TEST RIDE

[試乗記]

今や唯一のアメリカ製量産ミッドシップスポーツカー

2023 シボレーコルベット

清潔感と高級感を併せ持つアークティックホワイト

ここ最近、コルベットの中古車を見る機会が多かったが、その中でもミッドシップになったC8コルベットのオーラは半端なかった。くわえて今回の個体の中古車としてのレベルも格段に高かった。

更新日:2026.02.28

文/石山英次 写真/古閑章郎

取材協力/BUBU / ミツオカ TEL 0120-17-2290 [ホームページ] [詳細情報]
     BUBU横浜 TEL 045-923-0077 [ホームページ] [詳細情報]

リアで奏でるV8咆哮が最高

 C8コルベットを語る時、誰もが思うなぜミッドシップ? 半世紀以上続いた伝統をあっさり捨てた理由とは? それは「速さ」への純粋な追求であった。

 C7時代のマックスパワーは750hpを超えていたが、それをFRで走らせるには限界があった。「これ以上パワーを上げてもフロントエンジンでは後輪に力が伝わりきらずタイヤが空転するだけ」という物理的な限界に達してしまった。

 もちろん、直線番長的なアメ車&マッスルカーであればそれで良いが、世界基準のスポーツカーになりたいのであれば、サーキットでも勝てるスポーツカーに進化させる必要があった。

▲完全新設計による新時代のコルベット。駆動方式はミッドシップ。シートに座るとドライバーが車体の中央に座っている感じがよくわかる。

▲ワイド&ローのミッドシップスポーツカーと抜群の運動性能を見せる。

 またフェラーリやランボルギーニ、マクラーレンといった欧州スーパーカーと対峙するためのミッドシップ化が必要だった。そして「コルベットの父」とも呼ばれたエンジニア・ゾーラアーカスダントフ氏の悲願を達成させるためでもあった。

 ダントフ氏は1950年代から「コルベットのミッドシップ化」を唱えており、多くの試作車を作っていた。C8のミッドシップ化は数十年越しにかなったGMブランドの悲願でもあったのだ。

 結果として、旋回性能が格段に向上し、トラクションも向上したことで世界基準のスポーツカーと対峙することが可能になり、同時に0-100km/m加速は3秒を切り、名だたるスポーツカーを超えるパフォーマンスを手に入れた。

 また、ミッドシップ化によりこれまでのFRコルベットとは異なるスーパーカーフォルムを手に入れる。フロントロングノーズショートデッキだったFRコルベットからフロントが短くリアがワイドな戦闘機スタイル。ルックスと存在感はもはや旧時代のコルベットを全く想像させない。

▲搭載されるエンジンは6.2リッターV8OHVで502ps、最大トルク637 N・mを発生させる。クーペの車重は1670kg。

▲中古車となってもクリーンな状態が保たれた純正ホイール。

▲まるで戦闘機のコックピットを思わせるインパネ回り。タイトであるが狭苦しい感じは一切ない。円形ではなく異形のステアリングにも注目。

 だが、それでいて日本仕様の右ハンドル化。C8コルベットが多くのファンに支持されたのはメーカー純正の右ハンドルが用意されたから。もちろん、旧時代のアメ車ファンからは左ハンドルを求める声が多くあったのは事実だが、実際のところ、購入者の多くが「右ハンドルだから良かった」という声を上げている。

 そんなC8コルベットは、もはやアメリカ車メディアだけでなく、自動車メディア全体で褒め称えられている。でも、それは当然だとも思う。

 というのも、C7コルベットですらかなりのマシンであったから。だからそれをベースにC8を作れば最高のFRコルベットができたに違いない。だが、GMはあえて(上記の理由により)ミッドシップに移行したわけだから良くて当たり前。で、それは見事達成されている。

 くわえて、今や純ガソリンV8エンジンを搭載した数少ないミッドシップマシンの一台にもなった。だから往年のコルベットファンのみならず、欧州スポーツカーファンの興味をも引き、それが売れ行きに直結している。

▲8速DCTを装備。室内からのギア操作は電気式のボタンスイッチに変わっている。パーキングブレーキもボタン操作。

▲パドルもメタルになり質感の大幅向上をもたらしている。

▲新デザインとしてセンターコンソールにまとめられたボタン操作類。

 また、車両製作の精度が格段に上がっているから、中古車になっても鮮度があまり落ちない。ミッドシップだからリアタイヤの減りには十分注意すべきだが、それ以外においては特段注意する必要がないくらいメカ的なレベルも上がり洗練されている。くわえて販売している横浜店はGMサービスセンターであるから、メンテナンスやアフターフォローにおいて非常に安心感が高い。

 ということで、2023年型C8 2LT。走行約5300キロの個体。ボディカラーはアークティックホワイトでインテリアはブラックの組み合わせ。

 複雑で彫りの深いボディライン、フロントやサイドのブラックのインテークパーツとホワイトのボディカラーとのコントラストが強調され、非常に精悍に見える。

 スポーツカーだから赤や黒、もしくは黄色やブルーといった派手めなカラーももちろん似合うが、コルベットのアークティックホワイトは精悍さに結びつく清潔感と高級感を持っている。それがC8によく似合っている。

 また内装はブラックであり、ホワイト&ブラックの組み合わせもオーソドックスだが、逆にクセがなく馴染みやすい。

▲デジタルメータークラスターも非常に好感。スピードメーターやタコメーター以外にも各種項目が表示され、ドライビングモードの変更に応じてデザインも切り替わるようになっている。

▲センターモニターの角度もドライバー側にいい感じに傾いている。

▲世界に誇れる絶賛のシートが装備されている。質感に関してはトリムレベルによって変化するが、2LTでも十分なレベルである。

 「滅多に入荷することがありませんが、このC8のコンディションは非常に良いです」とスタッフが言うように、「まるで新車か」と思わせるほどクリーンな個体で、触れることを躊躇わせる。そのくらいのコンディションである。

 個人的には欧州スポーツカー云々関係なく、唯一のアメリカ製量産ミッドシップスポーツカーとして最大限の評価をしている。2000年初頭にフォードGTが復刻されたが、それは限定モデルに過ぎず、その後に再びフォードGTが復活したが、それも量産には程遠い少量&超高額車両であったから、C8は近年における唯一の量産ミッドシップと言っても過言ではない。

 それだけに往年のアメ車ファンは違和感を抱くかもしれないし、それがコルベットだけに失望感を抱いた方もいるかもしれない。だが、実際には世界的な評価が高く、価値は高い。そしてめちゃくちゃ楽しい。だから是が非でも一度乗って欲しい。何と言ってもリアで奏でるV8咆哮が最高である!

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