TEST RIDE

[試乗記]

アメリカ的オリジナリティの集大成

シボレー コルベット C3 (CHEVROLET CORVETTE)

パワフルでマッチョな絶頂期こそC3

歴代コルベットの中でもっともアメリカンなコルベット。個人的にも一番好きな年代だが、これまでまったく縁のなかったC3コルベットについに試乗することが叶ったのである。

更新日:2015.02.23

文/石山英次 写真/古閑章郎

取材協力/エイブル TEL 044-857-1836 [ホームページ] [詳細情報]

これまでとんと縁のなかったC3

 コルベットの中で一番好きな型はC3である。「アメリカ イズ No.1」の象徴。パワー感を見事デザインとして表現したマッチョなスタイルこそアメリカ的オリジナリティだと思うからである。

 だが残念なことにこれまで、常にアメ車に触れる仕事をしているにもかかわらず、C3とはまったく縁がなかったのである。

 その昔取材した一台は、エンジンもかからないボロボロのパーツ取り車のような風情だったし(店が最低だった)、その次に出会ったブツは走るには走ったが、あまりにハードチューンだったためか、扱いづらさナンバーワンみたいな車両で何度もストールして取材どころではなかったし、最後に出会ったC3は、まるで何のクルマかわらかないほど激しいエアロを装備して、コルベットとは呼べないようなクルマに様変わりしていたし etc。

 それ以来、C3に対する幻滅感がひどく、取材車両としてピックアップすることはまったくなくなった(意図的に外したのであった)。

 ところが、昨年取材した69カマロを所有するエイブルの原氏が72年型アイアンC3を手に入れたということで興味を持ち、「取材させてください」と話が進み(現在整備に取り掛かっている)段取り途中なのだが、その最中に、別途手に入れられた81年型C3の納車が近いということで、手始めにそちらに乗せてもらったという経緯である。

 エイブルは何度も取材しているので知っているのだが、ショップのコンセプトに賛同する部分が多い。いわゆるちょっと古めのアメ車をピカピカにレストアして高価にて売るショップではなく、そのクルマの現状を生かしつつ手に入れやすい適価にて販売するショップであり(もちろんモノや状況によって異なる部分はるが)、そのクルマのコンディションを明確に伝える(ダメなとこイイとこ両方)とともに、なるべく元のカタチ(純正に近いカタチ)で販売することを好むショップである。

 だからこそ、何か予期せぬトラブルがあった場合でも、純正に近いからこそ元に戻しやすく、順を追って探れば原因追求がしやすく、純正に近いからこそ逆に余計な手が入っていないぶん余計なトラブルが起こる可能性が少ないというわけである。

 そういうこともあって、エイブルの車両は年代モノであっても走りに関してはシャキッとしているものが非常に多く(恐らくそういうモノを見極めて仕入れているのだろう)、だからこそ乗りやすく取材しやすいショップなのである。

C3の中でもっともグラマラスと言われるアイアンバンパー時代からすれば、妥協の産物とも言われかねない後期型モデルだが、それでも今の時代にこれだけマッチョな雰囲気を現すマシンは存在しない。個人的には美しいとすら感じた。

ボディ前後左右にエックラー製のエアロを装着しているが、オリジナルの品格を崩すこなく保っている点は評価できる。納車時には、フロントのみエアロを取外することが決まっている。

非常に縦長に見えるC3だが、全長は4707ミリしかなく、全幅に至っては1753ミリしかない。ホイールベースは2489ミリあるが、車高はノーマルを維持していたため、街中走行で段差に気を使うこともなく、いたって普通に走ることが可能である。

力で栄華を極めた絶頂期から一気に後退

 コルベットは時代を追うごとに様々なデザインテイストを経て現代に至っている。C1、C2、C4、C5、C6、C7は、デザインはそれぞれ異なるが、ある意味では欧州車的なスポーツカーデザインを目指したものだ(前後オーバーハングをどんどん切り詰めて性能重視のスポーツカーに成長している)。

