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V10エンジンを搭載したミニバイパーに変身

1997 ダッジラム 3500 (DODGE RAM 3500 DUALLY)

これから10年再び楽しく乗るための衣替えも実施

97年型のダッジラムトラックである。しかも3500のデューリー。ダッジラム3500にはV10エンジンが搭載されているから、「スッゲー速いかも」なんて思いを抱いて過去に何度か試乗した経験がある。だが、その当時はあまり良い印象はなかった。今回は吸排気系に手が加わった1台、果たしてどんな印象か?

更新日:2017.03.13

文/椙内洋輔 写真/椙内洋輔

取材協力/ジャパンレーストラックトレンズ TEL 0356613836 [ホームページ] [詳細情報]

オリジナリティを求めて行き着いた境地

 取材したダッジラム3500はオーナーカーであり、10年近い間メンテナンスを中心とした日常的な使用をメインに活動していたが、今回新たに衣替えをするとともに、吸排気系にチューニングを行い、ちょっとしたパフォーマンスアップを試みた。

 といっても、市販のパーツをポン付けしたわけではないのが楽しい。出来上がるまでに完成型のカタチが分からないワクワク感と実物に触れてみての驚きが待っているからである。
 
 今回手を加えたパーツは、ヘダース、ラムエア、両サイド出しのワンオフマフラーである。市販されているショートチューブのへダースを装着し、その分低速トルクが若干犠牲になることをワンオフマフラーで細工し補っているという。しかもそのマフラー、両サイド出しである。

 「市販パーツをポン付けして『こんなもんですよ』で終わらせてしまうことは簡単ですが、それをしちゃうとその後が続かないですからね。それにオーナーさんのリクエストを『着陸地点』だとすれば、そこに至るまでの方法論はさまざまあるわけで、ショップとしての見せ場でもあるんです。技術力や経験値に繋がる引き出し部分ですからね」と高橋氏。

 オーナーさんの希望は、意外と大人しいV10エンジンをもう少し活発にしたいということだった。だが、ショートチューブへダースをポン付けすれば、それこそ高回転での伸びは良くなるだろうが、アメ車本来の魅力である低速域の力強さが弱まってしまう。で、今回そこをマフラーでカバーしたのである。だが、単純にマフラーを加工しただけでなく、あえてワンオフということで、出口の出し方もオリジナルを貫いたわけである。

V10エンジンが搭載されているとは言え、当たり前だがバイパーのようなパワー感やフィーリングはない。ノーマルは、いわゆる貨物車を支える実用エンジンとなっている。

今回、へダースやマフラー、エアクリーナー等の補記類の変更によって、眠っていたエンジンに活力を注入。本来持っているポテンシャルの一部を発揮しつつある。「いや〜もう楽し過ぎてたまらない。あともうちょっと手を加えたら、ホントにバイパーですよ」。試乗帰宅後の筆者の第一声でした。

両サイド出しのマフラーのアレンジも素晴らしい。市販品では売っていないワンオフ品。へダースとのコンビネーションで、エンジンフィーリングと低速トルク維持をまかなっている。

ミニバイパーへと変貌を遂げる

 過去に3500には乗った経験があるのだが、その当時は正直、V10エンジンだと気付かないくらい大人しいという印象が強かった。ただ、「まあ貨物車みたいなもんだしな」と勝手に思い込んでたこともあったが、今回改めて試乗して、ビックリするほど勘違いしていたことに気がついた。

 というか、ある意味チューニングカーであるのだから当たり前かもしれないが、ドライバーズシートからの印象は、ミニバイパーと言っても過言ではない。

 筆者は恐らくバイパーに試乗した数では日本一ではないかと思うくらいの試乗経験を持っているが、その筆者をして「ギュインギュイン面白いね〜」とうならせるだけのフィーリングを持っている。

 しかも重たいボディを有する3500であるにもかかわらず、圧倒的なトルク感は維持したままに、1800回転を超えるあたりからの快音がまた素晴らしい。

 「ラム3500のV10エンジンはノーマルだとSRTのV10とは打って変わってやさしいマイルドなエンジンですが、補記類の環境を変えてやるだけでダブルタイヤが悲鳴を上げて走るようになって、バイパーのV10のような雰囲気を感じさせてくれますね」とも。

 たしかにV10が搭載されているとはいえ、バイパーに搭載されているV10とはヘッドやカムやインテーク、各種制御系が異なっているために同じようなパフォーマンスを求める方が無理に決まっている。

 だがじつは、そうした各部は違っていても、土台が同じということで、遠くにバイパーを感じることは十分に可能である。

 実際に、ラムトラックにV10を積んだSRT10が存在していたが、このチューンド3500は、そのSRT10トラックのクワッドキャブ(AT)と良い勝負が可能な弟分程度にはパフォーマンスアップしているはずである(そのくらいの変化は余裕で体感できる)。

もともとロングチューブへダースが希望だが、ラムトラック用ではショートチューブしか市販されていない。ちなみにバイパー用ならロングチューブは市販されているが、めちゃめちゃ高価。だが、マフラーを一緒に交換するということで、ショートチューブのネガをマフラーが補っている。さすが経験値の高いショップならではの見識である。

へダースと両サイド出しマフラーのコンビネーションがもたらす、絶妙なフィーリング。

もともと眠たいエンジンだったが、これを機に一気に変貌を遂げた。

再び楽しく乗るための10年間が始まる

 この3500、取材している間に感心することがいろいろあって、それがステアリングの剛性というか、中立付近の安定感というか、とにかくステアリングがビシッと常に安定していた。

 聞けば、全体的にフルノーマルで乗っていたが、消耗関係のメンテナンスや足回りのリンケージ関係のメンテナンスを行っていたということで、本来のラムトラック風情を失っていないというわけである(当たり前のことだが、この程度のメンテすら行われていないダラダラの車輌を過去に何台も見てきただけに、逆に驚いた)。

 だから、デューリーであるにもかかわらず、一般道に出て10分もしないうちに馴れてしまい、それはドライバーの予測通りにクルマが動いてくれる(ハンドル、ブレーキ等が)ことが確認できたからであり、だからこんなに大きな車輌にもかかわらずV10エンジンを唱わせながら走ることが可能だったのである。

 今回、こういった吸排気系のチューニングの他に、ボディのペイントを補修しつつ、センターストライプをペイントしている。シルバーを選んだのはオーナーさんであり、車体の大きさから通常よりも若干太めのラインを入れる等して、見栄えのリフレッシュも同時に図っている。

 これによりまた10年、再び楽しく乗ることができるはずである。

 筆者としては、今後カムを換える等してまた一歩バイパーに近づくことを期待したい。それにしても、エンジンのフィーリングと足回りがシッカリして安心して走れるアメ車はめちゃめちゃ楽しいものである。

正直、古めのフルサイズピックアップってダラダラな印象のクルマが多いような気がしていたが、さにあらず。しっかりと手の加わったクルマは、ビシッと安定した走りが可能になる。アメ車だからステアリングがふらふらしてもいいなんてことはないのである。この3500は、エンジンが面白くなり、だからこそ一段と楽しくなった。

ちょっとくたびれた外観にも手が加わり、シャキッと衣替え。まだまだアレンジ次第では、もっともっと楽しめるクルマに進化していくであろう。これこそ、アメ車の醍醐味である。

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