90年代のアメ車は、そのまま乗っても味わい深く、手を加える素材としても非常に楽しい。だが、90年代のアメ車はいまだに普通に乗れるのか? 「確かに新車のようにはいかないでしょう。中古車を買えば初期化する部分も必要でしょうし、その作業に金銭的な負担がかかることは事実です」と高橋氏。
でも、そういった部分を乗り越えれば、いつしかオンリーワンな愛車が誕生し、現代の最新アメ車では味わえない濃密なアメ車ライフが送れるかもしれないのである。
というわけで、そんな90年代のタホに乗っている新倉さんに話を聞いた。
「すでに三年ちょいですかね、入手して。まだまだ仕上がっていませんし、今後に期待の車両と書いてください(笑)」と謙遜して語るのは、97年型シボレータホLTに乗る新倉康一氏。
にこやかに、そして言葉滑らかにタホとの思い出を語ってくれる新倉氏だが、ここに至るまでには結構色々なことがあったという。
「自ら探した、自らのラッキーカラーであるグリーンのタホでしたが、最初からつまずきました(笑)。乗ってみると何ともレスポンスが悪い。時速100キロに到達するまでに相当な時間がかかる。
当時購入したショップに聞けば『古い年式の車両なのとゆったりと運転するクルマなので、そんな感じだと思います』といわれ。でも納得できず、すでに知り合いだったレーストラックで点検してもらい、スロットルバルブを交換。すると激変。本当に恐ろしいくらいの変化でした」
その後も不調は続く。エアコン系の修理を行い、今年3月には二回目の車検を迎えたのだが、全輪のショック交換に始まり左前輪のハブ交換、ステアリングタイロッド、スタビライザー、パワステの高圧ホースオイル漏れ等、かなりの整備費用がかかったという。しかも、本来ならそれらの費用で「へダースとマフラー交換を行いたい」と思っていたにもかかわらず、だ。
「確かに予定通りには行きませんね。ですが、そのつど高橋氏に『不調の原因と解消法』を丁寧に説明してもらい、実際に作業してもらうと激変して帰ってくる。簡潔に言えば『年々快調になってきている』感じです。
ですから、カスタムプランは色々あるのですが、その前に『まずはクルマの調子を上げなくてはいけないよ』という高橋氏のお言葉が、今になって理解できた気がします」
取材当日、新倉氏の横に乗せてもらったのだが、話を聞いていなければ「非常に良いコンディションですね」と言えてしまうほどの絶好調なタホだった。特に、この年代のアメ車に多い「ミシミシガタガタ」といった異音低級音がまったくなく、至極スムーズ。エンジンも想像以上にパワフルだし、何といっても大人三人以上が同乗しても狭さを感じさせないアメ車の魅力がたっぷり味わえる。
「ここまで来るともう手放せないですね。次こそはへダースやマフラーを交換したいですが、そのうちボディの塗装も何とかしたいですし、この先まだまだやることがありますね」
以前から述べているように、90年代のアメ車といえども「何事もなく淡々とは過ごせない」。だが、ひと山越えるごとに激変するのが90年代の良いところであり、その山を越えるたびに愛着が増し、オンリーワンな愛車へと変貌を遂げていくのである。
最後に。高橋氏に聞いた。実際のところ、90年代のアメ車って維持できるのでしょうか?
正直、「100%安心できます」とは言えない状態でしょう。年式的にはすでに20年以上前の個体もありますし。だからパーツも純正品にこだわると厳しいかもしれません。それに、いろいろなパーツの互換性の情報等を知らないと修理も厳しいかもしれません。
なので車両を販売はできるショップは数多くあっても、売った後もずっと乗り続けられるようにお世話できるショップは数少ないと思います。
なるほど。さすがプロの直し屋さんのお言葉。「純正パーツがなければ互換性あるパーツを探せばいい。それでもなければ作ればいい。そしてメーターが動かなければメーター自体を分解して中身を直せばいい(アッシーでは入手困難品多し)」。そういう技術力があるからこそ、いまだ自信をもって90年代をオススメする。
それは、いまなお増え続けている「by レーストラック」のアメ車ユーザーたちを見れば、ハッキリとお分かることである。
183,250円
AUDIO&VISUAL
あとづけ屋
272,800円
AUDIO&VISUAL
あとづけ屋
3,553円
MAINTENANCE
6DEGREES
1,881円
MAINTENANCE
6DEGREES