TEST RIDE

[試乗記]

スーパーチャージャー装着で暴力的加速

シボレータホ 改 (CHEVROLET TAHOE)

チューニングで「激変」を味わうのもまた楽し

長年連れ添った相棒にメスを入れ、新たな魅力を付け加えた。いわゆる「激変」である。その変化は、ストリートでこそ輝く楽しさに溢れていた。

更新日:2017.01.23

文/椙内洋輔 写真/古閑章郎

取材協力/ジャパンレーストラックトレンズ TEL 0356613836 [ホームページ] [詳細情報]

今お乗りのアメ車を大切に長く乗る

 1992年から1999年型まで製産されたのが初代タホである。そして2000年から2005年までが二代目となる。そう、今回取材したタホが、その二代目に属するモデルである。

 初代タホは、日本でも大人気を博したモデルであるが、今この初代タホを手に入れるには、多少の困難がつきまとう。タマを探すのが難しいのである。だが、「角張ったスタイルがアメ車らしい」と人気は依然高い。

 とはいえ、ボロボロの車両すら見つからない日本の中古車市場、さらには大金をかけアメリカ本国から輸入するほどの価値を見出すか否かは人ぞれぞれ。

 そんなかでここ一二年注目されているのが、二代目タホという。

 余談だが、2006年からの三代目タホはいまだ市場価値は高く、モノがあれば非常に高いと。いわずもがなだが、四代目ともなると500万円を下る車両はまずないとも。

 というわけでのタホ人気だからこそ、二代目へと注目が移るのは自然のなりゆきか。

 以上のようなお話を聞き、紹介していただいたのが、今回取材した二代目タホである。ベースとなるのは05年型。搭載されるエンジンは5.3リッターV8である。

 このタホのオーナー氏は、長年にわたり愛車として接し、これまでにへダースを装着したりグリルを変えたりと、自分なりに手を加えてきたという。

 だが今回、すでに愛車として10年近い歳月を経たこともあり、心機一転。新たなる魅力の追加により、この先10年乗り続けるために再び手を加えたのである。そう、スーパーチャージャーの装着である。

2000年~2005年まで存在した二代目タホ。この先のモデルでは高性能化および高額化され手の届かない存在に。それもあって二代目の人気が上昇中。

だが、今こうやってみても二代目タホの質実剛健的な魅力は色あせない。大切にすべき。

今の時代、為替の問題もあり次から次へと新車に乗り換えることは結構つらい。だからこそ、今お乗りのアメ車を大切にする。特に旧車の場合、没個性化した新型車にはないアメ車特有の個性の持ち主。今回はスーパーチャージャー装着で一新する。

各種パーツの組み合わせで驚くべき変化

 装着したスーパーチャージャーは、ウイップル製のインタークーラー付きスーパーチャージャー。ベースとなるタホのV8は285hpというスペックだが、装着によりざっと400hpオーバー。調整次第では450hpも可能という。

 くわえて、すでに装着されているへダースとのマッチングにより、出だしの勢いというか吹け上がりの鋭さが一段と増し、街中、いわゆるストリートでの楽しさを倍増させるという。

 さらに22インチホイールにウイルウッドの大径ブレーキを組み合わせ、ストッピングパワーの強化も抜かしなし。

 コルサのマフラーチップが輝くタホ。エンジン始動時には驚くほど野太いサウンドとともに一発始動。走り出しは非常に穏やかなるも、流れの良い一般道でアクセルを踏み込めば激変の片鱗が一瞬で伺える。まさしく後ろから蹴飛ばされたようなダッシュ力。

装着したスーパーチャージャーは、ウイップル製のインタークーラー付きスーパーチャージャー。タホのエンジンルーム内にキレイに収まっているのも嬉しい。

セッティングはかなり硬派仕様だったが、日本の道路事情を加味した調整を行っている。プラグやプラグコードも一新。

事前に装着していたへダース。これだけでも変化を味わうことは可能。今回はへダースとスーパーチャージャーをマッチングさせる。

巨体のフルサイズSUVを軽々加速させるスーパーチャージャーの威力に感服。劇的変化という言葉が相応しい体感性能である。

日本の道路事情であることを加味

 「まるで蹴飛ばされたような加速力」とは、かのポルシェターボの加速ダッシュを例えた名文句だが、今回のタホも獰猛な唸りをあげた暴力的加速感が、蹴飛ばされたような激しさを物語る。

 「これだけ重い車重のフルサイズSUVをこれだけ軽々走らせるとは」。「アメリカ製アフターマーケットのスーパーチャージャーは侮れん」「凄い、凄すぎ」。

 それでも制作者の高橋氏いわく、「意図されたウイップルの指示よりも抑え気味に調整したんですよ」という。

 もう少し詳しく聞くと、スーパーチャージャー装着後は、付属の機器によりコンピューターの調整が必要になるが、あえてガソリン量を減らすなど、日本独自のアレンジを利かせたという。指示通りの数値でセッティングすれば、それこそ450hpオーバーも可能だったというが、日本には四季があり、季節ごとの変化を考えるとアメリカの道をベースにセティングされた指示ではかぶりが起きたり、始動性が悪くなったり、またそれ以外の微妙な変化が出てしまう可能性があると。

 だからこそ、年中同じような調子を維持するためにも、あえて「抑え気味+日本の道路事情」を加味したセッティングを施したという。まさに見識。さすがは百戦錬磨のチューナーである。

 とはいえ、抑え気味とは言われても、今回のような激しい加速ダッシュを味わえば「450hp」といわれてもついつい信じてしまうようなほどの威力である。

22インチホイールに大径キャリパーによる制動力のアップを行っている。

排気系チューンにプラスして出口にはコルサのチップを組み合わせている。

市販車とアフター400hpとの違い

 再び聞けば、そこがアフターマーケットの400hpの面白さです。たとえばトヨタの400hpマシンだとすると、万人が扱いやすい400hpでなきゃいけない。だから「ホントに400hp出てるの?」とか「慣れちゃった」というような反応が出やすいと思いますが、アフターのパーツであれば、同じ400hpでもこれだけの爆発力が示せます。

 もしかしたら、実際に加速競争をすればトヨタの400hpの方が速いかもしれませんが、街中や高速道路といった普段われわれが使用するステージでの楽しさや変化の体感は圧倒的にアフターの方が上です。

 そもそもアメ車の醍醐味って、大きやさスタイルやV8といった特殊性にあると思いますので、その一部分に手を加え伸ばしてやることで、アメ車でしか体感できない味がよりディープに楽しめることになると思うのです。考えても見てください、これだけの巨体があれだけの加速をする! それって欧州車の世界には存在しませんよね。

 なるほど。最近のワールドワイドなアメ車にはなくなってしまった、もしくは薄まってしまった個性。そこをちょっと引き伸ばしてやった特別仕様。まさしくそれが今回のタホである。

シボレーロゴ入りのブースト計にて圧を管理。

同じくパイロメーターにて排気温度を管理。

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