TEST RIDE

[試乗記]

自ら求める部分にはお金を注ぎ、それ以外の部分は気にもせず使い込む

1996 シボレータホ 2ドア

素晴らしく魅力的な固有の存在。まるでビンテージジーンズが醸し出す存在感のよう

このタホは2013年に一度取材している。それから10年。まだまだ乗り続けられ、今や世界に一台のオリジナリティ溢れる1台に仕上がっていた。

更新日:2024.01.18

文/石山英次 写真/古閑章郎

取材協力/ジャパンレーストラックトレンズ TEL 0356613836 [ホームページ] [詳細情報]

通算26年の素晴らしく魅力的な存在へ

 このタホは2013年の11月に一度取材している。その時点で17年落ちのメキタホで、エンジンやら足回りやら様々なチューンを受けた状態で試乗させてもらっている。

 そしてそれから約10年後。久しぶりに見るタホは、さらなるチューニングにより輝きをました部分と通算27年のヤレた部分とが共存していて、素晴らしく魅力的な固有の存在へと進化していたのである。

 まず、ざっとチューニング内容と装備品を紹介しよう。足回りから。当時定番のフロント4、リア6インチダウンされた状態にステアリングダンパーが装備され、強化スタビライザーとLSDによって引き締まった足捌きを実現している。

 とはいえ同時に装備されたタイヤはフロント245/60-15、リア275/60-15という今となっては肉厚のタイヤであるから、強化しつつも路面からの当たりは柔らかく、SSBCの2ポッドブレーキキャリパーを伴ってまるでスポーティカーのようなハンドリングとブレーキングが体感できる。

 「これ27年前のクルマですか?」と正直、そんな印象を抱かせるほどシッカリした走りにただただ驚くばかりだが、このクルマの秘密はそれだけじゃない。

 モディファイを受け劇的変化をもたらしたエンジンが搭載されている。

▲1996年型シボレータホ2ドア。各部に手が入りオリジナルな雰囲気は微塵もないが、全てが整っており、戦闘力の高い雰囲気がもたらされている。

▲一転リアから入るとローダウンされた普通の2ドアタホに見えるというギャップも楽しい。

▲フロント4、リア6インチローダウンした2ドアタホ。10年前くらいまではよく見たカタチであるが、ここ最近では見かけること自体が珍しい状況になっている。

高回転まで回り切るエンジンするために

 まず最初に手を入れたのがマフラーだった。その後足回り等に手を加え、徐々に徐々に進化してへダースを入れるところまでやってきた。

 当時のGMの350V8エンジンは非常に耐久性があり、しかもチューニングに対する柔軟性も高く、そもそも本国にてアフターパーツがごまんとあったから、手を加えようと思えばいくらだって可能だった(現代のコンピューター制御された緻密なエンジンより断然触りやすい)。

 だから吸排気系をやって、点火系(MSD等)をやって、へダースときてのエンジンということで、カムの交換とタイミングチェーンとプッシュロッド(クロモリ使用)を交換し仕上げている。

 このタホに装着されているTBIの350エンジン(ボルテックではない)は、超低速からのトルク感が特徴のメジャーエンジンであるが、タコメーターのレッドゾーンである4500rpmまで回すと高回転がかなりキツい印象であった。実際には回るが、ただ回っているだけで、パワー感はせいぜい3000rpm頭打ちがいいところ。

 オーナーさんは当時「高速等での合流時とかに必要な高回転時の伸びが欲しい」という希望をお持ちだったことで、それまで手を加えてきた低速トルク感アップの方向性を殺さずに、上まで回り切るエンジンにするためのカムやその他のパーツを装着したのである。

▲めちゃくちゃ綺麗なエンジンルーム。GMパフォーマンスのクロームヘッドカバーを装着している。とにかく手をかける部分にはとことんかけているのはさすが。

▲まずはワンオフマフラーとヘダースを装着して低中速にこだわったチューニングを施していた。その後、高回転域へも回るエンジンチューンを行っている。

▲15インチタイヤ&ホイールにSSBCの2ポッドブレーキキャリパーを装備して制動力を高めている。

チューニングによる劇的変化

 そして出来上がったV8マシンの印象は、まるで別物。当時のホンダ車になぞらえ「まるでVTECエンジンのようだ」と感想を述べたが、本当に気持ち良く走る。明らかに高回転へ回ろうとする意思と実際の力が感じられ、チューニングによる変化の凄さを体感したのである。

