再びサードカマロである。今度は1992年型Z28だから、いわゆるサードの最終モデル。くわえてTバールーフ。
それにしても珍しい個体。あれだけタマがないと言われているサードカマロなのに、エイブルには毎月のように出物が現れる。不思議である。
とはいえ、それらすべてが完璧な商品というわけではない。もはやれっきとしたアンティークカーだから、当然それなりの「手」を加える必要があるが、そこはプロショップ。
これまでの知見によるノウハウを存分に活かしたリフレッシュが施されている。そう、そうしたリフレッシュを行えば十分商品として通用する中古個体を、エイブルは厳選して仕入れているのである。
よって、当たり前だが、商品に向かないレベルの個体も数多くあるから(いや、そんな個体の方が多い)、そういった個体をつかまないよう気をつける必要が購入者にはある。
ちなみに、このZ28Tバールーフであるが、走行は約4万9000マイルの個体。そしてエイブルにて複数の作業が加えられている。
まずはセルモーターと点火系の一新、そして排気系では触媒以降のキャタバックや中間パイプを新品に。マフラーの出口部分に関しては元々付いていたものを流用しているが、この部分は購入者の好みにより変更が可能である。
一方、ステアリングリンケージ系のアーム類やセンターリンクも一新され、ショックやブレーキパッドが新品に、またタイヤも前後異形サイズで新品に交換されている。
ちなみにフロント225/55R-16、リア245/50R-16インチと異形サイズであるが、両者のタイヤの直径が同じであるから問題なし。
ということで、試乗開始。つい先週のことだから、当然ながら酷暑。当日も午前中にもかかわらず気温31度を記録していた。
が、エンジンは何事もなくかかり、エアコンも効いている。そしてTバールーフを外して試乗開始。Tバールーフはガラス製タイプで、ワンタッチで脱着可能。一度に両面の脱着を行っても3分もかからない。
ちなみに、当然ながらTバールーフを装着したクーペ状態でも走行したが、驚くべきことにミシミシガタガタといった低級音は全く発せず、また日差しによる車内温度の上昇も起こることなく、非常に快適な室内空間がもたらされている。
もちろん、現代のコルベットのような密封性はこの時代のカマロに求めることはできないが、少なくとも想像以上の状態が維持されているのは間違いない。
また、運転席のみTバーを外すことも可能だから、そうしたアレンジができるのもこの時代のTバーならではだろう。
個人的には、コンバーチブルよりもいいかも、と正直思ってしまったくらい最高である。
さて、この時代のZ28には5.7リッターV8が搭載され245hpを発生させるが、これが非常に心地良い。組み合わされる4速ATの状態も良く、アクセルペダル、アクセルワイヤーを介した操作にダイレクトに反応する。
もちろん、現代車と比較すれば速いなんて全く言えないが、少なくとも心地良い、気持ち良いといった感覚性能に関してはまだまだ十分に高い。
くわえて、肥大化した現代車よりもサイズ感をあまり感じさせないのも心地良さに繋がっている。すれ違い等でも車体の大きさを感じることがほとんどないのである。
取材個体は、ショックやタイヤが新品に交換されているから、まだ当たりの付いていない素の状態だった。だから走らせれば若干硬さを感じるほどであり、くわえてステアリングリンケージ系が新品に交換されているから、これまた新車とは言わないまでも非常にアクティブなハンドリングの反応を示し、乗っていて非常に楽しかった。
サードカマロに関しては、路面の凹凸によってボディ下面を擦ってしまうことを常に気にしてしまうし、どんな個体に乗っても条件反射のように身構えてしまう(それほど低い車両が多かったのだ)。
だが、エイブルの個体は、今回の個体に関してもノーマル車高を維持しているから非常に乗りやすい。どんな道でも安心して走らせられる。
エイブルの原氏が言うように、走る、曲がる、止まるに関しては、現段階でもかなりレベルの高い個体と言えるだろう。なので、Tバールーフという独特の個体であるということも受け入れられるなら、きっと素晴らしいサードカマロになるに違いない。
なお、現時点においては、パーツ待ちであったり、あえて手をつけていない箇所があったり、といった部分もあるという。あえて手をつけていないというのは、購入者の希望や好みを聞いた後に作業する部分をあえて残しているということだ。
そういう意味では今後、今以上の状態になることは間違いない。
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