 だがC3だけは、まったく異なるフォルムである(と思っている)。ある熱狂的なファンは「ザ・アメリカ」を象徴しているデザインという。大きく膨らんだフェンダーにロングノーズ&ショートデッキのフォルムなのだが、あまりにも長いフロントオーバーハングを見た当時のヨーロピアンは、「あれじゃスポーツカーとは呼べない」とほくそ笑んでいたというのだが…。

 一方本国では、コークボトルラインと称されるメリハリのあるデザインは、歴代モデルの中でも最もグラマラスなスタイルを持っていると言われおり、当初はコルベット・スティングレイの愛称で親しまれていたのである。

 C3コルベットは、68年にデビューし82年まで生産された歴代コルベットの中でももっとも長い15年という生産期間となり、5年という短命に終わったC2時代と比べれば「パワー」で頂点を極めた時代とも言えるだろう。500hpを上回るエンジンパワーのポテンシャルを最大限引き出すマッチョなデザイン。空力にも優れたC3は、コルベットの歴史においても「絶頂期」だったのである。

 しかし、70年代を境いに大気浄化法改正(マスキー法)によって排ガス規制が一気に強化され、対処法的なエンジンのディチューンがはじまり、中にはトップエンジンの廃止も行われ、一気に牙が抜かれ始めていった。一方デザインにおいても変化が生じ始める。衝突基準の改正によってクロームバンパーの廃止やオープンボディたるコンバーチブルも消滅するのである。

 C3の時代は、力で栄華を極めたアメリカンパワーに満ちたエンジンとデザインで幕開けし、オイルショックの最中で苦悩しつつ、新たな魅力を模索し続けた15年間と言っていいだろう。

インテリアは、スポーツカーとしてデザイン、居住性、操作性に優れた作りが特徴である。個体としてはステアリングのレザーがヤレていたり、シフトブーツがヤレていたりはあったが、どれも想定の範囲内であり、34年前の個体としては直前まで別の方のオーナーカーだったということもあり、逆に思っていた以上にキレイな状態に驚いたほどだった。

81年から電子制御化された3速ATが搭載されているが、その状態がよく、試乗していて不満を感じる部分がまったくなかったのが感動的だった。巨大な低速トルクと3速ATとのマッチングは、日本の道路事情を加味すると逆にマッチしているように感じるほど、乗りやすかった。

シートは、すでに張替えられていたのか、コンディションは最高だった。しかも電動サポートも生きており、シート位置を電動で微調整することも可能だった。

消耗品交換でリフレッシュ

 取材した車両は、81年型C3。350エンジンを搭載し、3速ATで駆動するオリジナルに近いモデルである。すでにオーナーが決まっており納車前に許可をもらって試乗した次第である。今回試乗前に行われた納車整備+消耗品交換は以下のとおり。

<主な交換パーツ>
オルタネーター交換
ウオーターポンプ交換
エンドリンクブッシュ交換
リーフのブッシュ交換
エアクリーナー交換
プラグ交換
プラグコード交換
ブレーキホース交換
タイヤ新品
三元触媒に交換
ブレーキキャリパーはオーバーホール
その他油脂類交換 etc

 この取材後、装着されているエックラーエアロのフロント部分のみを取外して納車されるという。

足回りのブッシュ類を交換していることとに加え、装着しているコニクラシックのショックによる乗り味は、そこらの旧車にありがちなフワフワユラユラとは一線を画す。

納車整備と消耗品交換の交換をきちんと行うだけでも十分に走る資質を備えた個体だった。

排気漏れを起こしていた触媒を、新しい三元触媒に交換している。

81年型はそれまでの年式とは異なり、350エンジン一本となった年。パワー自体はたいしたことないが、濃密なアナログフィールは最高だった。

足がシッカリキマっているからこそ小さく感じる

 もう10年ぶりくらいになるだろうか、というくらい久しぶりのC3である。もちろん「C3だったらアイアンだろ」というようなマニアな方もいらっしゃるのは重々承知の上だが、個人的には81年型でも今となっては十分カッコイイと思う。

