TEST RIDE

[試乗記]

24年前にもかかわらず今乗っても満足できるレア個体

2002 シボレータホ

エイブルのこだわりにより当時の性能が体感可能

24年前の個体であるからまだビンテージというには早いかもしれない。だが、今、この年代のタホの中古車を探してもなかなか見つからない。そんな中で2002年型シボレータホを取材。今や珍しいフルノーマルの個体であった。

更新日:2026.01.23

文/石山英次 写真/古閑章郎

取材協力/エイブル TEL 044-857-1836 [ホームページ] [詳細情報]

現役当時に近い走りが体感できる

 ひと昔前までのタホといえば、アメリカンSUVの代表的存在という位置付けだった。が、2010年以降になると車格が上がってしまい、同時に価格も向上した結果、キャデラックエスカレードとバッティングする存在になった。

 結果、日本においてはエスカレード人気に押され、それ以降タホが日本に輸入されること自体が非常に少なくなってしまった。だから、最近のアメ車ファンに「タホ」と言ってもあまりピンとこないかもしれない。

 だが、我々アラフィフ世代においては、タホはアストロ、サバーバン、カマロ、コルベットたちと並ぶ90年代のヒーロー的存在の1台であり、アメリカを代表するSUVという認識である。

▲2002年型タホ。走行14万キロを超えるが、この年代の頑丈さは折り紙付き。適切な整備でいくらでも蘇る。

▲この年代のタホでフルノーマル状態というのが最大の魅力。ボディカラーも美しいインディゴブルーにペイントされている。

 タホは、初代モデルが1992年に登場し1999年まで存在する。そしてフルモデルチェンジした2代目がデビュー。2代目は2000年から2005年まで存在し、2006年から3代目となって現行の5代目に至る。

 そんなタホの2代目モデルである。個体は2002年型で走行が約9万3117マイル。なので約14万9000キロ走行車。この個体は取材直前、エイブルが大分のオーナーさんから引き取ってきたもの。すなわち直前まで走っていたものであり、ずっと眠っていたものを起こしたものではない。

 ちなみに、オーナーさんの生活環境の変化に伴い手放すことになったというだけで、調子が悪いとか、修理に金額がかかるからといった理由で下りたものではないという。

 さらに言えば、2年ちょい前にエイブルが大分のオーナーさんに販売&納車したもの。よって、納車時にかなり手を入れた個体であり、「下りる時は連絡してくださいね」との口約束的なものをオーナーさんが律儀に守ったという流れ。しかも、もともとフルノーマル状態で納車した個体であり、そして今現在も(律儀にも?)フルノーマル! そこにも非常にそそられる。

▲搭載されるエンジンは5.3リッターV8。285hpを発生させるからパワー不足は感じない。

▲車高も純正状態でショックも純正。乗り心地も非常に良い。

▲ホイールがノーマル状態であることも非常に嬉しい。

 ということで試乗。まずはフルノーマルボディであるが、過去にインディゴブルーにペイントされている。で、搭載されるエンジンは5.3リッターV8で285hpを発生させ、4速ATと組み合わされている。

 2002年型ということだから今から24年前の車両であり、通常なら若干の緊張を伴うが、この個体に関しては全くなし。二日前に引き取られてきたという事実とエンジンをかけた瞬間のかかり具合、またその後のアイドリングの安定感等に、不安は全く感じない。

 というか、しばらく乗っているうちに「もったいないなあ」を連呼したほど=めちゃめちゃ状態が良すぎて、そして乗っていて楽しすぎて「なぜ売ってしまったのだろう」と本気で考えてしまったほど、調子は良い。

 何よりステアリングが軽く、それでいて効きが良く、デッドな部分が本当に少ない。だから乗っていて気持ちが良い。また思った通りにハンドルが切れ、キビキビ走るし、同時にブレーキのタッチも驚くほど良いから、サイズ感を感じることもなく、そのまま細い裏道に入っても全く恐怖感なく走り抜ける。

▲シンプルな形状のインテリア。ウッドパネルの状態も良く、質素だが好感の持てるコンディション。

▲懐かしいアナログ全盛時のメーター。

▲4速ATはコラムシフトによる操作。

 パワーは285hpという基本スペックだから、現代的な感覚だと少ないと思うかもしれないが、実際にはパワー不足を感じることは全くなく、低中速のトルクがぶ厚いから動きに痛痒感を感じることはほとんどない。ブレーキはよく効き、ステアリングの反応も安定しているから、とにかく非常に面白い。

 お店にクルマを戻した時に「ショックって社外品ですか?」と一番に聞いたほどシャキッとした、この個体の走りは本当に驚きだし、最大の魅力と言えるだろう。

 聞けば「以前の大分納車時にサスペンションリンク系リフレッシュしたりアライメントを取ったりしていますが、ショックはノーマルのままですよ」

 中古車にとって大切なことは、普通の状態に戻すこと。ショックやマフラー変えたり車高を落としたりエアロつけたりするのはその後のことであり、まずは元の状態に近づけてやることが非常に重要と、エイブルの原氏は常々言うが、まさしくそれを体現している。

▲レザーシートには年式相応のヤレが見られるが、さほど気にならないほど走りが素晴らしい。

▲リアシートの状態は想像以上に良い。座面もパンっと張った状態が維持されている。

▲3列シートを備えるためリアの荷室は一般的なサイズ感。

 ハンドリングのみならず、乗り心地も想像以上に甘口であり、包み込むような優しいシートに、軽く、それでいて的確な操舵感、そして滑らかかつ静かなエンジンと的確な変速によって、90年代のタホを今の時代に楽しめる。

 個人的には「その当時の50%程度が味わえるくらいかな」と事前に想像していたが、試乗後は「乗り味に関しては80%くらいは味わえているかもしれない」と本気で思えたし、「こんなタホの中古車って探しても出てこないよなー」と思わずにはいられなかった。

 冷静になりボディ全体を見渡せば、まあ確かに、24年前の車両であるから、年式に応じたヤレを感じる部分は所々にある。例えばグリル周りやメッキパーツ、レザーシートのシワ等々。

▲リアハッチはウインドーのみも開閉可能。

▲街中ではステアリングの反応の良さに驚き、一般道では車体のピッチングやロール、ヨーイングなどがほどよく制御されている走りの良さに満足する。

 だが、少なくとも走る曲がる止まるといった基本性能においては、驚くほどしっかり手入れがなされてきたことを感じるだけの性能が体感できるから、上記のヤレ感は後からいくらでもどうにでもなるのではないか、と全く気にならない。逆にこのレベルの走りが味わえることの方が非常に重要だろう! と。

 振り返れば、この年代のタホとは、道具として「質実剛健」を誇るトラックベースのSUVという存在であった。だから道具としてシンプルであり、頑丈である。

 そういう意味では、24年経った今も適切な整備をくわえることによってまともに走るのは至極当然であり、この個体はエイブルのこだわりによって、それを見事体現している。

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