ここに登場するキャデラックブロアムは、1987年から1992年まで生産されたフルサイズボディを備えたFRキャデラック。これ以前にはフリートウッドブロアムがあり、それが1986年で生産終了したことによって登場する。
とはいえ、基本メカニズムはフリートウッドブロアム時代からほとんど変更はなく、当時、同ブランドの唯一のFR車として活躍していた。
ボディは4ドアセダンのみで直線基調の威風堂々としたスタイルとV型に突起したフロントグリルが特徴であり、搭載エンジンは5.7リッターV8で188psを発生。4速コラムシフトによる組み合わせで力強い走りを可能にしていた。

▲1991年型キャデラックブロアム。各部にローライダーカスタムが施されているが、クルマとしてのコンディションを重視すれば非常に魅力的。

▲これぞキャデラックと言わんばかりの伸びやかなスタイル。今の時代では味わえない「ザ・キャデラック」の世界観が潜んでいる。
中古車的メンテナンスの話をすれば、この年式だと、まだまだコンピューター制御される以前の車両であり、メンテナンス作業に現代のような電子デバイスを必要とするようなことがない。
逆に言えば、「各部の調整やメンテナンスをしっかりすれば長く乗れる」ということにもなるから、しっかりした個体を見つけることができれば往年の「ザ・キャデラック」の世界観が今の時代に味わえる。
ちなみに、現代の車では決して味わえないほどドアがガチャッと重厚に閉まり、そして重い。またフカフカのソファーシートに「これが往年のキャデラックか」と感動する。
それでいて運転席から見える視界の広さによって取り回しはしやすく、ステアリングが軽いから大きなボディも苦にならず車庫入れ等も可能。
そして何より凄いのがそのデザイン。隣にいたキャデラックエスカレードと比較すると「かなり古く厳粛な印象」を与えてくれる。が、これこそがキャデラックがグローバル化される以前の「大物感」であり、独特のオーラを発している。

▲搭載されるエンジンは5.7リッターV8で188psを発生させる。重厚なボディを過不足なく走らせる。

▲ローライダー定番のフロントグリルに交換されている。

▲14インチのワイヤーホイールは街中使用であるから、下回りを気にすることなく走行可能。
そんな旧時代のキャデラックを今も扱うブルート。代表の市村氏はキャデラックというブランドに惚れ込み、以前から継続してキャデラックを集めている。
だから店頭に並んでいる半分以上の展示車がキャデラックであり、その品揃えは90年代のヒストリックセダン&クーペからSUVのエスカレード歴代モデル等に至る。
もちろん、その他ハマーH2やリンカーンナビゲーター、サバーバンにタホ、グランドチェロキーSRTといったライバル車も手がけてはいるが、キャデラックに関しては、年式&車種問わず、常に仕入れ体制に入っているという。そして歴代モデルからの整備にも熟知しているという。
その理由は、キャデラックこそが正統派のアメリカ的高級車であるから。「雰囲気、デザイン、すべてが好き」という。「だから常に良い状態で乗ってもらいたい」とも。
筆者はかつてブルートにて1995年型のフリートウッドブロアムを取材し、その後1991年型のキャデラックブロアム(走行約7000キロ)も取材したが、そのどれもがかなりの上玉だった。そして今回の91年型ブロアムも個体の程度はかなり良い。

▲ヘッドライト下は本来ウレタン素材となっているが、年式により劣化が激しいため、ブルートオリジナルのFRPパーツに交換されている。

▲バイナルトップも張り替えられている。

▲ザ・キャデラックを体現しているリアルウッドを使用したインテリア。好きな人にはたまらない雰囲気。
写真を見てお分かりかと思うが、この個体はローライダーの風情を醸し出している。例えばフロントグリルに14インチホイール等。
だが、サスペンションはノーマルだし、ローライダーの基本は13インチだから、14インチは街乗りを考慮したギリギリのサイズ=一度は乗りたいローライダーへの憧れを、ある程度の範囲で実現したものであるから、それらパーツを純正に戻せば「戻る」範囲内であり、その点に注目して取材した。
まず、個体は91年式のディーラー車。ヤナセステッカーがその印。グリル交換やホイール交換、そしてバイナルトップを一度張り替え。インテリアにおいてもシートを張り替えている。
またフロント&リア周りに使用されているウレタンパーツを、ブルートが自社で制作したFRPパーツに交換している。これに関しては「ウレタン部分が破損してくるんで、それによって非常にボロく見えるんです。なので、自社で制作し、ヤレてきたものは交換しています」

▲使用されているウッドパーツやドア内張りの各種パーツ類には非常に良い状態がうかがえる。

▲組み合わされるミッションは4速のコラムATである。

▲液晶メーターは今も十分に視認できる状態。
これもキャデラックを知り尽くすからこその細やかな配慮であり、当然、この個体にもそれらパーツが使用されているから、そう言ったボロさを全く見せない。
一方、室内も同様に張り替えられたシートが抜群の質感を見せる。座ってもフカフカのソファーのようで、これだけでも十分に満足出来るが、それ以外の部分には、年式的なヤレをちらほら見せるが、それらはボロいというよりは味わいと言える程度のもの。
くわえて当時のキャデラックの本物感は今なお健在であり、リアルウッドを使用したインパネ周りやドア内張り、液晶メーター類の質感に、現代の車両では味わえない「ザ・キャデラック」の世界観が見え隠れする。
この年代のキャデラックをベースにしたローライダーを探している人には憧れを満たす最大のチャンスと言えるだろうし、この年代のFRキャデラックを探している方にも、非常に有効なベース車となるに違いない。

▲シートは張り替えられているから驚くほど状態がいい。まるでソファーのようなアメ車のシートが復活している。

▲リアシートも同様に張り替えられている。リアには使用感が全くないから新品同様。
138,000円
PERFORMANCE
GDファクトリー千葉店
18,900円
EXTERIOR
ウエストクラブインターナショナル
132,000円
PERFORMANCE
ウエストクラブインターナショナル
3,300円
OTHERS
ウエストクラブインターナショナル