更新日:2026.01.16
文/田中 享(Tanaka Susumu) 写真/ゼネラルモーターズ
キャデラックエスカレードは、アメリカ自動車業界でも屈指の存在であり、多くのアスリート、ミュージシャン、映画スターに「ステータスシンボル」として愛用されてきた。しかし、華やかなフルサイズラグジュアリーSUVの始まりは、意外にもシンプルなものだった。
1990年代後半、ラグジュアリーSUV市場は急速に拡大し、ゼネラルモーターズの競合他社も相次いで上級SUVの開発を進めていた。
こうした状況の中、キャデラックはすでに高級志向で知られていたGMCユーコンデナリをベースに、キャデラックの象徴的なフロントグリルをはじめ、外装・内装にいくつかの独自のアレンジを施すという、シンプルながら効果的なアプローチを採用した。
キャデラックは、こうして誕生した新型SUVに「エスカレード」と命名。この名前は、攻防戦ではしごや攻城塔を用いて城壁や堡塁を乗り越える戦術「エスカレード」に由来している。

▲キャデラック乗用車と同じプレミアムパーフォレーテッドレザーシートを用い、リアルウッドトリム、センターコンソールの「Cadillac」スクリプトなどがベースのGMCとの違い。
こうして誕生した1999年型初代「エスカレード」は、メカニックの面でGMCユーコンデナリと完全に共通していたため、GMは企画承認からわずか10カ月で市場投入を実現するという早業が可能だった。
ボンネットの下には、おなじみの5.7リッターボルテックV8エンジンが搭載され、255hpと最大トルク330lb-ftのトルクを発生。このパワーをGMのオートトラック選択式四輪駆動システムと組み合わせた4速オートマチックトランスミッションと組み合わせた。
一方で、「エスカレード」がGMCユーコンデナリと異なっていたのは、外観デザインと室内装備。キャデラックはSUVのフロントにブランドを象徴するグリルを採用し、大幅に刷新したインテリアには、キャデラック乗用車と同じプレミアムパーフォレーテッドレザーシートを用い、リアルウッドトリム、センターコンソールの「Cadillac」スクリプトなどを施す。
また、当時として画期的なオンスターを標準で搭載し、GMが革新性、先進技術、そしてコネクテッドカー分野でリーダーシップを発揮し続けていることを示す存在となった。

▲初代エスカレードのベースとなったGMCユーコンデナリ。トップ写真と比較すると瓜二つと言っても過言ではない。
しかし、「エスカレード」の真価は、スペック表やカタログではなく、ストリートでの評価によって築かれる。発売からほどなくして、エスカレードはアメリカの著名人層で瞬く間にステータスシンボルとなり、人気が一気に加速。
キャデラック経営陣はこの現象に内心戸惑いを隠せなかったものの、公には大いに歓迎し、著名人たちからの強力な支持によって「キャデラックを所有することはクールだ」というイメージが再び揺るぎないものとなった。
「エスカレード」は登場以来、世界で累計100万台以上を販売し、競合モデルを上回って北米高級フルサイズSUV市場でトップセラーの地位を確立。また、現在ではキャデラックブランドの技術的なフラッグシップとしての役割も担っている。
キャデラックエスカレードは、今に繋がるフルサイズラグジュアリーSUVの歴史そのものである。
138,000円
PERFORMANCE
GDファクトリー千葉店
18,900円
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