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[試乗記]

リリック登場でガソリンとEVの二刀流はいかに?

キャデラックの今 in japan

来年以降はEVのラインナップ充実が予定されている

ずっと気になっていたキャデラックの最新EVリリックを見て販売状況を聞いてきた。

更新日:2025.12.10

文/石山英次 写真/古閑章郎

取材協力/キャデラック・シボレー葛西 TEL 03-5878-7500 [ホームページ] [詳細情報]

キャデラックは贅沢の極み

 今のシボレー&キャデラックの販売車種は、シボレーはコルベットのみ。キャデラックは、エスカレード、XT4、XT5、XT6、そしてEVのリリック。聞けば、来年にはEVにヴィスティックが登場予定というから、EVのラインナップが充実する(同時にXT4、XT5、XT6が終了する)。

 ということで、リリック登場に伴う販売状況について聞いてみた。ショールームに入る瞬間から広がるキャデラックワールド。向かって右にエスカレード、左にリリック。どちらもキャデラックらしいデザインをまとい、ともに魅力的な存在である。

 今回は、今年5月に発売が開始されたリリックの販売状況に興味があったので話を聞いた。聞けば「順調に台数を伸ばしている」という。続けて「すでにベンツ、BMW、ポルシェ、テスラ等のEVに触れていた方の乗り換えで買われている場合が非常に多いです」と営業の仁部さん。

 すなわち、そういう方々(高級EVに触れてきた方)にとってはリリックの1100万円という販売価格があまりネガティブな要素にならないということだろう。ちなみに、コルベットC8Z06ユーザーさんでリリックを増車したということもあったという。

▲デザインモチーフは1967年型キャデラックエルドラド。「ブラッククリスタルシールド」と呼ばれるグリル風のデザインがポイント。

▲低く伸びやかなデザインはガソリンエンジンやミッションを持たないEVならではの構造によるもの。

▲装着タイヤは21インチで、専用タイヤが開発されている。

 そんなリリックであるが、基本的には既存のガソリンモデルのキャデラックとの互換性が感じられるモデルになっている。分かりやすく言えば、例えばテスラはまるでスマホのようなEV車。未来的な雰囲気とガジェット的な融合が魅力となっている。

 一方で、リリックは自動車メーカーが作ったEV車として、基本操作や運転感覚はガソリンモデルたちとさほど違いが出ないよう作られている。明確な違いは、圧倒的な出だしの加速感。そしてワンペダルドライブによるブレーキの使用感etc

 だから、超シンプルに言えば、ガソリンエンジンが電池とモーターに変わっただけ、のような存在であり、既存のキャデラックユーザーにとっては非常にわかりやす&入りやすい存在と言える。

 ちなみに冒頭で記したように、来年にはヴィスティックがラインナップに加わる。ヴィスティックはリリック(2列シート)よりも若干大きい3列シートモデルということである。

▲充電口は左フロントフェンダーパネルに配置。

▲ワンタッチで開く。

▲充電は急速充電、普通充電が可能である。

 さて、本当なら試乗したいところだが、当日は試乗車の都合がつかず。ということで、ショールームに展示されていたリリックを見る。

 以前見たリリックはブラックボディだったので、さほど印象に残っていなかったのだが、今回見たホワイトカラーのリリックは非常に魅力的。ホワイトレザーのインテリアとともにキャデラックらしい鋭角デザインのスタイルとともに抜群の雰囲気を見せる。

 「ブラッククリスタルシールド」と呼ばれるグリル風のデザインがキャデラックを象徴している。テスラはグリルレスで未来的な雰囲気を発しているが、リリックはあえてグリル的なものを置くことで、キャデラックデザインを表現している。ちなみにデザインモチーフは1967年型キャデラックエルドラドという。

 ただし、全体を見渡せば、低く伸びやかなデザインはガソリンエンジンやミッションを持たないEVならではの構造によるものと理解できるし、圧倒的に広い後席スペースもEV構造ならではだろう。

▲デザイン的にも質感的にも洗練されたインテリアは圧巻。キャデラックならではの高級感で満たされる。

▲こう言った部分はガソリンエンジンモデルとの違いが出ないよう作られている。が、キャデラックならではの質感は健在。

▲ステアリング横に配置されるドライブシフト。

▲ホワイトレザーが使用されたドア内張りの高級感は圧巻。

 装着タイヤは21インチで、専用タイヤが開発されている。充電口は左フロントフェンダーパネルに配置され、急速充電、普通充電が可能である。

 一方、デザイン的にも質感的にも洗練されたインテリアは圧巻である。テスラでは得られないキャデラックならではの高級感。33インチの横に長い大きなディスプレイがイマドキの装備だが、それ以外では他のキャデラック同様非常に満足感が高い。そしてEVならではの静けさを伴って圧倒的な速さで駆け抜ける。

 ちなみに気になる充電であるが、90kWの急速充電器を使用すれば、30分程度で約150km走行分の充電が可能になるという。なお、日本に導入されているリリックのグレードは「SPORT(スポーツ)」のみ。価格は1100万円である。

 リリックを一通り見たのちに、隣に展示されていたエスカレードに目がいった。展示車は「スポーツ」。価格は1950万円。もう全てが圧倒的。洗練の極み。完成の域に達した究極のラグジュアリーフルサイズSUV。

▲白ボディに白インテリアの組み合わせが抜群にいい。それに合わせた調度も素晴らしい。

▲リアシートの足元の広さが圧巻。EVならではの構造によるものだろう。

▲「キャデラック好きで、キャデラックの高級感が好きでデザインが好きで、静かな高級車が欲しいなら。そして自宅充電が可能なら、リリックは格好の存在になるかと思います」と仁部さんは語る。

 最新モデルの操作系は全て全自動で、エアコンの操作ボタンすらない(自動)。また滅多に見れないワインレッドのボディカラーもいい。本当にアホみたいな質問だが、買えるならどっちを買うか? リリックとエスカレード。最新EVとガソリンエンジンの極み。

 どちらも簡単に買える代物ではないが、だからこその醍醐味がある。他メーカーでは絶対的に味わえないアメリカンな雰囲気と高級感。テスラはシンプルの極みだが、キャデラックは贅沢の極み。キャデラック好きならどちらか一方ではなく、両方味わうべきではないかと思う。

 来年以降も発売が続くエスカレードに、新たに発売されたEVのリリックが加わり、キャデラックの充実ぶりは半端ない。

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