TEST RIDE

[試乗記]

V6エンジン+レギュラーキャブという超レアな仕様

1994 シボレー C1500

へダース&ワンオフマフラー交換でスペシャルサウンドを奏でる

すでに10年近い年月を共にしたというオーナー車を取材。今やもっともレアなレギュラーキャブ仕様である。

更新日:2020.03.02

文/石山英次 写真/古閑章郎

取材協力/ジャパンレーストラックトレンズ TEL 0356613836 [ホームページ] [詳細情報]

当時はアメリカを代表するピックアップ

 シボレーC/Kピックアップといえば、アメリカを代表するピックアップトラック。長きにわたってシボレーを支えてきた「ブランドの屋台骨」といってもいい存在。C/Kシリーズはその源流を1918年までさかのぼることができるが、その長い歴史の中でも1500シリーズは名車の誉れ高いクルマである。

 で、今回紹介する1500は、1988年から始まった世代のモデル。アラフィフ世代には馴染みの深いモデルではなかろうか。余談だが、筆者も過去白いボディのエクステンドキャブに二年ほど乗っていたから、この取材車世代のモデルには詳しいし懐かしい。

 ちなみに、1988年から始まった1500シリーズは2000年まで続く。2001年からは1500改めシルバラードと明記されるから、1500といえば1988年から2000年までのモデルを表す名称となる。

 さて、取材車は94年モデル。95年からインパネ等が若干変化するから、94年ということで古いタイプのインパネが特徴になる。

94年型のV6エンジン搭載車。シングルキャブだから超レア仕様。26年前の車両だが、至って普通に走る。

いわゆる4,6ダウンと言われる足回りのローダウンにアメリカレーシングの15インチホイール。

余談だが、今から15年くらい前に2年間乗っていた愛車(笑)。燃料系トラブルが1回あっただけで、それ以外はまったくのノートラブル。最後はマジョーラカラーにペイントし次なるオーナーのもとへ巣立った。

チューンドV6だけに、街中走行でもレーシーな鼓動を奏でる。視界がよく取り回しもよく走って楽しいピックアップ。

V6エンジン搭載は当時のアストロと同機

 さらに搭載エンジンがV6。1500といえば「V8」という認識がほとんどだと思われるが、実際には「V6」も存在していたし、このV6、当時のアストロ等と同機だけに日本ではメジャーなエンジンということもあって、その当時から結構日本にわたっていたという。

 だが、その当時はあまり見向きもされなかったという(笑)。当然だろう。当時はV8ですら山ほど個体があったのだから。

 だが、時が経ち、1500自体の数が減少するとともに価値が上がり、同時にV6エンジン車への偏見もまったくなくなっていったのである。

 くわえてレーストラックは、前回紹介したV6チャレンジャーもそうだが、とにかくV6エンジンに強い。アストロ、ダコタ、タイフーン等は当時から個性極まりないモデルを多数排出していたし、現行モデルに近い年式では300、マグナム、チャージャーといったV6個体も数多くの顧客を連ねている。

搭載されるエンジンは4.3リッターV6。200hp程度のパワーだが意外にも満足できる低速トルクとフィーリングが身上。古典的なエンジンだが耐久性も抜群。

へダースの装着によりサウンド効果が高まり、低中速の動きがより活発に変化している。同時にワンオフマフラーとのコンビネーションによってエキゾーストも激変している。

後付けのタコメーターを装着したインパネ。ノーマルメーターにはタコメーターがないため、エンジン保護の意味も込めて取り付けている。

旧いが気軽に乗れる最後の世代といわれる90年代のアメ車たち。興味があるなら早いうちに一度乗っておくことをオススメするし、レストア風の整備を行えば、その後にさらに10年以上乗ることも可能だという。

チューンドV6ならではのレーシーなサウンド

 で、この車両のオーナーさんは、この1500を約10年前にレーストラックから入手。その時点ですでにブルーにリペイントされていたというから外観は今とさほど変わらない状態だったが、その後、レーストラックによってメンテナンスとカスタマイズを受け、今に至る。

 この10年間でのトラブルもほとんどなく、V6だからこそのカスタマイズの変化を楽しみ、この取材後にはエンジン内部にも手を入れさらなるチューンナップを図るというから、オーナーさんのこの1500への愛情もますます深まるばかりである。

 さて、この1500の仕様であるが、まず足回りが4.6ダウン(フロント4インチ、リア6インチ)で、へダースが装着され、ワンオフのサイドマフラーと組み合わされてる。

 それ以外にも点火系のリファインが加えられていたり車内に追加タコメーターが装着されていたりとするが、パッと見の印象は当時から伝わる1500のスタイルである。

今や懐かしいコラムシフトの4速AT。ピックアップならではのコラム&ベンチシートにかつては多くの人々が憧れた。

かつてトラックレースで一世を風靡したホイール。かつての定番仕様といっても過言ではない。

3人乗りのベンチシート。シングルキャブだけにまるでツーシータースポーツカーのような雰囲気もある。

この年代の車両は現代のクルマと比較して確実にその性能で劣っている。だが、その劣っている部分、たとえば異音騒音バイブレーション等が人によっては「刺激」にもなりうるから気になる方は是非試してもらいたい。

乗り換える必要性を感じないオンリーワンな仕様

 だが、エンジンをかけた瞬間に戸惑いが起こる。聞かなければ「当然V8」と思うに違いない大きめの重低音が響き渡るから。

 走らせても遮音性の低い室内には高密度のV6改のサウンドが響き渡り、当時の200hp程度のエンジンスペックだが、街中を走る程度からめちゃくちゃレーシーな雰囲気に浸れるから楽しい。

 と同時にシングルキャブのかわいらしいスタイルと特殊性をもってオンリーワンなスタイルへと押し上げているわけだから、現状の性能等に満足しているならあえて現行品に乗り換える必要性はまったく感じないのである(当時、あれだけデカいと思えていたボディがかなり小さく感じるのだから時代を感じるし、同時にこの1500の希少性をも感じる)。

 「今、この当時の1500に乗ろうと思っても個体がありません。もちろん、アメリカから探せば見つかる可能性はありますが、ボロでも結構な金額がかかりますので相当悩まれると思います。

 ですので、そういった意味でも1500は価値が高いですし、まだ十分に走れる個体であればそのまま乗り続けていたほうが得だと思いますし、レストア的な整備を加えていけばそこからさらに10年20年乗れますから、恐ろしい存在ですよ」と高橋氏。

 レーストラックにおいてはこれまでに数々の車両を取材してきたが、1500は特に数が多い。さらに今もそうだが、同社にはV6エンジンの1500の代車があるから、運がよければその1500に乗るチャンスももらえるわけである。

お馴染みのC1500。普段はレーストラックの代車として活躍しているクルマ。運がよければ、この1500が代車になる可能性がある。

上記の1500について高橋氏曰く「このC1500は、アストロと同様の4.3リッターV6エンジンです。だから耐久性があるんですが、V6でも多少手を入れると雰囲気変わるしサーキットも走れる。そういったことを知ってもらいたいがためのデモカーでもあるのです。もちろんV8は楽しいですが、V8だけがアメ車じゃないですからね」

こんなC1500も製作。7.4リッターV8の454SS。

V8搭載のレーストラック流ピックアップマシン。

全米で流行りのプレラン仕様を1500で製作。

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