シボレーC/Kピックアップといえば、アメリカを代表するピックアップトラック。長きにわたってシボレーを支えてきた「ブランドの屋台骨」といってもいい存在。C/Kシリーズはその源流を1918年までさかのぼることができるが、その長い歴史の中でも1500シリーズは名車の誉れ高いクルマである。
で、今回紹介する1500は、1988年から始まった世代のモデル。アラフィフ世代には馴染みの深いモデルではなかろうか。余談だが、筆者も過去白いボディのエクステンドキャブに二年ほど乗っていたから、この取材車世代のモデルには詳しいし懐かしい。
ちなみに、1988年から始まった1500シリーズは2000年まで続く。2001年からは1500改めシルバラードと明記されるから、1500といえば1988年から2000年までのモデルを表す名称となる。
さて、取材車は94年モデル。95年からインパネ等が若干変化するから、94年ということで古いタイプのインパネが特徴になる。
さらに搭載エンジンがV6。1500といえば「V8」という認識がほとんどだと思われるが、実際には「V6」も存在していたし、このV6、当時のアストロ等と同機だけに日本ではメジャーなエンジンということもあって、その当時から結構日本にわたっていたという。
だが、その当時はあまり見向きもされなかったという(笑)。当然だろう。当時はV8ですら山ほど個体があったのだから。
だが、時が経ち、1500自体の数が減少するとともに価値が上がり、同時にV6エンジン車への偏見もまったくなくなっていったのである。
くわえてレーストラックは、前回紹介したV6チャレンジャーもそうだが、とにかくV6エンジンに強い。アストロ、ダコタ、タイフーン等は当時から個性極まりないモデルを多数排出していたし、現行モデルに近い年式では300、マグナム、チャージャーといったV6個体も数多くの顧客を連ねている。
で、この車両のオーナーさんは、この1500を約10年前にレーストラックから入手。その時点ですでにブルーにリペイントされていたというから外観は今とさほど変わらない状態だったが、その後、レーストラックによってメンテナンスとカスタマイズを受け、今に至る。
この10年間でのトラブルもほとんどなく、V6だからこそのカスタマイズの変化を楽しみ、この取材後にはエンジン内部にも手を入れさらなるチューンナップを図るというから、オーナーさんのこの1500への愛情もますます深まるばかりである。
さて、この1500の仕様であるが、まず足回りが4.6ダウン(フロント4インチ、リア6インチ)で、へダースが装着され、ワンオフのサイドマフラーと組み合わされてる。
それ以外にも点火系のリファインが加えられていたり車内に追加タコメーターが装着されていたりとするが、パッと見の印象は当時から伝わる1500のスタイルである。
だが、エンジンをかけた瞬間に戸惑いが起こる。聞かなければ「当然V8」と思うに違いない大きめの重低音が響き渡るから。
走らせても遮音性の低い室内には高密度のV6改のサウンドが響き渡り、当時の200hp程度のエンジンスペックだが、街中を走る程度からめちゃくちゃレーシーな雰囲気に浸れるから楽しい。
と同時にシングルキャブのかわいらしいスタイルと特殊性をもってオンリーワンなスタイルへと押し上げているわけだから、現状の性能等に満足しているならあえて現行品に乗り換える必要性はまったく感じないのである(当時、あれだけデカいと思えていたボディがかなり小さく感じるのだから時代を感じるし、同時にこの1500の希少性をも感じる)。
「今、この当時の1500に乗ろうと思っても個体がありません。もちろん、アメリカから探せば見つかる可能性はありますが、ボロでも結構な金額がかかりますので相当悩まれると思います。
ですので、そういった意味でも1500は価値が高いですし、まだ十分に走れる個体であればそのまま乗り続けていたほうが得だと思いますし、レストア的な整備を加えていけばそこからさらに10年20年乗れますから、恐ろしい存在ですよ」と高橋氏。
レーストラックにおいてはこれまでに数々の車両を取材してきたが、1500は特に数が多い。さらに今もそうだが、同社にはV6エンジンの1500の代車があるから、運がよければその1500に乗るチャンスももらえるわけである。
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