更新日:2021.05.10
文/林 剛直 (Takenao Hayashi) 写真/林 剛直 (Takenao Hayashi)
自動車雑誌業界に長年籍を置く身にも関わらず恥ずかしながら、EVに乗るのが初めてであった。というか、別に興味も無かったので乗りたいとすら思わなかったのが本音である。
私が暮らすココはカリフォルニア州ロサンゼルス。日本のみなさんには全く想像が付かないであろうが、ビックリするほどテスラが走っている環境だ。
日本で見かける軽自動車の頻度と言っても過言ではない。それくらい右も左もテスラに溢れている。
が、こちとら古いタイプのV8オヤジ・アメ車ラバー。電子制御はインジェクションですら手を出しかねるほどのアナログぶりで、ましてやEVなどは無縁の存在と割り切っていたのだ。
そんな意識が180度転換したのは、EVアメ車の未来にかつてのマッスル時代のアメ車を重ねたからだ。
今、テスラ・モデルSやXが1020馬力、GMCハマーは1000馬力である。世界に先駆けてアメ車のパワー戦争が凄いことになっている。
これを楽しまなくてアメ車ファンを公言する資格はなかろうと、一気にハイブリッド&EV指向に目覚めた今日この頃。さっそくマスタングEに乗ってみた。
さて、100%EVのしかも4ドアでSUVを『マスタング』と呼ぶべきかどうかは、アメリカのモータージャーナリストの間でも賛否両論あるようだ。
マスタングはポニーカーとして57年間に渡り2ドアのスポーティスタイルを貫き通してきたからだ。
一方で、マスタングはデビュー当初から幅広い層をターゲットにしたモデルでもある。直列6気筒を積み、誰もが手の出せる、また女性でも乗りやすいグレードと並列で428コブラジェットやボス302をラインナップする門戸の広さが魅力だ。
長い歴史の中でEVや4ドア、SUVを追加するのもまた、マスタングの揺るぎない根幹ゆえとも言えなくもない。
とにかく現行モデルの意匠をボディ随所に引き継ぎ、野生馬のエンブレムと3連テールランプを付けてこの加速を披露すれば、もうコイツはマスタングでいいと私は思った。
今回の試乗車したマッハEは『カリフォルニア・ルート1』で、最高出力は290馬力、最大トルクは317lb-ft(グレードによって出力と航続距離が違う)を発揮する。数値としては平均レベルだ。
ただし、パワーの出方が凄くいい。きっと乗り慣れている方に言わせれば「EVとはそういうもの」と嘲笑されるだろう。
しかしEV初心者の私には、この下からグワッと盛り上がるトルク感に、一気に惚れ込んでしまった。まさに大排気量V8のそれなのだ。
上までブン回してパワーを得るのではなく、下からモリモリして合流車線に入る感じ。アメ車好きなら絶対に好きなフィーリングである。体感的には400馬力オーバー。ルート1でこれなら、480馬力&600lb-ftの『GT』はどうなっちゃうんだ!? 更なる期待に胸が膨らむマッハEであった。
※現在の日本の法規では、日本法人としてディーラーを備えるテスラ以外のアメリカンEV車、USトヨタEV車は日本で登録して公道を走ることはできません。
183,250円
AUDIO&VISUAL
あとづけ屋
272,800円
AUDIO&VISUAL
あとづけ屋
3,553円
MAINTENANCE
6DEGREES
1,881円
MAINTENANCE
6DEGREES