボディ同色ペイントで仕上げる等、若干の手が入っているからか、全体的にパリッとした雰囲気が漂い、古さをあまり感じさせない。
▲エンジンの調子を管理するために油温水温計が後付けされている。
▲前後位置のみ調整可能なベンチシート。アメ車らしさ満載。
▲ハンドリングの良さとダンピングの良さ、そして5リッターV8と、とにかく楽しい。
それにしても、エルカミーノの個性は抜群である。いわゆるセダンピックアップ。ピックアップトラックよりも重心が低いから走りはセダンのように。それでいて荷台があるから荷物の運搬も可能。くわえてそのリアの湾曲したガラスデザイン等、突出した美しさも健在で、今なお魅力的。
とはいえ、今の時代にまともに乗れる個体を探すのは非常に難しいから、エルカミーノに興味を持ったのであれば、今回の個体のように至って普通に走れる個体から入門してみるのが良いのではないかと思う。
この個体を販売しているエイブルはサードカマロで有名であるが、それ以外の旧車における造詣もかなり深い。エルカミーノに関しては、この個体以外に87年型を過去に2台取材しているし、それ以外の旧車に関しても何台も取材してきている。
よって、そう言ったプロフェッショナルに整備された今回の個体だからこその走らせた時の安定感であり、この個体をベースにすれば、非常に楽しいエルカミーノライフがきっと味わえるに違いない。
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ウエストクラブインターナショナル
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