TEST RIDE

[試乗記]

シエナの中古車は2018年型が一番のオススメ

2018 トヨタ シエナ リミテッド

リミテッドならではの豪華装備のミニバン

最新のシエナはハイブリッド車になってしまったために日本で乗ることができない。だから2018年前後の中古車が今最も人気であるという。そんな個体を取材。

更新日:2022.11.08

文/田中享 写真/古閑章郎

取材協力/ベルエアー TEL 0436-26-5700 [ホームページ] [詳細情報]

2017年から2018年あたりがシエナ人気の頂点

 北米トヨタが誇るミニバン、トヨタシエナ。2011年に現行型にモデルチェンジし、日本でも逆輸入車ブームに乗ってかなりの台数が直輸入されている。

 そして、このシエナの魅力はひと言、国産ミニバンにはない「走り」の性能である。

 いわゆる国産ミニバンは、背の高さを優先し室内空間を稼ぎ出しているからこそ高速性能ではイマイチ安定感を欠き、「まあでもミニバンだから仕方ない」という認識にて成り立っていた。ちなみにシエナとトヨタアルファードの全高は20センチ以上違う(当然シエナの方が低い)。

 だからシエナが登場した時は、ミニバンとしての空間容量の多さと重心位置の低いバンとして走りにも満足し、さらには「トヨタの左ハンドル車」としての珍しさ(優越感)が、多くのユーザーの興味をひいたのである。

▲2017年型でエンジンとミッションが進化し、2018年型でフロントマスクの形状が変化。この顔を求める方々が多い。

▲シエナといえば「白か黒」といったくらいにボディカラーがお決まりである。

 そんなシエナは2017年以降二度のマイナーチェンジを繰り返し、そろそろフルモデルチェンジかも、と言われ続けて2020年モデルへ。そしてついに2021年モデルが発表された。

 これまた当時のモデルの延長線上のマイナーチェンジが施されたのだが、ここでひとつ大きな問題が現れた。そう、トヨタシエナがハイブリッド車になったのである。よって2021年以降のモデルは日本への直輸入が不可能になった!

 ということで、トヨタシエナを日本で楽しむには、2020年までの中古モデルに乗るということである。

 だが、実は2020年当時はコロナ禍だったこともあり、選べるほどの中古車個体が日本に入っていないというのが現状。実際には2019年モデルも非常に少なく、日本において選べる中古車個体がある年式は2015年から2018年あたり。

 具体的には、2017年から2018年あたりがシエナ人気の頂点であり、それ以降飽和状態が続いていたこともあり、だから2019年あたりのシエナの直輸入個体は非常に少なく、結果いまになってシエナを選ぼうとすれば2017年以前のモデルが最も多く、2018、2019年あたりの個体は数がかなり限られる。

▲2016年までシエナに搭載されていたエンジンは3.5リッターV6。266hp、最大トルク244lb-ftを発生させていたが、2017年から新たに搭載されたエンジンは同じく3.5リッターV6の筒内直接燃料噴射(D-4S)を採用したもの。それによって296hp、最大トルクは263lb-ftへと進化している。

▲3列シートを使用したままでも、ご覧のとおりの荷室スペースがある。奥行きというよりは深さがあるためこれはこれで使える。

▲シートアレンジを使用し折りたためば広大なスペースが現れる。

 で、そんな状態でありながらも、今、結構な勢いでシエナ人気が復活しているという。いわゆるキャンプブームや新たなファミリー層からの支持である。やはり人とは違うミニバンということなのだろうし、トヨタ車のクオリティの高さや安心感といったところだろう。

 さて、取材した個体であるが、2018年型のリミテッド。新車並行で日本に上陸し、走行距離は6.3万キロを刻んでいるが、この個体、走行距離を感じさせないほどクリーンな状態である。

 ちなみに、シエナ人気の頂点は2017から2018年と上記したが、それはなぜか。実は2011年からのモデルライフにおいて、2017年にエンジンとミッションが進化し、2018年にはフロントマスクの形状が変わりアグレッシブスタイルとなった他、各種安全装備が充実したからである。

 要するに各種安全装備までを含めるなら2018年、いやそこまでいらないというのなら2017年におけるメカニズムの変化によって、走りの性能が完成しているからである。

 だから日本市場においても、その年代の個体が一番日本に持ち込まれており、一方買う側においてもこれらの年代が一番魅力的ということになるのである。

▲機能的な部分において国産車に劣っている部分はまったくない。質感もかなり良い。シフトの位置が高いから積極的に8ATを操ることも可能である。リミテッドならではの高級感も感じる。

▲組み合わされるミッションは、旧時代の6速ATから8速ATへと進化している。この多段化による走行性能および燃費向上がじつは最大のメリットをもたらしている。

▲メーター周りの構造もスポーティかつ実用的。アナログメーターも逆に新鮮。

▲Wサンルーフ付きである。

 ということで、取材個体は2018年だから搭載エンジンは3.5リッターV6で296hp、最大トルク263lb-ftを発生させ、それを8速ATで駆動する(それ以前は6速AT)。

 さらにリミテッドだからレザーシートが装備されており、Wサンルーフも付いているから、好きな方にはたまらない装備だろう。

 くわえてホワイトボディにブラウンカラーのレザーシートが非常に似合っており、中古車としての使用感やヤレ感もさほど気にするレベルではないから、「SEが欲しい」ということでなければ、そして今シエナが欲しいという方には最適な一台ではないか、と思うのである。

 日本でミニバンといえば、アルファード、ヴォクシー、ステップワゴンetcということになるのだろうが、そうした街ゆくミニバンたちとは一味違う、左ハンドルにミニバン。そして全高の低さからくる高速安定性の能力が高く、横風等による不安定な状況が少ないシエナ。

 気になるメンテナンスに関しては、日本製トヨタとほとんど変わらないレベル、ということだから今からでも十分に楽しむことが可能だと思うのである。

▲チョコレートブラウン的なカラーリングが非常にアメリカ的でよく似合っている。使用感は若干あるが、中古車ならではのレベルのもの。

▲セカンドシートにも若干の使用感はあり。だがヤレほどのものではない。

▲サードシートには使用感はまったくなかった。

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