 一つ言い忘れたが、実際の走行時にだんだんと支障を感じ始めたということで、コラムシフトをB&Mのシフターを使いフロアシフトに換装している。これにより2速3速が使いやすくなったということで頻繁にエンジンの高回転部分を使うことが可能になっている。

 さらにそうした走行性能アップに伴い、車内メーター付近にはサブメーターを配置し、各部の温度管理をしっかり行っている。プラスしてミッションの油温が高くなるための対策としてミッションのオイルクーラーを装着している。

▲ミッションのオイルクーラーを後付けしている。

▲インテリアも非常にクリーンな印象だった。さらに機能パーツが追加され、オリジナリティを発している。

▲B&Mのシフターを使用したフロアシフトへの換装は、ATをまるまる交換するわけではなく、もともとあるAT機能をベースに「操作系の配置転換を行った」感じであるから、機能的な不備が起こることもないし、コラムシフトでは味わえない操縦感覚が得られるのである。

▲センターコンソールには3連メーターを装備。右からミッション温度計、排気温度センサー、エアバキュームの濃度センサーとなる。

使い込んだいい味わい

 こうしたチューニングにより、ある意味走りに関する部分は一通り納得の行くところに仕上がった。ということで、次はボディ。まずはボンネットフードに戦闘的なダクトをつけた。そしてここ最近フロントバンパーのメッキを再構築し、ベースのポジーバンパーの下処理をしっかり行い、その上に日本でクロームメッキを塗りなおしている。

 深い輝きを発するクロームメッキは、未処理のフロントグリル周りのメッキと比べても一目瞭然だ。しかも、このバンパー部分の処理だけでも何か車体全体への好印象をもたらし、他のヤレた部分とのメリハリによる効果が感じられるようになった。

 「一つ間違えば単なるボロい中古車ですからね。ですが、フロントバンパーの処理を加えただけですが、それによって『あえて使い込んでヤレた部分を直さず乗っている』というオーナーさんの意識みたいなものが感じられると思います」とレーストラック高橋氏。

 この年代のタホは、着座位置が意外に高く見晴らしが良いので運転がしやすく、くわえてボディの大きさが今の時代のアメ車と比較すると小さく感じることもあり、街中を楽しく走るにはもってこいの1台。しかも2ドア。世に数あるSUVの中でもダントツにカッコよくスタイリッシュで、しかももはや入手困難な存在。

 それだけに、10年以上にわたり使い込み自分流にアレンジして乗っている姿は、一言カッコイイ。

 最新の、それこそ1000万円以上のスポーティカーも確かにカッコイイし憧れるが、このタホはそれとは別次元の使い込んだいい味が魅力。ジーンズでいうところのビンテージ品が醸し出す存在感とも言えるだろうか。

 ボディのヤレはあえて直さず、だが一転自分の求める部分には多額の費用を注ぎ込み極める。そして年代物のアメ車だからこそ出る味わい。「一台のアメ車に長く乗り付き合うことにも良いことがある」という見本のようなタホであった。

▲ボンネットフードを上から見るとよくわかるが、エアダクトを装着する段階で、すでにフードのペイントはヤレていたが、直さず、そのままダクトを装備している。

▲今回新たにフロントバンパー部分のクロームメッキをリペイントしている。ポジーバンパーの下地処理も行なっているから、深みのある輝きが戻っている。

▲まだ未処理のフロントグリル部分の白っちゃけたメッキ部分と比較すれば違いは一目瞭然だろう。

▲機能的には十分な状態であり、チューニングにより固有の速さや楽しさがもたらされているが、一転ボディには使い込まれたようなヤレ感が残っており、それがまたいい味を醸し出している。

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