TEST RIDE

[試乗記]

1968年から続く「カリフォルニアスペシャルパッケージ」

2019 フォードマスタング GT/CS コンバーチブル

マスタングをさらに一段上等にした雰囲気が人気の理由

マスタングGTカリフォルニアスペシャルパッケージ装着車のコンバーチブルを取材した。

更新日:2025.04.24

文/石山英次 写真/古閑章郎

取材協力/BUBU / ミツオカ TEL 0120-17-2290 [ホームページ] [詳細情報]
     BUBU横浜 TEL 045-923-0077 [ホームページ] [詳細情報]

往年の復刻モデル

 1968年当時、マスタングGTに設定されたアメリカ西海岸地区限定のスペシャルモデルをカリフォルニアスペシャルと呼んでいた。

 当時のマスタングハードトップをベースに小粋にまとめられたカリフォルニアスペシャルは、ファンの間で瞬く間に人気を博す。

 そしてある時期から「復刻」をテーマに掲げたフォードは、このカリフォルニアスペシャルに対しても復刻モデルを用意。それが2007年にリバイバルしたマスタングGTカリフォルニアスペシャル(以下、GT/CS)。

 主にエクステリアを中心としたカスタムであり、カリフォルニアスペシャル専用のフロントバンパー&スポイラー、リアバンパー&アンダーディフューザー、サイドスクープ、GT/CSサイドストライプ、フードスクープ、クローム仕上げのデュアルエグゾーストパイプが奢られた仕様だった。

▲2019年型マスタングGT/CSのBCDセカンドライン。走行約3.4万キロの個体。

▲GT/CSだけでもレアな存在だが、そのコンバーチブルとなると日本に何台存在するか、といったレベル。

▲ホロはボタンを押して10秒程度で開閉可能。日本の気候においても十分な耐候性を示す。

 一方インテリアには、ツートーンカラーのカリフォルニアスペシャル専用レザーシート、ロゴ入りフロアマット、コンフォートパッケージ(助手席パワーシート、シートヒーター、コンパス付光調整ルームミラー)が装備されていた。

 この車両が発売された当時、このGT/CSのコンバーチブルの新車を購入した方を取材した経緯があるのだが、非常にカッコ良かった。

 単なるディーラースペシャルと言ってしまえばそれまでなのだが、なぜだかそういった簡素な雰囲気は皆無。マスタングをさらに一段上等にした風情に満ち溢れていたからである。

 くわえて初代GT/CSデビューから約40年後に登場した復刻版というところにも価値があると思える。

 そんなGT/CSは1968年に始まり、2007から2009年、さらに2011年から2014年(結構レアモデル)、そして2016から2017年に続き2019年から再びリバイバル販売されていた。

▲もともとは1968年に登場したアメリカ西海岸地区限定のスペシャルモデルであった。その当時のカタログ。

▲2007年当時、当時のマスタングGTをベースにしたGT/CSを復刻。

▲当時もコンバーチブルをベースにしたモデルも登場していた。

 この2019年は、2018年のマイナーチェンジ後のスタイルをベースにしているからそれまでのGT/CSとは一線を画す。そんなGT/CSの2019年型モデルのコンバーチブルを取材。BCDセカンドラインの中古車で走行約3.4万キロの個体である。

 BCDのセカンドラインは認定中古車のことである。厳選された車両のみを取り扱うBCD車両、そして販売後はBCDの管理による定期チェックを受け、さらに事故等のないクリーンな状態の下取り個体をベースに仕上げられたセカンドライン(認定中古車)という関係性である。

 もちろん、認定中古車であるから各種パーツの状態は新品同様とはいかないが(それなりの消耗があるのが中古車である)、それでも中古車として一番大切な「走る曲がる止まる」の基本性能はBCDにより確実に担保されているから、履歴のわからない中古車よりも圧倒的に安心感が高いというのが最大のオススメ理由である。

 くわえて今回の個体の走行距離は約3.4万キロであり、正直、これからが一番美味しい状態と言えるから十分に楽しむことが可能だろう。

 「GT/CSは滅多に出る個体ではありませんし、もしかしたら最後の個体かもしれません」とBCDスタッフ。

▲ブラックにペイントされたグリルにポニーバッジ。

▲GT/CSのボディサイドライン。

▲お決まりのサイドスクープも健在。

▲ブラックペイントされた5本スポークホイール。状態も非常に良い。

 さて、GT/CSの特徴であるが、ブラックにペイントされたグリル、ボディサイドライン、サイドスクープ、リアスポイラー、ブラックペイントされた5本スポークホイール、アクティブバルブエキゾースト等を装備する。

 「GT/CS」と称されるそれは、パフォーマンスカーでありながらもどこか気品を感じさせるため、多くのファンを持つ。が、当然、この個体にもその雰囲気が充満している。

 直近の横浜店には、様々なマスタングが展示されており、シェルビーGT350、マッハワン、ホワイトのGT、濃紺の直4ターボコンバーチブル、鮮やかなブルーの直4MT車といった様々なモデルを見ることが可能だが、このマスタングGT/CSには上品さが宿っており、「フロンマスク周りが一段とシャープに見え、非常によく似合っている」と実感。

 くわえてこのGT/CSはコンバーチブルである。そもそもV8マスタング自体が非常に少なく、コンバーチブルになるともっと少ない。そのGT/CSなのだから、言わずもがな。

 ボディも、パッと見はマスタングそのものだが、ちょっと離れて見れば、上記のパーツが醸し出す違いが、「あれ、普通のマスタングとはちょっと違うかも」と、じんわりとだが、人に違いを気づかせる。そこがまたいい。

▲5リッターV8エンジンを搭載し、460hp、最大トルク420lb-ftを発生させる。

▲タワーバーでボディ剛性も確保する。

▲インテリアの造形自体はノーマルマスタングと同じだが、赤いステッチが施されているから雰囲気が全く異なる。

▲5リッターV8と10速ATの組み合わせ。

 GT/CSは、GTがベースだから5リッターV8エンジンを搭載し、460hp、最大トルク420lb-ftを発生させる。それに10速ATが組み合わされているから、パワー感がありながらも現代的な多段化ATによるきめ細やかな走行フィールが得られる。

 日本におけるコンバーチブルといえば、マスタングやカマロの直4エンジンを搭載した2リッター、もしくは2.3リッターモデルがメインとなっている。

 が、やはりアメ車の醍醐味といえば大排気量エンジンであり、またコンバーチブルでもあるから、その両者を持ち合わせた車両こそがアメ車ファンの求める理想のオープンカーとなるのかもしれない。

 それでいて、(繰り返すが)、日本において高年式のV8コンバーチブルがあまり存在しないということ、くわえてGT/CSということで、満足度が圧倒的に高いと思う。

 今、まさにオープンカー季節真っ盛りで、屋根なし車両の本領発揮となるだろうから、絶品のV8サウンドを轟かせ刺激的なアメ車ライフが送れるはずである。

▲助手席コンソール前に貼られるGT/CSバッジ。

▲リアにもGT/CSのバッジ。さらにリアスポイラー、アクティブバルブエキゾーストが装備される。

▲シートはレザーとスエードのツートーン。赤いステッチも効いている。

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