これまで接点のなかった方々に販売することが多い

ディーラーに聞く「C8の販売状況」

「C7コルベットを下取りには出したくない」方も多数あり

日本国内での販売が開始されて約2か月。アメリカ製スーパースポーツとしてリニューアルされたコルベットC8の販売状況を直接ディーラーに聞いてみた。

「激変」したC8コルベット

　2020年にフルモデルチェンジされミッドシップに生まれ変わったシボレーコルベット。筆者は、デビューしたての左ハンドル車に少し乗り、つい先日日本での発売が開始された国内右ハンドル車にも試乗。同時に助手席も体験してわかったことは、すべてにおいて激変していることだった。

　例えば、インテリア等の質感の向上はC7とはもはや比較にならず、世界の高級車レベルに匹敵するものだし、スタイルもこれまでのロングノーズから前後バランスのとれたロングテールに変わっているし、何よりドライバーの乗車位置が車体中央よりも若干前側に位置していることが、本当に大きな変化として受け取れる。

　しかも価格帯も向上しているから、これまでのコルベット購入層とは明確に異なるのではないか、という想像も成り立つ。

　とはいえ、5月末に行われたGMオフィシャルの発表会において「すでに2021年モデルの300台は売り切れ」ということだから、はっきり言ってめちゃくちゃ売れている、というのが現実だろう。

非常に丁寧な語り口調の店長・鹿子島氏。初めてのGM車といった新たなユーザーにとっては心強い味方になってくれる。

環状七号線沿いに立地するキャデラック・シボレー葛西は、アクセスが良くひと目で分かる大型の看板＆ゲートが目印となる。

ショールーム内には正規輸入車が展示されている他、認定中古車の取り扱いもあるから、C7コルベットやカマロ、キャデラック系の中古車も展示されている。

この2台、デザイン的な系統を感じさせるが、それはあくまでデザイン上においてだけであり、同じような全長のサイズ感の中に全く異なるマシンが作り込まれている。

C8最新販売状況は?

　ということで、実際にディーラーに行き、C8の販売状況を聞いてみた。お話してくださったのはキャデラック/シボレー葛西店長の鹿子島氏である。

編集：今現在の販売状況はいかがでしょう。

「シボレー葛西では今現在20台弱の受注をお受けしておりますが、2LT、3LT、コンバーチブルにおきましてはいずれも同じような比率で受注を受けております」

編集：これまでの販売との変化はありますか？

「まず、C7からの乗り換えは4件程度です。それ以外は全て新規のお客様で、初めてのアメリカ車という方がほとんどです。ですから、アメ車ユーザーというよりも新規の方が多く、国産高級車、欧州車オーナーの方ですね」

編集：C7からの乗り換えが少ないということですが、どんな理由が考えられますか

「C7オーナーの方々は、やはり「コルベットはFR」という方が多く、C8は全く別物に見えてしまうらしいです。それでも皆様「C8は良い」ということはお認めになりますね。あと、右ハンドルへの抵抗もあるといいますし、価格帯上昇への抵抗もあるといいます。ですが、お一人、C7のZ06のオーナー様で、Z06を残し、C8の増車を検討するという方と商談中です」

　なるほど。確かにC7とはまるっきり変わってしまっているから、アレルギーを起こすユーザーも多い、というのは事実だろう。お話を聞いていて明確なことは、これまで接点のなかったユーザーに販売することが多い（レクサス、ベンツ、BMW）、ということだから、明確に「顧客層が変わっている」ということも事実だろう。

6月上旬から試乗車を用意しているシボレー葛西。もちろん予約すれば今でも試乗可能である。乗ればほぼ十中八九「いいね」と皆が「欲しい」を連呼するそうである。

C7コルベットオーナーのほとんどが気にしているという「右ハンドル」。だが、右ハンドルへの弊害もなく、そう言った不安要素は皆無である。

現状、販売が決まっているユーザーのほぼ8割が新規のお客様ということで、新たな顧客開拓に貢献しているC8コルベット。

高級車的要素とスーパーカー的要素の融合

　実際、何度か試乗したが、確かに高級車であって、普通に乗っているとエンジンサウンドも静かであり、路面からのゴツゴツとした衝撃も少なく、それでいて猛烈に速い（Zモードで調整すればエンジンサウンドも大きくなるのだが）。そう言った高級車的要素にミッドシップというスーパーカー的要素が加わっているのだから、お金持ちの方々に響くのは確かだろう。

　一方、C7は、加速するたびに「ゴォー」っと吠えるV8サウンドがはっきりと聞こえるし、路面の轍にハンドルが取られたりと、とにかくそう言ったハードな要素がFRコルベットとして認知されている部分もある。

編集：納車や販売車の特徴が何かありましたら教えてください。

「まず、一番の人気なボディカラーは赤ですね。白も少々います。あと、関西や中部で人気のラピットブルーも弊社の取り扱いはありません。また、20代のオーナーさんが数名いらっしゃいますね。あと納車ですが、先月1台納車し、今月3台の納車。そして今現在商談中も複数ありですが、21年モデルはすでに完売ですので、今からですと22年モデルの予約となります。ざっくりですが、納車に半年程度を要する感じです」

　ちょっと話は逸れるが、筆者の周りクルマ屋さんではちょっと前からクルマがかなり売れている（コロナ禍にもかかわらず）。しかも高級車が売れているというから驚きなのだが、今回ディーラーで話を聞く限り、C8も同じように売れているという判断で間違いないだろう。

　しかも、C8の話を聞いている時に教えてもらったのだが、C8の登場によりC7の中古車相場がかなり上がっているというから面白い。

　シボレー葛西でも認定中古車を扱っている関係上、C7の中古車に動きにも注視していたというが、今では認定中古車の数も減り、またC8に乗り換えるC7オーナーが少ないということもあり、市場におけるC7の価値が爆上がりというのだから恐ろしい。

　よって、今ではC7すら高額な中古車となっているということだから、新旧モデルのコルベット人気に、ファンは嬉しい悲鳴をあげているに違いない。

C8の登場によりC7コルベットの中古車の価値が爆上がりである。それは、C7とC8とではまるっきり変わってしまったため、そしてC7が中古市場に流れないために、である。