 しかも、シートに座った時の着座位置とステアリングやセンターコンソールの位置具合が絶妙な関係になっており、ドライバーズシートから見えるフェンダーの峰は歴代コルベット随一の豊満な膨らみ具合を示している。かつ、ボディの大きさが意外にも小さいことが今となって発見でき、その割にはサイドミラーが小さすぎて自車のリアフェンダーしか見えず(さすがコルベット笑)まったく役に立たないことも同時にわかり、アテにできるのはバックミラーだけという状態でいざスタートとなった。

 驚いたことに、エンジンは一発始動。しかもまったくぐずることなく、自宅にある国産車よりもよっぽど素早い始動が気に入った。ちなみにその後撮影のために何度か始動と停止を繰り返したが、不安定な気配はまったくなく、その後は81年車ということを忘れてしまうほど気楽な撮影となった。

 走り出してもその印象はまったく変わらなかった。旧車にありがちなステアリングの空白部分、いわゆるデッドな部分(何も反応しないゆらゆらな部分といえば分かりやすいか)が通常中心から左右に30度くらいずつの角度であるのだが、このC3はそれが左右15度くらいの角度内で収まっており、だからこそ走っていて怖さがまったくない。特にアメ車の旧車の場合、このステアリングの反応がスカスカに感じるデッドな部分が大きく、「それが嫌」という方が非常に多いのだ(慣れの部分もあるが)。

 恐らく納車整備で足回りのブッシュ類を交換していることと、装着しているコニクラシックのショックによるものだろうと思われるが、すでに34年前の車両がこれだけ安定して走るのだから十分なレベルといっても過言ではないだろう。加えてタイヤが新品なこと、さらにブレーキに不安がまったくないので、意外にも小さく感じるボディと相まって、街中レベルから国道246に至るまで非常に楽しく走れたのであった。

端から見ると若干間延びしたデザイン的印象を与えるかもしれないが、実際に運転してみると、非常にタイトな印象かつ小さなスポーツカーを運転してるかのごとき人車一体感に包まれる。

エンジンのバキュームにて上げ下げしているリトラクタブルヘッドライトも完調てに、自由自在に上げ下げすることが可能だった。

こんなC3に乗ってしまうと、やはり歴代コルベットの中でC3こそ最高という自身の思いは一層強くなる。想像していた以上に小型スポーツカーに感じられたのは、想定外であり、嬉しい誤算だった。

アナログ的快感が得られるV8サウンド

 同時に、搭載されている3速ATのコンディションがまた格別に調子よく、200hpに満たないノーマルパワーだったといはいえ、滑ることなく路面に伝えるから、各部の運転動作に慣れてしまえば乗っていて不安を感じるところがサイドミラー程度しかないのである(笑)。

 しかも日頃乗っている最新のアメ車からは感じられない濃厚なキャブレターV8フィール。これだけ毎日のようにアメ車に乗っていながら初めて「パワーよりもフィールが大事」と真剣に思えた瞬間でもあった。まさにダイレクトに感じるV8サウンドに「これだ」というアナログ的快感が得られたのである。

 試乗後、なかなか興奮が冷めない「こんな状態って初めてだわ」と自身に驚くとともに、これこそがコルベットだし、こんなカッコ良く楽しいマシンがまだ街中を普通に走れることに素直に感動するとともに、「過去取材したC3たちはいったい何だったのか?」という思いでいっぱいになった。

 エイブルは、こういうクルマたちを単に「古い」といって残骸にしてしまうのではなく、リニューアルやリフレッシュさせて新たに命を吹き込む作業を適価にて行っている。

 もちろん、適価であるからすべて完璧という状態ではないのだが、機関重視というショップコンセプト通りこれだけ普通に走ってくれるのならば、仮に飛び石のキズ痕やダッシュボードにひび割れがあったとしても、そんなのどうでもいいと思えるから不思議である。

オリジナルのメーターの動きは良好で、アクセル開度とタコメーターとの動きもリンクしていた。

この年代のC3で200キロ出そうとすることが正しいかどうかはさておいて、少なくとも日本の道交法内においては、最高に楽しい1台であり、歴代コルベットの中においても、個人的には普通に街を走れる最高の部類に属するモデルと思っている。実際に見て乗って感じて、さらに止まって眺めてみた感想である。

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