Ringbrothers (以下、リングブラザーズ)はウイスコンシン州のスプリンググリーンをベースに活動するカスタムビルダー。その名のとおりマイクとジムのリング兄弟が製作するカスタムマシンたちは、これまでもセマをはじめとするカーショーで数多くのアワードを獲得し、ここ数年ではチップフースを代表とするトップビルダーの一員として認知されるまでになった。
そんなリングブラザーズの新作、昨年のセマショーにて発表された Ring Brothers SplitR 1965 Mustang Fastback は強烈な個性を発揮する。フローマスターブースに展示されていたそれは、フローマスターのマフラーを装着している関係上ブースに展示されていたが、その中身はもちろんリングブラザーズによるハイテク装備との融合により、圧倒的なポテンシャルを発揮する。
レッドカラーのマスタングファストバックベースにカーボンパーツを随所に使用し、ホワイトカラーを上手く利用することで、魅力的なエクステリアを実現。
カーボンフード下に隠れるエンジンは、フォードレーシング製427キュービックインチのV8キャブ仕様。もちろんノーマルのままではなくハードチューンが施され、凝ったデザインのカスタムエアボックスに点火系、吸排気(リングブラザーズへダースとフローマスター製マフラー)に及ぶリングブラザーズ流のアプローチとトレメックT56の6速MTとが組み合わされる。
だが、驚くのはパフォーマンスだけでなく、そのエンジンルームそのもの。エンジンべイから作り直し、配線関係からあらゆるすべてが見えないよう見事に収められたその光景はまるで飾り物のディスプレイかと思ってしまうほど。実際には走れるだけに、余計に驚きを隠せない。
一方足周りは、近代的なレーシングカーのような作りが特徴的であり、下回りはドライブシャフトレーン以外はフラットなアンダーボディになっている。強化ステアリングラックにコイルオーバーサスにベアーの大径ブレーキ、さらに前後異形サイズのHREとニットータイヤによって巨大なパワーに対応する。
旧車ベースとはいえ、完璧なセットアップが図られたことにより、そのパフォーマンスは現代の超一流マシンをも凌ぐと言われる。
それにしてもこのマスタング、圧倒的な存在感を醸し出している。古き良きアメリカンマッスルカーのデザイン的力感は殺さずに、随所にモダンなテクノロジーを融合させるその技はリングブラザーズならではだろう。
こういったマシンが日本の公道を走ることはまずないだろうが、セマという一大ショーに毎年堂々とアピールされる旧車ベースのプロツーリングを見るたびに、アメリカ自動車文化の奥深さを感じるし、アメリカ自動車史に燦然と輝く過去の名車たちに新たな命が組み込まれ、リボーンすることに感動を覚えずにはいられない。
くわえて、リングブラザーズが持てるノウハウと情熱のすべてを注ぎ込んで製作した最強のこのプロツーリングマシンには、所有する歓びだけでなく、触れる者すべてを一発でノックアウトする圧倒的な破壊力をも備えているのだから、余計に素晴らしい。
ちなみに、世界中で旧車の価格が高騰しているが、たとえばポルシェやフェラーリ等はノーマルであればあるほど価格が当然高くなる。
一方で、アメ車の旧車も同じようにナンバーズマッチのノーマル車の価格が高くなるのは当然なのだが、ここで紹介したようなプロツーリング仕様に改造されたマシンたちも同様に評価されるのである。すなわち、手が加えられても圧倒的な価格が付くのは、世界中を見渡してもアメ車の旧車だけなのである。
過去のメカニズムを生かしつつ現代の路上を走る上で必要な機能部分を補いながら、アメリカン旧車に乗ることがもちろんオススメではあるのだが、こういうド級のマシンを、あえて旧車で創造するその姿勢にも惹かれる今日この頃である。
ダッシュボードも全く新しく作り直されているが、その洗練されたフォルムはお見事。
19,404円
PERFORMANCE
6DEGREES
19,998円
PERFORMANCE
6DEGREES
3,480円
MAINTENANCE
GDファクトリー千葉店
48,070円
EXTERIOR
6DEGREES